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「必然性のないゲスト」

  算数の授業に,「必然性のないゲスト」を登場させるのは,一つのユーモアであり,味付けになるので,子ども達は授業に入り込んできます。

  

  これは,「数直線君」です。工作用紙で数直線を作っておいて,黒板に貼り付くようにしておきます。これとは別に,上半身と手を描いた画用紙を用意しておいて,それも一緒に黒板に貼ります。
  あとは,目盛りの数値と矢印を書いて,「ここはいくつ?」などと聞きます。
  0や1つめの目盛りのあたりは,ちょうど脇の下あたりになるので,そこにチョークで矢印を書いたら,「コチョバイ! コチョバイ!」と言って,楽しみます。何というか,ゲストのおかげで笑いが生まれるのです。

  「小数点君」というのもいます。丸いマジックに顔を書いて,小数点を打つところにペタッと貼ります。「小数点イカべー」や「四捨五入ヘビ君」「股さけヘビ君」「カマキリライダー180度」「スイートポテト」などもいました。懐かしいです。

  どうして,こういったゲスト出演をさせると良いのか,若い頃は真剣に友達の先生に話していました。  
  算数は抽象の世界へ進む学問なので,人情とか感情とか命とか血とか,そういった暖かみのある世界からどんどん離れていきます。すると,それに比例するように,授業は淡泊になってきます。
  これが子ども達をその気にさせない大きな要因と思っていたのです。ですので,当時は,「算数の擬人化」を推し進めていました。「数直線君」も「小数点君」も,そういった考えの表れです。

  こういう努力をしなければならなかったのは,私が現役だった頃は,算数そのものの魅力を表現できない時代だったからです。
  今は,算数ソフトで数直線を扱えば,矢印をスライダーで動かすことも出来,同時に数値も示せます。子ども達は,ごく自然に,提示されている数直線の目盛りの仕組みを,自分の頭で解き明かそうとしてきます。もう,これで十分です。ですので,ソフトの中でも「必然性のないゲスト」は登場してきますが,その重要度は昔ほどの大きさはなくなっています。でも,不思議なもので,ソフトの中でもゲストが登場した方が楽しくなるので,私のソフトには時々ゲストが登場しています。

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