算数のことをもっとよく知りたくて,数学の本を時々読んでいます。
右の本は,神田神保町の岩波書店に入ったとき,目にした本です。算数・数学は抽象の世界に入り込むので,「直観でわかる」ことは非常に重要です。そんな思いがあったので,書名を見たとき,びっくりしました。
すぐに購入して,時間を見つけて読みました。
とっても良かったです。
微積の本ですから,変化が基本です。
変化・動き,これを概念として把握できるかどうかが,算数・数学の力なのだと,この本を読んでいっそう強く思いました。
何というか,算数のソフト開発研究に自信を持たせてくれる,そんな本でした。
初めて知ったことも,たくさんあります。
小学校の算数の鬼門,「速さ」の概念をつくったのは,なんと,ニュートンなのです。ニュートンといえば,リンゴのお話に登場する理科の偉人です。でも,数学の偉人でもあるのです。
ニュートンの事を知りたくて本も読みましたが,私の読みでは「速さ」のことは,引っかかってきませんでした。ニュートンの本ももう少し読んでいこうと思います。
中嶋郁雄先生のブログがあります。「叱り方研究会」という名称のブログです。
このブログに,中嶋先生が「算数を授業の核とすることに自信を持つようになりました」と記しています。さらに,「「算数ソフト」をどのように授業の中に取り入れるか・どのように使いこなすか・・・。これが、今私にとって重大な研究テーマとなっています」と記しています。
実に嬉しいことです。すでに,何冊も本を書いている中嶋先生がこのような姿勢でいてくださるのですから,私もますます励もうと思います。
「もっと!算数」のサイトがオープンしたら,それにまつわりながら,中嶋先生のような先生方と共に前進をしていきたいと思います。算数ソフトを使う算数の授業は,これまでとはひと味違う新しいタイプの授業となります。ですので,あちこちで躓きながらの前進になると思います。
でも,夢があります。未来があります。新しい時代の扉を開くロマンもあります。少ない人数でも歩んでいる内に一緒に歩む先生が増えてくると思います。子ども達を算数好きにする全国的研究が始まるような気がしています。面白くなってきました。楽しみが増えました。
とっても人気のある,速さを体験するソフトです。
これは,『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』の6年2巻に収録されています。
このソフトを見たことがある先生に,お話をします。
「速さ」が,「道のり」と「時間」で決まることは,このソフトを使って,体験的に理解できます。[速さ]ボタンをクリックすると,その式も登場します。
基本的には,これでとても良い授業が展開できます。
これに,一つだけ,「押さえ」を加えることができます。それは,「分数」を見せることです。
上の画面のどこかに分数の線(括線)を引くことができます。すぐに,わかったと思います。先生のお考えの通り,そこに線を引くと,急速にどうやって計算をしたらいいかがわかってきます。これが,「1時間あたり(時速)」という単位量を求める式につながります。
高学年の算数は,「分数が支配している」と考えても差し支えないほど,分数で考えるとあれこれが「はは~ん,なるほど!」となります。
具体や半具体と分数を結びつけるようにするのも,問題を解く一つの有力な方法となります。
昨年の夏,ちょっとだけ数学のソフトをつくりました。去年の3月ごろ,6年生を担任している先生から,「中学の数学も,少しだけソフトで教えたい」という希望を聞いていたからです。
そうして,今,3学期も半ばになりつつあります。半年前に作った数学ソフトを少し改良してみました。
主な特徴は1つです。
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【特徴】
[?]ボタンをクリックすると,数直線の上に矢印がでる。
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小学校では,正の整数しか扱いません。ですから,0はいつも左端にあります。そのため,「数直線は左端からスタートする」という意識が自然と育っています。
これが中学の数学になると,原点は真ん中に位置します。そのため,スタートは0のある位置(たいてい中央)になります。
この違いはとても大きいです。「端をそろえる」という思考から,「0をそろえる」という思考になり,考え方が,より抽象的になっています。いわば,抽象思考を一つ上の段階に高めるステップになっているのです。
もちろん,「負の数」という概念も,非常に抽象的です。数学は,小学校の算数と違い,抽象の世界へどんどん入っていきます。脳を鍛えるなら,やっぱり数学と思います。
0が中心なって数が構成されていることを無理なく頭に入れるのに役立つのが,矢印です。
矢印は中学の教科書にも示されていますが,静止画はやはり印象が薄いです。[桜]スライダーで,矢印が伸びたり縮んだりするのを見ることで,正の整数と,負の整数とが正反対の関係にあることが感覚的に理解できます。
「抽象的な内容は,まず感覚的に把握する」
これが理解していく一番の道です。
この数学ソフトも,「もっと!算数」にアップしました。[桜]スライダーを試してみてください。
恩師である宇佐美寛先生から先だってご紹介いただいた本が発売になりました。早速注文をし,読みました。
大学の先生でありながら,授業の工夫をよくされていて,実に驚きました。
「問題形式」とタイトルにありますが,選択問題で理由を考えさせる形の授業が紹介されています。読んでみるとわかりますが,選択式の出題も功を奏しています。さらに,「簡単そうだが,わからない」切り口で,出題されています。この両方が実によい感じです。大学の授業が掲載されていますが,小学校・中学校の先生にも参考になる本です。
太田邦郎先生は,数学の先生でもあります。学研から『読むだけ微積分』を出しています。こちらも読みましたが,わかりやすかったです。