Monthly Archives: 9月 2012

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『気 修行 身体』もとても良い本です!

夏の暑さが厳しいときは,読書も避暑中という感じで,ちょっと足が遠のいていました。
でも,一気に涼しくなり,読書が楽しくなっています。

『気 修行 身体』(湯浅泰雄著,平河出版)も実に面白かったです。
全部が全部読みこなせているわけではありませんが,なるほど!と思うところが随所に出てきます。

「はじめに」で,いきなり来ました。
東洋医学の伝統的な考え方が解説されています。

◆西洋医学でいう対処療法・・・病気になったからこれをなおす・・・じゃなくて,(東洋医学は)普通のレベルよりもっと健康の度合いを高めて,病気にかからないように,精神なり身体なりの能力をもっと高いレベルへ追求していく 

姿勢の教育は,東洋医学にも通じているのかと感じ入ったのですが,よく考えてみれば,当たり前の事です。
その当たり前の事に,なかなか気がつきません。
年を重ねてからの読書は,新しい知識を得ると言うより,「自分のしてきた事(している事)への確証づくり」という面が強いです。

東洋医学の考え方は,今,大きな問題になっているいじめについての考え方にも広げたいところです。
いじめが発生したらそれなりの対処が必要ですが,「いじめにあってもへこたれない子」に育てる教育が平素から行われていたら,それはとても有り難い事になります。そういう考え方の教育を打ち立てる事が大切なのだと,東洋医学の考え方が教えてくれているように思えてなりません。
私は,それが「姿勢の教育」だと考えています。

しばらく読み進めると,日本の武道のことが記されています。
◆剣技の訓練の究極の目的は,他人に勝つためではなく,いわば自分に勝つための方法に変わってしまった・・・「殺人剣」から「活人剣」への変化

ここも,なるほどとうなります。
剣術はもともとは敵を殺す事が目的です。でも,武士はそれを超えて,「己に勝つ精神」へと目的を昇華させたのです。まさに,見事です。日本人で良かったと熱い気持ちになります。

目を転じて,教育を考えると,面白い事に気がつきます。
例えば,「競争」の善し悪しです。
競争を取り入れて成功している先生は競争が大事と言い,競争は良くないので,競争を無くす方向で成功している先生は,競争はダメと言います。
どっちが正しいのか,本を読むと迷います。
迷いが生じるのは,どっちかが正しいと考えるからです。
日本武道のように,「目的の変化」で進む方法を選べば,とくに,競争そのものには善し悪しはないことがわかります。
競争は根源的なところで,相手に勝とうとする強いエネルギーを自然に生み出させる力を持っています。でも,これは競争の持つ「生の力」 です。剣術の殺人剣と似ています。
これを日本の武士のように「己に勝つ」という「日本人(武士道)的な精神の力」へと方向を転換することが教育の大きな力と分かってきます。
そういった形で学級経営を成功させている先生が,私の身近にいます。城ヶ崎滋雄先生です。

中盤には姿勢がでてきます!
◆武術にせよ修行法にせよ,まず基本となるのは身体の姿勢である。

ここに,「教育にせよ」と入れたいと思いました。

野口芳宏先生の『国語科授業の教科書』ですよ!

野口芳宏先生の新刊『国語科授業の教科書』(さくら社)の表紙の写真が届きました。

良い感じです。

さくら社のシリーズとして,「○○の教科書」があります。
社会が有田和正先生で,理科が宮内主斗先生
国語が,野口芳宏先生です。

野口先生の講座に参加した事のある先生でしたら,野口先生の話のうまさに驚かれたと思います。
同じ事を話すにしても,野口先生が話すと,品が良くなり,格調も高くなります。

どうして,そういう話し方ができるのだろうかと,時々思うのですが,すぐに「教養の差」「学びの差」と感じてしまいます。

そんな風に思っていたので,今回の『国語科授業の教科書』は有り難い一冊になっています。

なにしろ,第3章が「分かりやすい話し方」なのです。
野口先生は,この本で,分かりやすい話し方が「最も重要な教育技術」と明言されています。

その秘訣は6つ。
私が最も衝撃を受けたのは,「④ 一文を短くする」です。
ダラダラとした事例が載っていて,それを野口先生が一文を短くして,「明快」になるように直しています。この直した文が実にすごいです。こんな素晴らしい直し方は,かつて見た事がありません。

一文を短くするだけなら,誰でも簡単にできます。句点を増やせばいいのです。
しかし,それで「明快」になるかというと,基の文が悪ければ,明快になりません。
明快に一文を短くする,その技術が見えてきます。 ここだけでも価値は非常に高いです。
52ページです! 読み飛ばすことなく,しっかりと吟味して,ビフォー・アフターを比べて下さい。

もう一つ,嬉しかった技術がありました。「③  どんな話しも「対話」である」です。私は得意なので,つくづく同感しました。

「明快な話し方」を学びたい先生は,第3章をしっかり反復して読まれて,実践していただきたいです。
そうして,時々,野口先生の生の御講演を聴いてみてください。「分かりやすい話し方」が次第に身についてきます。

中学1年のソフト 垂直二等分線の作図ソフト

線分の垂直二等分線を作図するソフトです。

このソフトは作る予定ではありませんでした。
なくても,分かるだろうという思いがあったからです。

でも,先日,ひょんな事から教育テレビで高校の数学の番組を見てしまったのです。チョー基礎のベーシックということで,9月に連立方程式をやっていました。
連立方程式は中学1年で習う内容です。高校生から見たら,かなり易しいです。
それなのに,その番組を子ども番組のような作り込みで,放送していたのです。

こういう番組をNHKがわざわざつくっているわけですから,数学ドロップアウトの高校生がかなりいるとみたほうがいいです。

そう思うと,「分かると思ってはいけないのだ!」 と思えてきて,作図アニメーションの作り込みをしました。

すでに,作図ソフトは小学校の算数ソフトで高い評判を頂いています。
目下,次の2つのどちらの方法でも,子ども達はOKとなったとの成果が届いています。
◆作図ソフトで,作図の動きを何度も見せてから,子ども達に実際の作図をさせる。
◆作図ソフトを見ながら,順を追って子ども達に作図をさせる。
どちらにも共通している事は,「作図のアニメーションを見る」ということです。

作図なら,先生だって教授用コンパスを使って示す事ができます。でも,その方法だと分からない子が出てきます。
それが,ソフトになると,分かるようになります。

どうして,ソフトだとわかり,先生の師範だとわかりにくいのか。
ちょっとした問題提起になるところです。
チーム算数でこの話題が出たときの結論は,
1,ソフトは繰り返しが簡単で,短い時間に何度も見ることができる
2,ソフトは必要な情報だけが映し出される

「短時間で繰り返す」
「必要な情報に絞る」
新しい算数・数学指導のポイントになります。
これがどうして脳に良いのか。そこを考えることも算数・数学指導の学問的研究になります。
大学の先生と,このあたりの事を話してみたいものです。

奥田先生から「約分ソフトは素晴らしい!」と

嬉しいお言葉を頂いています。

和歌山の奥田先生からです。
分数のかけ算・わり算につきものなのが,約分です。
その約分をするのか,それとも,しないのか。
算数ソフトには,そこを問うボタンが付いています。
これを奥田先生が絶賛して下さいました。

ご覧のように,上下に分けて書いた後,
「約分する」
「約分しない」
の両方のボタンが登場します。

これを無視して先に進む事はできません。
どちらかを選びます。

約分の学習ができていれば,「約分する」を選択できますが,約分がイマイチの時には,ちょっと考えてしまいます。

それでも,「エイッ!」とボタンを押せば,正解か,不正解かの判定が直ぐ出ます。
合っていれば,よっしゃーとなり,間違っていたら考え直します。

こんな風につくられていても,「偶然当てる場合もあるよな」と思えもします。
偶然でも,当て推量でも,勘でも,なんでもかまいません。
なにしろ,下のように約分の様子が出るからです。

これを見れば,偶然当てた子も,「ああ,そうだ!」と約分を思い出してきます。
何回かチャレンジすれば,「約分する事があるから,気を付けよう!」などと,マイ格言をつくるかもしれません。

算数では,理解したからそれでOKとはなりません。
その後の練習が必要です。体に染み込ませるためです。

「理解」で頭に染み込み,「練習」で体に染み込むと思うぐらいでちょうど良いのです。

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この分数のソフトは,『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』(6年4巻)に収録されています。

姿勢を意識,学力が向上!

立腰(姿勢)を意識するようにクラス実践されている先生から,とても嬉しい便りが届きました。

姿勢の悪かった女の子達が,話す人の目を見てじっと聴けるようになったそうです。いいですね。

また,クラス全体としても,学力向上の手応えを感じているそうです。有り難い事です。

腰骨を立てる「立腰」を意識させたら,クラスが良い方向へ歩み始めたのです。
良い姿勢で授業をするだけのことですが,それで落ち着き,落ち着くので学力が上がるのです。
何とも簡単で,日本人らしくて,こういう方向性,いいですよね。

私が大事だなと思う事は,「姿勢(立腰)を意識するようになると,子ども達は落ち着く事を覚える」ということです。

何しろ,良く動くのが子どもです。じっとしていろ!と言っても,目を離すと直ぐに動き出します。
「廊下は静かに歩く」と言っても,走り出します。
勝手に動き出しているとしか思えないのが子ども達です。
心臓の鼓動が速いからと言われれば,そうなのかと思えます。
だから,落ち着かないはやむを得ないのかもしれません。

しかしながら,「教育身体学」(という学問があるだろうと思いつつ・・)的には,落ち着きがないというのは,単純に「じっとしている学習の不足」ととらえます。「ビタミンじっと」不足です。
不足があれば補います。練習をすれば良いだけのことです。

では,「じっとしてる学習」をするには,どうしたらいいのでしょう。

「良い姿勢をしましょう」と言い続ければ良いかというと,そうもいきません。子どもは動き出します。
なぜでしょう。
それは,体を固定する部位が伝わらないからです。

部位を固定するという「技」無くしては,じっとしているという「動き」は作れません。
「じっとする」というのは,「“動かない”という動き」なので,技として「部位をどうするのか」 を伝える事が基本となります。

「立腰」の優れている点は,その美しさもありますが,部位としての「腰を立る」ということを「技」として示している事です。
腰にスポットを当てて座るのですから,腰を動かすわけにはいかなくなります。
自然,腰が動かなくなり,じっとしている状態が長続きするようになります。

じっとしている姿の究極といえば,座禅があります。
腰を据えて座ります。その時,同時に,足を組み,手も組み,その形から入ります。
落ち着かざるを得ない姿勢をまず学びます。

落ち着きのない子は,手も足も動きます。
ですので,腰と同様に,手は用のない時にどこに置いておくのがよいのか。
足はどうしているのがよいのか。
「部位の形」を知識として持たせ,それを実行させることが肝要です。
教えれば,子どもにも分かります。

「じっとしている」状態を子どもが作れるようになれば,体の落ち着きが,心に広がります。
勉強への集中も高まり,学力向上へとつながっていくです。

野口芳宏先生の新刊が10月5日に発売となります。
『授業づくりの教科書 国語科授業の教科書』です。
野口先生が立腰のお話しをされるとき,必ず出てくるのが森信三先生の教えです。
野口先生からも,森先生から多いに立腰を学んで欲しいと願います。

野口芳宏先生の新刊『授業づくりの教科書 国語科授業の教科書』がもうすぐ発売!

待望の野口芳宏先生の新刊が10月5日に発売となります。

書名は,↓。

『授業づくりの教科書 国語科授業の教科書』

220ページを超えるボリュームにびっしり野口先生の御論文が詰まっています。
最初から最後まで,ガツン!ガツン!の連続です。この1冊は外せないと思うのは私だけではないと思います。

◆国語学力には三つある

まずは,ここをしっかり頭に入れておきたいです。ここが明確になれば,国語指導はぶれません。

◆1,日本語を正しく理解する力

日本語を正しく理解する力とは何か? 基本は2つです!

◆ 正確に理解する力
◆ 適切に表現する力

「正確」と「適切」の微妙な違いが分かる先生だからこそ,指導が揺らがないのです。

今日は,ここまでにしましょう。
目次を御紹介しましょう。
本格派の国語教育の本です。
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序 授業の存在意義
第一章 国学力を形成する
一 学力形成が曖昧な国語科授業
二 国語学力とは
三 国語学力形成の原理
第二章 授業の基本・授業者の心得
一 全員参加を促す授業
二 子どもを集中させる技術
三 わかりやすい話し方
四 素材研究・教材研究
五 範読
第三章 授業の基礎技法
一 発問
二 板書
三 ノート指導
四 机間巡視
五 指名
六 評価
第四章 教材別指導の基本
一 文学作品(物語文)の鑑賞
二 説明文の読解
あとがき
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10月5日発売。1800円+消費税です。
非常に楽しみです!