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『日本語(下)』に分数のことが載っていました

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東京駅近くにある丸ビルで酒席があったので,道中,『日本語(下)』を読んでいました。
本を読むスピードは,かなり遅いようです。
1冊読み終わるのに何日もかかります。急いで読むと,美味しいところを素通りするので,そんなもったいないことはできないと,頭が追い付くスピードで読んでいます。貧乏性なのかもしれません。

この本,日本語の本なのですが,下巻にも算数のことが載っていました。
分数です。
2/3を日本語では「3分の2」と下から上に読みますが,英語では「two thirds」と,上から下に読むのだそうです。

分数を上から下に読むようにしたら,縦書きの文章と同じ流れになるので,それはごく自然な読みの形になります。
そうなると,「2の3分」「2を3分」などという読み方になり,その意味がかなりつかみやすくなります。それだけでなく,2÷3にもつながりやすくなります。
金田一先生はそういう読み方にしたら・・と書いてくださっているのですが,算数の世界には届いていないようです。

もともと,分数は中国から輸入した概念です。
ですので,「三分之二」などと書いてある書物から学び,日本語として「三分の二」と読ませていました。
日本書紀にも,方丈記にも,江戸の書物にも中国学びの分数表記が登場しています。
そうして,明治になり,欧米の2/3という表記が輸入されました。すでに,読み方は中国流があるので,それをこの表記にバシッと当てはめたのです。
そうしたら・・・。なんと,下から上に読むことになったのです。

算術用語が決まっていくまでの間には,きっと,下から読んだら変だよ!という意見もあったと思います。
思い切って,欧米風に上から読もうといった声もあったろうと思いますが,当時の国内は「漢文崇拝」です。漢文では,返り点を使って下から上に読むのはごく当たり前のことです。違和感も少なかったので,いかんともしがたかったのだろうと思います。

はっきり分かったことは,読みは中国流,表記は欧米流というのが,今の分数の姿ということです。
この中洋折衷が下から読む原因なのです。

明日は,ひさしぶりに喫茶「さぼうる」で打ち合わせをするので,この本の続きを読みたいと思っています。

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