\横山験也のちょっと一休み/

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小倉金之助先生の本『明治時代の数学』

Posted in 戦前の教育, 算数考, 良書 by 横山験也
12月 13 2011

小倉金之助先生の『明治時代の数学』です。

明治初期までは「和算の方が洋算より優れている!」との声も上がっていたのですが,それも束の間。
洋算は国策とも重なり,どんどん広がりました。

可哀想なのは,「和算vs洋算」を,和算側で戦い研究した人々です。
その努力と,和算家の持つ独創的思考を,洋算の普及・研究に向けていたら,世界の数学に日本から一石を投じる事もあり得たかもしれません。

産業革命が日本にも起こり,和算では役に立たなかったのです。全体の道が見えずに,和算の部分的な良さにこだわった研究家が,その力を生かすことなく,終わっていった時代です。

今は,言うまでもないデジタル産業革命の時代です。
算数の教育も,時代の流れに応じて変わっていくのが自然の流れです。
自分の能力が無駄にならないように研究・工夫・努力をすること。これが「歴史的な生き方」です。

昔の過渡期の本は,今,自分のいる立場が歴史的にどうなのかを考えるヒントになります。

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デシメートルが使われていた

Posted in 尋常小学校(昔の教育), 戦前の教育, 算数考 by 横山験也
2月 09 2011

  小学校で習う単位として,km,m,cm,mmがあることは,誰しも知っていることです。
  私が小学校6年の時,担任の先生が,デシメートルやデカメートルなどもあったことを話してくれました。

  さっき読んでいた昔の算術書『尋常小学 新算術書解説』(昭和2年)に,このデシメートルが出ていました。「dm」と書きます。
  
  「スラスラと出来るまで」
  「実測によって確実に」
  「簿上に発表」
  「口頭ででも発表」

  指導の仕方は,今とさほど変わっていません。今の算数の指導では,「必要感」が重視されています。上の「実測」には,必要感が込めやすいです。
  「簿上」の「簿」は帳面のことです。帳面というのはノートのことです。「簿上に発表」というのは,今で言うノートに書くことです。書くこと自体が発表なのです。何しろ,ノートは貴重品です。単なる練習は石盤に書き,布で拭いて消し,また書き・・・と勉強していた時代です。「ノートに発表」の時は,ささやかながらも緊張感があったことでしょう。

  ところで,このデシメートルですが,10cmが1dmなので,かなり把握しやすい単位といえます。30cm定規は「3デシ定規」となります。身長が140cmの子なら,「身長14デシ」となります。どことなくおもしろいです。
  この頃は,メートル法を使い始めた頃で,まだまだ生活の中は「尺」「寸」でした。1尺が30cmちょっと,1寸が3cmちょっとですから,日頃使っている尺寸の単位を1/3したぐらいがちょうどデシメートル,センチメートルとなっていました。デシメートルは,メートル法へ移行するのにとても大切なクッション剤だったのではないでしょうか。

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習字の硯の部位名

Posted in 尋常小学校(昔の教育), 戦前の教育 by 横山験也
2月 07 2011

 習字で墨を磨っている写真です。今の小学校では見ることのできない光景です。

 この写真は戦前の教師用指導書に載っていた写真です。 
 指導書ですから,微に入り細に入り,「こうするのがいいんですよ」と示されています。ありがたい書です。
 たとえば,墨は立てて磨るようにと示されていますが,買ったばかりの長い墨の場合は斜めにしても差し支えないと記されています。
 「基本を示し,時として例外も認める」という考え方です。
 「本来なら,こうあるべきだが,まあまあやむを得ませんな」と,許容のようであり,あきらめのようでもある,とても寛大な姿勢です。小学校の先生方は,何かあると,たいていこのように考えます。大きく道を外すことの無いよい考え方です。

 磨る時の動きも示されています。基本は楕円を描くように磨ります。せかせかと前後に動かすのは,ダメとされています。これは,おわかりですよね。心を落ち着ける時間だからです。落ち着いて磨ることが基本なのです。

 墨の持ち方も示されています。人差し指と中指が向こう側。こちら側に親指。こうなるように上から持ちます。
 でも,今はこの墨をする指導は無くなりました。墨汁を使う習字になったからです。

 硯の手前が「陸(おか)」,先の墨だまりを「海(うみ)」と呼びます。
 硯を運ぶ時には,「海」を向こうにし,少し下げるようにして,陸の両端を上からガパッとしっかりつかんで,運びます。
 これも今はスポイトで先に吸ってしまうので必要の無い指導になっています。

 文化が発達していくと,自然と指導も変わってきます。でも,習字で教える「心の落ち着き」は見失うわけにはいきません。
 「不易流行」ですね。 

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緒方洪庵“適塾”の学習法

Posted in 戦前の教育 by 横山験也
12月 30 2010

  緒方洪庵と言えば,適塾。ここまでは単なる連携名詞として知っていました。それが,「緒方の塾」という呼び名で,福沢諭吉の『福翁自伝』に出てきて,ちょいとびっくりしました。
  適塾に入門してきた人は何もわからないので,オランダの「ガランマチカ」を入門書として教えます。まず「素読」を授け,「講釈」もして聞かせます。それから,「会読」というテストのようなものを受けさせます。
  今風に言えば,「読む」「意味」「自分で解説」ということです。
  これができたら,もう一冊同様に行い,その先は各自の研究です。

  なんというか,すごいの一言です。私自身の勉強で,いきなりハイレベルなところからスタートしたのは,コンピュータプログラムと,中国思想の時ぐらいです。この両方に通じていていたことは,学ぶ前に「無理かも・・」と思っていたことが,学び終えると強い自信になって,どんどん自分の研究が進んでいることです。
  適塾はこれを若者にしていたのです。明治維新になり,大人物が多数輩出したのもわかります。

  素読といえば,青森の駒井先生です。『論語』や『大学』を小学生に素読させています。小学生にとっては難解な書を適塾のようにいきなり素読させるのです。それが,その成果は多様で,この夏,2時間もお話をくださいました。
  『論語』『大学』を学んだ子が難解な書に自分からチャレンジを始めていく。そんなところの話を,今度会ったときに伺いたいと思っています。

31日:駒井先生からメールが届きました。効能が書かれていました。読書を全くしなかった子が今は『もしも高校生がドラッカー・・・・』『ニーチェの・・・・』など,読んでいるそうです。切れやすい子だったのですが,今は読書で心を落ち着かせているそうです。
  --
  難書を読めば,本が面白くなり,読書が増える。
  難プロを学べば,プログラミングが面白くなり,ソフト開発が増える。
  --
  要するに,難しいことをやらせれば,そのジャンルが面白くなるのです。
  難しいことといっても,全くの素人にとって難しいことです。その道のプロから見れば,明らかに入門的な素材です。でも,それは王道につながるようなまっとうな素材なので,学ぶ人に大きな変化が出てくるのです。

  ちょっとずれますが,論語などを繰り返し読むようになると,親孝行になり礼儀もよくなります。礼儀作法は言葉で教えられるだけでなく,書を繰り返し読むことで浸透していくものだからです。昔の作法書の重要性は繰り返し読むことができた点にあります。その昔は寺子屋で実語経を繰り返し読まされていました。大切なことです。

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