Category Archives: 作法

卒業式と姿勢

「主張ある道徳授業を創る!」セミナーで、道徳の形として一番重要な「姿勢」の話しをしました。
話しは極めて簡単に「あなたの姿(すがた)に勢(いきお)いがありますか」と、訓読みをするところから入りました。
訓読みというのは、日本人にとっては、意味が分かる読み方であり、そこには日本人の思想が込められているとも受け取れる読み方です。

基本は椅子の奥に座ります。
背もたれにはもたれません。
姿勢良く座り続けていて、疲れたら、そっと背もたれにもたれて、また元気になったら姿勢を良くします。

セミナーに参加していた鈴木文男先生から、「姿勢のお話は、卒業式が迫っているためたいへんありがたく拝聴しました。」とメッセージをいただきました。
卒業式の練習では、呼びかけ・歌・返事・証書のいただき方・歩き方など、いろいろと指導する内容があります。どれもこれも、目立つところの指導なので、自然、指導にも力が入ります。

これに比べて、座った時の姿勢は、実に地味です。ですので、通常はぐらぐらしないで座ってさえいれば、それで良しとされます。
ところが、この地味な姿勢がきちんとできるようになって、そんな子がそろって椅子に座っていると、「お見事!」と言いたくなるような光景になります。
「人間ができている」という雰囲気も漂ってきます。
なぜでしょう。
日本人は、「直」を好み、「曲」を好まないからです。
正直者は好きですが、曲者(くせもの)は好まれません。
姿勢という言葉を使う時に、「良い姿勢」「正しい姿勢」「姿勢良く」「姿勢を正して」と、「良い」とか「正しい」という言葉がついて回ります。
「良い」「正しい」がついている姿を全員の子がしていたら、その子たちはみんな良くて、正しいのです。
そう言う姿を人々は見事と言うのです。
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第4回 日本マナーマイスター学会大会

明石先生に誘われて、「第4回 日本マナーマイスター学会大会」に参加しました。
会場は、東京の目白にある学習院大学です。
午後1時スタート、午後6時終了。
少し長いと思えたのですが、途中に花嫁儀礼を模擬的に行ってくれたり、包丁儀式を実際にやってくれたりと、非常に盛りだくさんの楽しい大会でした。
シンポジウムもあり、司会は明石先生です。
日本の礼儀作法として、次の3つが大切と話して下さいました。
1、時間を守る
2、清潔にする
3、うそをつかない(正直でいる)

休憩時間には、明石先生がいろいろな方を紹介してくれました。
これから先、どのような交流があるのか分かりませんが、人とのつながりで世の中は動いています。
これをご縁に・・・と思いました。
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明日は、野口塾ビギナーズです。
東京未来大学。
楽しみですね。
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中学の入試問題に

『行儀作法の教科書』長く生きていると,面白いことと出会うものですね。
1通の封書が会社に届きました。
開けてみると,私が書いた本の一部が,中学の入試問題に採用されているので,それを会員向けwebに掲載したい,とのことです。
受験向けのサイトのようです。

入試問題に採用された本というのは,右の『行儀作法の教科書』です。
どこが用いられたのかわかりませんが,日本人として大切な行儀作法が出題されたのだと思います。
これは実にありがたいことです。

『行儀作法の教科書』から入試問題を出題したのは青山学院横浜英和中学校だそうです。
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「行儀作法で一番重要なのは何ですか?」と問われたら,皆さんはどう答えるでしょう。
歴史的にも論理的にも体験的にも,「自分の姿勢を良くすることです」と答えるのがベターと思っています。
自分の姿勢がきちんとすると,他の所作も姿勢に比例して丁寧になります。
また,見ている人も,姿勢の良い人の所作としてみるので,少々立派に感じ取ってくれます。

行儀作法は所作です。手や顔や体や腰などで表現する仕草です。
その動きをする中心・根本は体なので,その体の軸がしっかりしていれば,後は枝葉です。
長幼,師弟,前後,表裏などの対を考えれば,大筋良い感じで過ごせます。

姿勢を良くしつつ,伸びやかに愉しげにいることです。
これが作法を楽しんでいる人の姿です。
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「姿勢の良い人になろう」「人生の図」

b7853横浜の山内小学校の6年生の皆さんに見せた「人生の図」がこれです。
これから先をどうしたいか。
できれば,グッドな方向にグイッと歩ませたい!
そんなときにこの図を使います。

まず,折れ線グラフのような図を書きます。
原点からの縦横のラインを引き,学年の目盛りを打ちます。
6年生の3学期に入ったばかりですので,6年の所だけは3等分します。

次に,原点から右上がりにラインを引き,「今,皆さんはここにいます」と,自分たちの立ち位置を示します。

最後に,卒業式までの未来の図を書き加えます。
「このまま順調に進むと,このあたりにたどり着きます。
これを『普通』と言います。」
続けて話します。
「でも,ちょっとダレてしまったり,やる気がなくなってしまうと,こちらに進みます。
これは『低』です。」

そうして,子供達に聞きました。
「普通と低。どっちに進みたいですか。」
それぞれに挙手を求めました。
しかし,誰一人手を挙げません。
できる子供達です。
誰も手を挙げない光景を見て,「自分たちはもっと伸びるんだ!」という強い意識を感じました。

b7852そこで,図に付け足しをしました。
「高」の存在を知らせ,その中の上の方には「最」という所があることも知らせました。

「最高」を目指す。
でも,「最高」にたどり着けるかどうかはわからない。
でも,たどり着けるように心を強くして前進して行くこと。
これが大事なのです。
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このように未来を正しい方向に力強く歩むこと。こういった道はきわめてまじめな道徳です。
孔子が活躍をしていた2500年もの昔から当たり前のように言われていることです。
「子曰わく,君子は上達し,小人は下達す。」(『論語』憲問第十四)
しっかりした心を持っている人は上に達しますが,そうでない心では堕落するのです。

昔から良いとされる所の教えを,私も子供達に伝えることができました。
ありがたい一時でした。
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ところで,論語など古典には,このような図は出てきません。
もし,この「人生の図」が論語の時代に示されたら,どうなるでしょう。
まず,誰一人理解できないでしょう。
なぜなら,この図には「座標」という算数数学の概念が用いられているからです。
座標はデカルトが作ったとされています。
1600年以前の人には,基本的に理解不能な図なのです。
日本では江戸時代までの人たちにはかなり複雑な図として映ると思います。

そんな「人生の図」。
日本の小学生はすんなり理解します。
小学校の先生方が熱心に算数を教えて下さっているからです。
そういう教えの場がつくられている日本の教育システムにも感謝の気持ちが起こってきます。
道徳を勉強するにも,算数や国語の学力は大切なのです。
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「姿勢の良い人になろう」「人の図」山内小学校6年生

b7857横浜の山内小学校6年生の皆さんに,「人の図」を教えました。
宇和島の下灘小学校3年4年の皆さんにも「人の図」を教えました。
違いは,「心」に対応する言葉です。
3年4年生の子には「好きになる」と書きました。
でも,今回は,「やり遂げる」としました。6年の3学期という特別なシーズンでもあり,指導の先に卒業式が待っていたからです。

そうして子供達に話しました。
人は大雑把に言って,「体」と「頭」と「心」に分けることができます。
「体」は「できる」ようにします。
「頭」は「わかる」ようにします。
「心」は「やり遂げる」ようにします。

「体と頭のことは,先生やお父さんお母さんに教わって,できるようになり,わかるようになります。
でも,心は自分でやり遂げようとしないとできません。
と,いつものように,心だけは自分でするところだと話しました。

姿勢の指導がはじまり,私は何度となく「自分の心を強くするのだ」と熱く語りました。
それが子供達の印象に残っていたのでしょうか。
最後に質問を受け付けたときです。
感動的な質問がでました。
「心を強くするには,他に何がありますか」
つまり,姿勢を良くすること以外にも自分の心を強くする方法があるのか,という問いです。
この問いが出るということは,「今の自分の心をもっともっと鍛えたい!」という気持ちになっているのです。
指導を受けたその先を自分でどんどん歩みたい!という気持ちになっているのです。
これこそ道徳です。「道」を歩もうとしているのです。
私は痛く感動し,思わず「良い質問です!」と褒めました。

最初に示した「人の図」を見せ,「やり遂げる」を示しつつ,「やり遂げたいというものを見つけ,やり遂げようとすることです。」と話しました。
質問した子は納得顔になりました。
私も良い気持ちになりました。
道徳は道を示し歩ませる勉強なのです。

ここで,もう一つ付け加えて話をしたかったのですが,次の時間の算数の授業もあるのでやめました。
付け加えたかったことについては,また,今度書きましょう。
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横浜の山内小学校で

横浜の山内小学校へ行ってきました。
ありがたいことに,6年生への姿勢の授業と,5年生への算数っぽい授業をさせていただきました。
若い先生方の研修の一環です。

この日,妙に電車が気になり,30分前には到着する列車に乗りました。
これで十分大丈夫と思っていたのですが,ダイヤの混乱とぶつかりました。
最寄り駅に着いたのは予定の10分後。臺野校長先生をお待たせしてしまいました。
申し訳ないことをしてしまいました。

その臺野校長先生から今朝ほど,メールをいただきました。
私の授業の様子を「校長だより」の記事にしてくれていました。
電光石火の仕事ぶりに,頭が下がります。
少し引用します。(改行は私の好みで変更しています)
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現役ではないが超一流の先生である。
ありがたい機会をいただいた。参観できなかった方にその一端をお伝えする。
「子どもを励ます」「ほめてその気にさせる」「しかし甘くはない」指導である。見習いたい。
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この書き出しに恐縮です。
すでに,退職をして15年。
私の腕はさび付いています。この日の授業もあれこれ反省が先立ちます。
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5校時
6年生全員へ「姿勢の良い人になろう」の授業
宇和島下灘小学校での公開授業(3・4年生対象)をベースにされながら、6年生対象に「最高の卒業式にしよう」という視点で、よい姿勢について具体的な姿、心構えや、さらにこれからの生き方にまで踏み込んでご指導いただいた。
姿勢という熟語の「勢い」が大切であること。勢いのある座り方、と「勢いのない だれて緩んだ」座り方を具体的に動作化させながら、どちらが参観する保護者に感動をもたらすか問いかけられた。
また、椅子の正しい座り方、「もたれる」の意味から背もたれをどう使うのかなど、子どもたちはもちろん、聞いている職員も「そういうことか」と納得する御指導であった。
b7867「人には優しく。自分には正しく」
「心を強くする」
「動かないことに勝てる自分」等々、
子どもたちとのやり取りの中で発せられる横山先生の言葉はどれも、実感を伴って子どもたちの心に入っていたと思う。
1時間で、子どもたち120人の姿勢や返事、何より心構えが大きく変容した授業であった。
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初めての子供達だったので,いつものように,「人と自分の図」を示しました。
子供達からは,「自分に正しく」とはスッと出てきませんでした。
これは,現状の道徳がこういった基本的な所を教えていないので,答えられなくてごく自然なのです。
なにしろ,先生方に問うても,たいてい答えられません。
先生方も小学生の頃,道徳を学んでいないのです。
やむを得ないことです。

はっきりわかることは,「道徳も教わらないとわからない」ということです。
だから,道徳は授業をする必要があるのです。

この日の6年生に,「人の図」「人生の図」を示しました。
それぞれ重要な内容を含んでいます。
追って記しましょう。
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