算数の授業中,子ども達の考えが行き詰まることがあります。
そんなとき,頭に入れておくと良いのが,左の図です。
数を見て考えているとき,子どもは素直なので,数で考え続ける傾向があります。
物を操作しているときも,手の動きに頭が向かってしまいます。
そんな子ども達の頭を,算数として柔軟にするために,昔から,数だけで考えさせず,絵を描いたり,図を示したり,物を並べさせたりと,工夫してきました。逆に,物を使うときには,物をブロックにしたり,図にしたり,大きな声で数えたりと,工夫をしています。
ここまでは,通常の授業でも,教科書がそのようになっているので,皆さんそのようにされています。
算数を専門としている先生は,本をよく読んでいるので,ここから一歩前進します。子ども達に「算数の思考方法」として,この3つで考えると良いことを意図的に授けていきます。だから,算数を専門とする先生のクラスの授業では,考える場面で多彩な案が出てきます。
この「数」「図」「物」を上手に活用して考える考え方を,昔懐かしい言葉で「三段階連関理論」と言います。別名,「上り下りの論理」とも言います。「具体と抽象の3つの段階を,上ったり下りたり,行ったり来たりする」ということです。
具体と抽象を行ったり来たりすること。これが,「理解」を深まめます。
算数ソフトが子ども達の理解を飛躍的によくするのは,数と図と物の連動を実現しているからです。過去の大先輩方の論理に学びつつ開発しているので,期待以上の成果を上げています!
さて,今年度は講座を回りつつ,算数ソフトを使う先生方と話をしたいと思っています。良い感じの成果を聞かせてください。
ソフトを使って「意図的に」何か授けていることがあったら,それは是非聞きたいです。
『新任教師 はじめの一歩』
かなり高度な内容がみっちりと載っている読み応えのある本です。
たとえば,提出物には内なる締め切り日をもうける。
これに私が気づいたのは30代になってからです。それまでは,締め切りに少し遅れるぐらいが格好良いというような気分がありました。
ところが,締め切りを過ぎてしまうと,仕事が重荷になってきます。ずっしりと重くなってきます。締め切りに遅れるなんて事は,大馬鹿のすることです。
そう反省して,自分で締め切り日を,言われた日より数日早めに設定するようにしました。それでも,遅れることがありましたが,次第に締め切り以前に提出できる自分になったのです。すると,仕事が面白くなってきます。追いかける感じになるからです。
日直が教材研究の場。
これも私はなかなか気がつきませんでした。日直でせっかく他の先生の教室に入るのですが,とにかく戸締まりを急ぐだけで,勉強できる事に気がつかなかったのです。勉強する気で先輩の教室を見ると,「なるほど!」だらけです。見て勉強になったことを先輩に聞けば,先輩も気持ちよく話してくれます。管理日直はありがたい仕事なのです。それに気づくまで,何年もかかっていました。うつけだったのです。
『新任教師 はじめの一歩』は,とても質の高い内容が広範囲にわたって書いてあります。読みやすいので,頭への入りもグッと良いです。
それにしても,この内容を新卒の先生が読んだら,かなり手強い先生になります。経験のある先生には,自分の役にも立ちますし,後輩指導の良質の視点を学ぶことが出来ます。
有田和正先生が推薦しています。私も推薦します。良い本です!!
千葉大学の大田邦郎先生の『読むだけ微積分』です。
① 距離を面積で表すことが積分になること。
② ストロボ写真は理解に役立つこと。
この2点は,とても勉強になりました。
とくに,①は小学校で教える概念のままでは理解不能です。何かしらの工夫が必要です。いつかは,この場面のソフトも作る日が来るだろうと思っていますので,その時が来たら,あれこれ考えたいと思います。
小学校の算数は微分積分のにおいがしません。
微積で表す場面が無いというのではなく,微積がそこに横たわっていることがつかみにくいのです。
微積への新しい問題意識を持つことができたのが,この本です。ありがたい一冊です。
偶然,この本の著者の大田先生が千葉大の教授で,宇佐美先生からお誘いを受けた合評会での本『問題形式で考えさせる』(東信堂)の著者の先生でした。『問題形式で考えさせる』は近代教育史の本です。ですので,数学とはあまりに遠い世界でしたので,最初は別人と思ってしまいました。
小学館の『総合教育技術』の4月号。この号に付録がついています。ちょうど,文庫本1冊分に相当するぐらいの本です。タイトルは雑誌の表紙にも書いてありますが,「日本の名教育者」です。
大村はま先生も,岸本先生も,有田先生も,野口先生も,向山先生も,陰山先生も載っています。
古いところでは,貝原益軒や緒方洪庵,吉田松陰,空海なども載っています。
全国の先生方が一押しする先生ということで,アンケートした結果によるものです。たしか,昨年の夏頃に本誌に特集で載っていました。
この付録を手元に置くだけでも,役立ちます。
『現代教育科学』(4月号,明治図書)には,宇佐美寛先生の連載が載っています。
合評会の後の会食で,宇佐美先生から5月号の原稿コピーをいただきました。4月号の内容もすごかったのですが,続く5月号は,さらに強烈にガツンと来ました。ものすごく勉強になりました。何しろ,題材が指導要領の解説の文章です。アッと驚きの連続でした。非常に高いレベルで勉強になりました。その先,6月号7月号とどう続くのだろうかと,とっても気になっています。とにかく,目を低くすることを怠らないことです。
算数ソフトを使っている先生から・・・・
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この1年、算数ソフトが大活躍でした!子ども達はみんな、算数が大好きです。「動きがある」ことが、こんなにも大きな違いを生むのだと、痛感させられました。本当に素晴らしいです。
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普通の活躍ではなく,「大活躍」をしたのです。しかも,1年間!
さらに,「子ども達がみんな算数大好き」なのです。
嬉しいじゃないですか。
子ども達が,算数を好きになってくれたんです。
学年が進むにつれて,嫌いになる子が増える算数。その算数を好きになってくれたんです。作り手の私も,嬉しくてたまりません。
私に大きな喜びを与えてくれたのは,お友達の菅原先生です。まだ,若いバリバリの先生です。
若いのですが,「動きの有無が大きな違いを生む」ことを見いだしています。
これは,大切な発見です。
算数は,重要な部分を,動詞が占めています。「合わせる」「残りは」「分ける」「はかる」・・・。動詞なんですから,動かせばいいのです。動かせば,わかりやすくなります。
若いときから,こういう子どもの頭にグッと来る所に着目したら,行く末が楽しみです。これもまた,嬉しいことです。
算数ソフトを使う先生がどんどん増えているので,私のブログも,算数ソフトに関わる内容が増えてきています。これも時代の流れです。