注文した『算法地方大成』が,今日,到着しました。
江戸時代の本なのですが,非常に名高い本なので,近藤出版社から現代向けに出されています。それを購入しました。
まず,「地方」は「じがた」と読みます。「地面の事」というような感触の言葉です。
読んでいて,面白かったのは,「検地」のところです。
「検地」に算数が良い感じで入り込んでいたのです。
田に間竿(縦竿と横竿)を打って,縦横の長さを測ります。そこから面積を求めます。
ところが,田の形は必ずしも長方形とは限りません。あぜ道が曲がっているので,それを良いあんばいに長方形に見立てて,縦横の長さを測ります。
ここまでは,社会の「太閤検地」のところに出てきますので,たいていの先生は知っています。
この「長方形に見なして測量をする」,このはかり方を「平均の間竿を入る」といいます。
こんな所に,「平均」が使われていたのです。
算数ファンとして,これは何とも嬉しい発見でした。。
ここから,算数の「およその面積」は「形を平均化した面積の求め方」とも思えてきました。
また,間竿には,6寸(約18cm)毎に目盛りがついています。
実測しても,6寸に満たなければ捨てると決められていました。つまり,「切り捨て」です。
「算数・数学は諸学の黒子」と,この本からも感じました。
まだ,読み途中なので,この先,どんな発見があるのか,とても楽しみです。
6年生の比のソフトを1本作りました。
「比」のソフトは,『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』に収録されています。ですので,大筋は,そちらのソフトをご活用ください。
このソフトは,小数の比を,簡単な比に直すソフトです。図は出てきませんが,どうやって計算すればいいかが,見ている内に分かってきます。
どうして,そうなるかというと,レベル「1」「2」「3」では,それぞれ同じパターンの問題を出しているからです。
レベル「1」は,10倍すれば,それが答えになる比。
レベル「2」は,10倍してから,約分する比。
レベル「3」は,「小数:整数」の比なので,10倍して,それから約分するタイプの比が出てきます。
同じパターンを続けてみると,どうやって答えが導かれていくのか,次第に気がついてきます。
「ああ,10倍しているな」とか,「わり算のように小数点を移動しているんだ」など,既習の学びを元に,あれこれ推理します。その推理に従って問題を次々解けたら,「納得!」となります。
こういう状態に子ども達を導けるのが,算数ソフトのなせる技です。
算数ソフトづくりの重要なポイントは,こういう同レベルで分ける点にもあります。
昔から,算数は問題の類型化や分類が研究的に行われてきています。
それを,易から難へと配列し,出題してきたのが,教科書であり,ドリルであり,参考書です。
先輩の作り上げた類型を活かしてソフトを作ると,その1つ1つの類型分類のところで,納得いくまで繰り返して学ぶことが出来ます。
「配列」を順次行う学習から,「納得」するまで取り組める学習も!
教室にPCがやってきている今の時代の算数。
納得するまで指導できる良い時代になりました。
近々,「もっと!算数」にアップします。
石川県へ行ってきました。
会場にお集まりの先生方に算数ソフトを示しつつ,算数のお話をしました。
その反響は,すごいものがありました。
話が終わると同時に,会場で販売されている『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』のコーナーに先生方が集まりました。あっという間に,6年生が無くなり,4年生が無くなり・・・。「アマゾンで購入できます・・」という声が聞こえてきました。
算数ソフトを使う算数の到来。それを感じさせる石川でした。
道中,予定通り『日本珠算史』(溝江 清著)を読みました。歴代の和算家がたくさん紹介されていていました。その中の一人として,秋田義一が紹介されています。秋田は『算法地方大成』という本を残した人物です。この本は測量の本だと勝手に思いこんでいたので,これまで購入してこなかったのですが,それ以外にも農民の心得も記されていると書いてありました。
これは思い違いをしていた!と思い,帰宅後注文しました。
珠算の大まかな歴史もわかりました。
江戸時代に和算の各流派(関流,最上流など)が珠算を教えていました。考え方に微妙な違いがあったのですが,それが明治初期に文部省によって一つに統一されたのです。国のまとまりが,珠算にも影響していたのです。明治は大変革の時代だったと痛感します。
『日本珠算史』は昭和15年の本だったので,途中で本が壊れ始めました。綴じ込みが壊れても私に読まれ続けることをがんばり抜いたのです。愛着が深くなりました。
『10の力を育てる出版学習』(横田経一郎/さくら社)
この指導法,一押しです!
たとえば・・・
「ひらがなぶっく」「カタカナブック」を作るんです。もちろん,1年生です。
理科室で使う,実験器具の「使い方説明書」を作るんです。自分でも気をつけるようになるだけでなく,取扱説明書のような説明文を書く力がつきます。
算数で「面積ブック」を作るんです。勉強したことはもちろん,参考書などを持ち寄って,まとめます。テストの前の復習にも役立ちますし,来年の子に残したら,「こういうのを作るんだ!」と分かると,グイッとモチベーションが上がります。
こういうあれこれが満載されています。
しかも,「作る形」もあれこれあります。1枚の紙に切り込みを入れるだけで作れる冊子も登場してきます。各種,表現方法が学べます。
なにしろ,これまでの作文・まとめの多くは「読者=先生」でした。読者が1名というのは,寂しいものです。でも,「出版学習」は作品を形にまとめるので,読者層が一気に広がります。
クラスの子はもちろん,下級生,地域の人たち・・・
インターネットのブログやツイッターなどもそうですが,読んでくれる人が多くなると,やる気がでます。そこから,読者意識が高まり,役立つ内容を書こう!と思考が進んでいきます。
これが,「出版学習」です。良い方向でのスパイラルが始まる素晴らしい方法です。
それだけでなく,「出版学習」(欧米では日常的に行われているそうです)を行うことでついてくる「10の力」も明示されています。
「意欲」「読解力」「論理的思考力」「編集力」「メタ認知力」
「読書力」「表現力」「自己肯定力」「コミュニケーション力」「愛着の深化」
それぞれの解説を読むと,思わず納得します。
ぜひ,ご一読を!
神田の古本屋で見つけました。
やや幻になりつつある本なので,見つけたとき「おーっ!」と感動しました。
古本屋で中を開くと,自分の予想を遙かに超えた,密度の濃い本と分かり,少し,立ち読みをしました。
まず,序言があり,その大局の把握と意気込みが実に良かったです。
次に,文献。そこに記されている本群のタイトルが素晴らしいです。これを見ただけで,この著者の先生は本格的な人だと感じました。
戦前の日本語なので,使われている日本語に歯ごたえがあります。そこに,古い文献の漢文も出てきます。最近,そういう本を良く読んでいるので,妙に感触が良いです。
明日から,石川に出かけるので,道中,ゆっくり読もうと思います。
親友の神藤先生。
今年から特別支援の学級を担当されています。
非常に勉強熱心な先生で,4月,子ども達と初めてふれあうまでの間に,たくさんの関連書を読んでいました。
その神藤先生が,佐々木正美先生の本を2冊読んで「読み方が明らかに違ってくる」とメールを送ってくれました。
メールを読んで,とても感動しました。
そこには,読書の大切な点も記されています。紹介します。
群馬の神藤です。
(中略)
さて、佐々木正美先生の御著書を拝読しました。
「出会いでつむぐ私の半生」
「出会いでつむぐ私の仕事」
特別支援学級担任が決まり、購入した本の中には佐々木先生のものも含まれていました。
とにかくどんな本を読んでいいかも分からず、広く浅く手を出したので、佐々木先生については、「TEACCHを日本に紹介した方で自閉児療育の大家」と言うことくらいしか存じ上げませんでした。
こうしてじっくりと、これまでのお仕事や生き方を読ませて頂くと、単に療育の手法を書い本では得られないバックボーン、哲学、人生観、人間観、仕事観、子供観等に触れることができます。
その上でもう一度、佐々木先生の御著書を読み返すと、明らかに読み方が違ってきます。
特に印象に残った文です。
「出会いでつむぐ私の仕事」のP.54「障害を持った子どもに対して、どれだけできるようになったということではなく、どのように幸せに生きていけるようにようにしてやるかを親は目標にすればいい。」
教師も同じだと思いました。
P.99でもニキ・リンコさんの本に触れられていますが、私が自閉症児(者)のことをきちんと本で勉強したのは、花風社の本でした。
本当に「目から鱗」のことばかりでした。
「教師のチカラ」6号にも書きましたが、障がい当事者やその親が書いた本は意識して読みました。
しかし、医師自身が自分のことを語った本は初めてでした。
素晴らしい本をありがとうございました。
※ 佐々木先生は群馬県のご出身だったのですね。
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勉強する友人はとってもありがたいです。
私もさらに学ぼうと気持ちが高まりました。