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5年生 「分数×整数」の計算練習ソフト

  「分数×整数」の計算練習用ソフトです。

  分数の絡むソフトは,本当に作るのに難儀します。
  途中で約分をしたり,しなかったりするからです。

  PCソフトなんだから,ピッピッ!と自動的に作れると良いのですが,そうはいきません。
  自動的になるのは,先生方が使うときです。作るときは,一つ一つ,「この数とこの数が出合ったら約分をしなさい!」 と命令を書いてきます。まさに,手作りなのです。
  
  ありがたいのは,時間をかければ何とか作れますので,求められるのは「根気」です。この「根気」のエネル源は,子ども達が喜んで算数をしてくれるその様子です。先生方から,子ども達がこうだったよ!とメールをいただくことが何よりも嬉しい力になっています。ありがとうございます!!

  火曜日には1本アップできると思います。
  算数ソフトファンの先生方,どうぞお楽しみに。

『算術と数学の歴史』(古書)

  神田の古本屋で見つけた『算術と数学の歴史』(昭和16年)という本です。
  うっすらと,「僕らの科学文庫」と表紙に彫り込みが入っているのが見えるように,この本は当時の小学生高学年・中学生向けに書かれた本です。
  でも,中身は非常にレベルが高いです。
  第1章に「フィボナッチ級数」がでてきます。これを知っている小学校の先生はあまりいません。でも,これを知っていると植物の観察の視点ががらっと変わります。
  自然界とのつながりの深い級数なので,案外,理科が得意な先生の方が知っているかもしれません。

  太平洋戦争開戦の8ヶ月前に出た本ですが,時局が暗くなっても算数を大切に伝えようとした人たちがいたことが,嬉しいです。

  この本には,800年前のドイツの九九表や,2500年ほど前に活発だったピタゴラス教団が作った九九表なども載っていて,算数周辺のとてもよい勉強になりました。
  こういう本を読み終えると,算数の本を作りたくなります。かなり面白い本が作れると思うのですが,これはもう少し先までとっておきましょう。

  デカルトのことも,おしまいの方に少し載っていました。
  デカルトが『解析幾何学』を発明したこと。「解析幾何学」というのは,「グラフ」の方法による幾何学であることなど,簡単に説明されていました。そうして,デカルトはグラフの目盛りをうんと小さくし,折れ線として見えているグラフを曲線としてみて考えていたとあり,「見方」の認識がまたひとつ良い感じになりました。

琉球古来の数学

  算数や数学の本を読んでいると,ときどき,沖縄の昔の数について載っていることがあります。
  気にはなっていましたが,そういう本があるとは知らなかったので,これまで読む機会がありませんでした。

  本を読む面白さは,読みたい本・読むべき本が次々と本の中から登場してくる所にもあります。
  そういう箇所を見つけると,すぐに付箋紙を貼り,「本」と書いたり,書名を簡略に書いたりしています。
  この『琉球古来の数学と結縄及び記標文字』も,本を読むことで知った本です。

  勉強になったのは,藁(わら)などを使って数を記憶する方法です。すでに,知っている方法も載っていますが,私の知る限りは,他の算術本には出てこない希有な方法が示されていました。  
  こういう記録を残してくれた矢袋先生に感謝です。おかげで私までが貴重な沖縄の算数を知ることが出来ました。
  
  感謝の気持ちで読み進めていたら,終盤,驚くべき事実・考えが書かれていました。
  沖縄の昔の藁を使った算術は,残念ながら高度に発達しませんでした。その原因は生活がそれ以上の算術を必要としていなかったからです。なにしろ,ある島では明治初年までお金が使われていなかったのだそうです。また,その島には,紙が明治20年頃まで無かったとも書いてあります。文化生活との縁が遅れれば遅れるほど,文化の基盤をつくる算術が発達しないのです。
  ここから,ちょっと飛躍しますが,学力を高めるには生活の「文化前進」が大切と言うことになります。学校はコンピュータをどんどん導入しています。これは,それだけでもとても良い文化環境になっているのだと感じてきました。

  これの類書が神田の古本屋に並んでいます。26日に購入しようと思っています。
  算数から文化が見えてきて,ますます面白い世界だと感じ入っています。

5年,分数のかけ算ソフト

  ペンキの図です。
  教科書にも定番のように出てきます。
  
  この図を使わなくても,分数×整数の理解(なぜ,分子×整数をするのか)は,できます。
  その場合は,「ジュースが2/3Lあって,それが3つあったら,何L?」などといった,イメージしやすい問題を出します。
  また,分母・分子を一言で説明できる状態に子ども達を伸ばしておきます。「分母は入れ物の目盛り」「分子は中身(ジュース)」という具合に。
  このように,「目盛り」と「中身」と例えておくと,3つあるのは目盛りなのか中身なのか,簡単に分かります。もちろん,中身です。
  だから,「中身(分子)×整数」となるのです。

  しかし,それでもペンキ塗りのような図が教科書には登場してきます。6年生で学ぶ「分数×分数」に備えるためです。
  ×分数を理解するには,「単位分数でいくつ分」という頭の働きが必要です。そのために,「1がいくつ分」という姿(単位量あたりの大きさの考え方)がかけ算の姿なんだと示す必要があります。ペンキの図はそのためにとても便利な図なのです。(動けば,もっといいのですが・・)

  このソフトがアップされたら,アニメーションをぜひご覧ください。動きます!!
  動くので,子どもにとってちょっとわかりにくい教科書がとってもよく分かるようになるのです。

  かけ算九九を学習した頃は,「かけられる数」という言い回しがありました。
  分数のかけ算では,「元の数」「単位となっている数」「単位量」などと,言い回しを変える配慮があるとグッドです。「元」も「単」も,「1」という意味を持っているからです。
  「かけられる」というのは行為から見た言い方です。分数のかけ算では,計算の仕組みを考えるので,この言い方は,ちょっと向きません。

5年の算数ソフト 分数のかけ算(1)

  分数ソフト開発は,とんでもなく大変な世界です。
  
  桜のスライダーを動かすと,数がかわります。これは,いつもの通りです。
  ピンクの桜スライダーは,3→2→1→分数と変わっていきます。
  緑の桜スライダーは,2倍~5倍の間で数が出ます。

  単純に数を出すだけなら,何の問題もありません。
  ですが,初めての「分数×整数」の学習ですので,「約分をしない問題」で構成しなければなりません。
  約分が入ると,学習事項が増え,気になる子がついていきにくくなるからです。
  これは避けるべき状態です。逆に,気になる子にも,元気よくどんどん理解し,習熟してほしいと願っています。
  それには,「約分無しの出題」だけが出るようにしなければなりません。
  ここに,時間がかかりました。

  明日には,「もっと!算数」にアップできると思います。

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  算数ソフトを使う先生が,どんどん増えています。そうして,今年度は,算数ソフトを使った授業実践の研究も,メーリングリストや,茶話会などで,親友の先生方と進めています。
  この研究が,思っていた以上に大きな成果を上げています
  このまま仲間内でワイワイやり続けるのも良いのですが,どんどん増えている算数ソフトファンの先生方のお役に立てるように本作りができたらと思っています。
  

5年の算数ソフト 分数のかけ算,少し進みました!

  まだまだ,お見せできる状態ではありませんが,「分数×整数」のソフト開発に着手しました。
  
  ソフトは,「ベース作り」と,「動き作り」と,「ボタンまわり」。この3つの作業が延々と続きます。
  昨日,今日と作っていたのは「ベース作り」です。
  ですので,「×整数」の動きは,元の数が整数であろうが,分数であろうが,現象的に同じであることを知らしめる所までは,作れていません。「動き作り」は,明日からになります。

  「×整数」と「÷整数」を見比べると,つくづく面白いなぁと思います。

  図で表すと,「×整数」も「÷整数」も,まずは似たような図になります。
  でも,動きのスタートの数値が違うのです。
  「×整数」は,「1からスタート」します。
  「÷整数」は,「整数からスタート」します。

  ゴールはどうかというと,次のようになります。
  「×整数」は,「整数がゴール」となります。
  「÷整数」は,「1がゴール」となるのです。
 
  ベテランの先生は知っている,ちょっとしたところです。