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川で洗い物

有田和正先生でしたら,こういう写真を見て「ハテナ」を見つけさせるのだろうなと思います。
そのハテナから,時代が見てくるとさらに良い教材となります。

写真ですから,撮影したときの状態を残しています。
大きな状態は,川で何かを洗っていることです。
小さな状態は,姉さんかむりをしている,たすきがけをしている,着物を着ている,まわりに鍋のようなものがある,後ろにざるがある,その右後方にタライがある・・・

この写真が載っていた本は,理科の教科書です。
戦前の昭和18年に作られた『初等科理科 三』です。

この当時,水道の普及は20%ぐらいでした。ですので,洗い物を水道で行う家庭は小数派となります。
教科書ですから,当時の一般的な洗い方を示す必要があります。ということは,川での洗い物が,この当時は普通だったということになります。

でも,洗う状態を示すなら,井戸でも良いのでは・・・と思えます。
なぜ,井戸が選ばれなかったのかは,この写真からは分かりません。

本文に次のようにあります。
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野菜ハキレイナ水デヨク洗ツテタベヨウ。
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この当時,野菜は綺麗な水で洗う物だったのです。
なぜでしょう。
その理由も当時の教科書に示されています。
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野菜ニハ,クワイチユウノ卵ノツイテヰルモノガアルカラ,
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蛔虫の卵を洗い落とす必要があったのです。
それには,タライに汲み出す井戸水より,流れている川の水の方が効果が高いです。

こういう時代を考えることは楽しい一時なのですが,この写真は,妙に心に迫り来る物があります。
今から70年前の人たちの生活。それを思うと,「面倒だな」と思うことがバチ当たりのように思えてなりません。

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