Monthly Archives: 4月 2012

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有田和正先生の情報スクラップ法

有田和正先生の御自宅を訪問いたしました。

先月31日の三省堂本店での「有田和正先生の特別授業」の話でまず盛り上がりました。
広島の井上努先生がとっても喜ばれていたこと。
岩手の佐藤正寿先生はどこに行っても必ず参加されていること。
群馬の大谷雅昭先生がホタルの名人であること。
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そうして,ハガキがたくさん届いたことなど,大変喜ばれていました。

それから先は,有田先生のお話タイムです。
次から次へと社会の面白い話しが飛び出してきます。
途中,社会の本を何冊か見せてくださいました。
それを見て,ビックリです!

有田先生は新聞などを切り抜いてスクラップしています。
日本初の週刊誌,「週刊朝日」と「サンデー毎日」が生まれたのが90年前。
その話題が載っていた新聞の切り抜き(朝日新聞の天声人語)もスクラップされていました。
その記事は私も読んでいたので,特に見る必要もなかったのですが,所が所が!

なんと,新聞の切り抜きは,見せていただいた社会の本に貼り付けてあったのです。
もちろん,ノートに貼り付けての保存もされていますが,それとは別に,本にも貼り付けてスクラップされていました。
あまりに,斬新で一瞬頭が止まりました。

とても勉強になりました。
追究の鬼の楽屋裏を見せていただいた思いです。
有田先生,ありがとうございました。

6年生の算数「起こり得る場合」

6年生に,「起こり得る場合」の単元があります。
「並べ方」と「組み合わせ」の単元です。

左のソフトは,その中の「並べ方」のソフトです。

左側の人物カードをクリックすると,クリックした順に左下に並びます。
同時に,右側にその履歴が残ります。
子ども達が考えついた順番でどんどんクリックしていくと,その順が履歴としてしっかり残っていきます。

「1枚だけもどす」
「一列もどす」
「全部もどす」
といった機能も付いています。

さらに,並べ方の重要な考え方である「重なり」と「落ち」も確認できます。

そうして,授業を考えます。
重要なことは,「整理して並べる」ということです。
「整理して並べる」ことの必要性を出すには,混乱した状態を作ることです。わけが分からない状態です。
それには,一人一人順番にどんな並び順があるか言わせる方法が面白いです。
不規則に並べ方が登場します。10組も並び方が出てきたら,そろそろ??となる子が増えてきます。
つぶやきも聞こえてきます。「わかんない・・」と。

つぶやきを拾って,分からなくならない並べ方を考えてもらいます。
授業は良い感じで進みます。
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このソフトは,『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』の6年4巻に入っています。
6年4巻は「起こりうる場合」と「分数のかけ算・わり算」の2単元のソフトが入っています。
起こりうる場合 → 10本
分数のかけ算・わり算 → 10本
合計20本の授業用ソフトが入っています。

山中伸之先生の新刊『できる教師の叱り方・ほめ方の極意』

友達の山中伸之先生の新刊『できる教師の叱り方・ほめ方の極意』(学陽書房)です。
山中先生は,毎年毎年,本を出しています。
もう,かなりの売れっ子先生です。

山中先生の本を読むと,「こう考えるのか」といった考え方がとても勉強になります。
例えば,序章に何のために叱るのかが書いてあります。普通は,子ども達を良い方向に育てるためと考えつくことですが,山中先生は違います。教育の目的から考えるようにすすめています。

ハッとさせられます。
叱ることは,政治家の大物もします。お医者さんもしかります。
不良グループのリーダーだってしかります。泥棒の親分もしかります。
誰でも叱るのですが,しかる場合が職業によって違います。
それぞれの職業には,それにふさわしい目的があり,その目的に照らし合わせて,叱る場面がでてきます。
教師の叱りの大元をどこに据え置くのか。
これを山中先生は,教育の目的に置いて話を進めています。
なるほど!と感心した次第です。

叱り方のタブー
叱る心得
叱り方8変化
叱るのが苦手な教師は
ほめ方のタブー
ほめる心得
ほめ方7変化
ほめるのが苦手な教師は

読み応えのある本です。

 

中学1年の「平行移動」のソフト

平行移動を学習する時に使えるソフトです。
理屈で説明されるより,「こういう事か」と直観的に感じ取って欲しくて,作りました。
その方が理解が深くなるからです。

平行移動の特徴は,「両者が平行」ということです。
それは,頂点を結んだ赤い線分の「長さが等しく」「互いに平行」となります。

それをどうやって表現するか。これがソフト開発の考えどころです。
シンプルにして,わかりやすい。
そうなるようにと思い,ダッシュのある図形を自在にドラッグできるようにつくりました。
もちろん,頂点を結ぶ赤い線分もドラッグに合わせて伸びたり縮んだりします。

これだけでも,見た目でなんだか「距離が等しい」「互いに平行」がつかめます。
特に,左側の線分の方は,見た目が既習の平行四辺形になるので,「ああ,そういうことか!」と理解が進みます。
その上に,重要な「数の同時表現」も機能として付けました。
「?」ボタンをクリックすると,赤い線分の長さが表示されます。見た瞬間に,「確かに同じ!」と分かります。

また,方眼も付いています。方眼は数ではありません。でも,マス目を数えることで,「数の代用」となります。
機能的には「数」の側に近い存在となっているのが,方眼です。
ダッシュの図形は,この方眼の交点に吸い付くように移動します。
ですので,方眼を数えることで赤い線分の傾きが等しいこともつかめます。

作り進め,自分で動かしてみて思うことは,「やっぱり面白い!」ということです。
ダッシュの図形を動かすと,それに合わせて赤い線分が伸び縮みするのも面白いです。
線分の中央に出てくる数が伸縮に合わせてどんどん変わるのも,見ていて楽しいです。

算数・数学の面白さは,このように「学習内容そのもの」に備わっています。
ですので授業の重要なポイントは,学習そのものの面白さを正面から示す事にあります。

余談ですが,小学校で平行四辺形を教えるとき,2本の棒の端にゴムをつけて,平行の感触をつかませたことがあります。
研究授業でやって褒められましたが,棒の距離が短くなるとゴムがたるみ,離れすぎるとゴムの力で戻されてしまい,演出できる範囲が狭かったのが難点でした。
それでも,動かない図で教えるよりは,とてもわかりやすい授業になりました。
もちろん,子ども達もグイッと惹きつけられて,良い感じでした。
今は,ソフトが開発されています。誰でも良い感じで「学習内容そのもの」の面白さを示すことができます。良い時代です。

城ヶ崎先生の学級づくり

城ヶ崎滋雄先生と長くお付き合いをしています。
15年ぐらい前からでしょうか,城ヶ崎先生の指導は次第に変わっていきました。
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「剛」から「柔」。柔の中に剛を秘める。柔軟にして剛あり。
「動」から「静」。静の中に動を秘める。静寂にして動あり。
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新学期,子ども達と出会います。
何をどうするか,それを決めてかかりません。
まずは,昨年までどうしていたかを尋ね,それを聞きます。
聞いては褒め,やってもらいます。
やってもらっては,また褒め,その良さを自覚させます。
自覚が心を鍛え,鍛えられた心に課題を与えます。

具体的にどうしているのでしょう。
城ヶ崎先生のブログをご覧下さい。そのうち,ヒントとなる内容が掲載されます。

これまでの流れに逆らいません。
逆に,これまでの流れに乗るようにして,新しい学級づくりが進みます。

これは城ヶ崎先生の学級づくりの一つの特徴です。

流れに乗りつつ,城ヶ崎先生が進めていくことがあります。
それは「日常性からの離脱」です。
城ヶ崎学級らしい,いくつかの行為が課せられていきます。

「戒律」のような戒めもあります。
「劇場」のような楽しみもあります。

それら一つ一つが日常的なあり方から,子ども達を遠ざけます。
ある時は古武道の道場でもあり,ある時は病院の診察室でもあり,また,ある時は演劇の最中のような感触です。
そうして,気がつくと独特の空気をもった生き生きとしたクラスへと成長していきます。

城ヶ崎先生は学級が崩れることは考えられないと言います。
はっきり言って,「崩れようがない」のです。

城ヶ崎先生に限らず,学級づくりの上手な先生は他にもたくさんいます。
さすがだと思う先生の話には,必ず「上質の掟(形)」が存在しています。
その掟(形)の特徴は,行為を伴う掟(形)だということです。

この「上質の掟(形)」の存在が,その学級を普通の学級からの脱却を誘います。
そこに,「日常性からの離脱」があるからです。
日常的な感覚から離れるからクラスは崩れなくなり,しっかりと伸びていくのです。

今週の土曜日は,「チーム算数」です。
城ヶ崎先生の話を楽しく聴くことができます。嬉しい一時です。

算数の原理

三省堂本店で,有田和正先生とお話しをさせていただいた時,算数の大雑把な話をしました。
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算数は「きまり」に向かって進みます。
その後,応用や実用といった広がりを持ちます。
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基本的に,この「きまり」→「応用・実用」が繰り返されます。
角度や面積など,軽く思い出すだけでも,この流れになっていることがわかります。

大筋,こんな風なことなのだと分かっていると,頭は少しスッキリします。
「きまり」に向かうときには,広がりを求める活動はしてはいけないのだと,簡単に分かるからです。操作学習や体験学習をすると,子ども達はあれこれと気づきが生じます。
面白い発見もでてきます。
でも,目をつぶります。めざすは,「きまり」だからです。

昔の戦に例えれば,「きまり」という大将の首をとることを目指せばいいのです。
雑魚を何人やっつけても,価値がないのが算数です。

算数ソフトは「きまり」を見つける学習に非常に力を発揮します。
ソフトを見ている内に,「あっ!分かった」とか「ああ,そういうことか」と自分なりにきまりを理解していきます。
自分で見いだすと,不思議と伝えたくなります。
「こういうことでしょ!」とか,「だって,こうなってるじゃん」と。

自分で見つけたきまりは,実に素朴です。
それを表現させると,くどくなったり,あらっぽくなったりします。
でも,この「素朴なきまり」は,とても大切です。
根源的な原理を正しく把握しているからです。
ただ,その表現がお粗末なのです。
言語化で後れを取っているのです。

ここまでつかめると,言語化を高める手立てを,考えればよいことに気がついてきます。
自分なりの「素朴なきまり」きまりを,ノートに記述させます。
稚拙でOKです。
それから,教科書の定義と見比べさせます。
教科書の言葉のシャープさが際だって見えてきます。
必要最小限の言葉で,誤解の無いように書く。
究極の達意の文章。
それを学べます。

有田先生とのお話の中で,きまりの理解の部分を「きまり」から「感覚」「体得」へと話しました。
ここも算数の大切な所です。後日,記します。