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「教材・授業開発研究所ニュース」の最新号は,今日出ました。私は原稿は,本日の号から5回連載されます。テーマは,「100点が続出! 算数教育」です。
このブログにも書いていますが,算数ソフトを使う事で,驚くような成果が出ています。ソフト開発を進めてきて,本当に良かったと思っています。
高崎に行ったとき,若い菅原先生と話が出来ました。算数ソフトを使った授業のことを伺いました。画面の右上に「1」「2」「3」と類似問題が出ていて,それがステップアップの苦手な子を救っているとのことでした。類題なので,すごくわかりやすいのです。そうして,算数が大好きになっていくと言っていました。
さらに,菅原先生は算数ソフトを使って気がついたことがあると,話してくれました。
それは,「できる子は,1回でわかる」「できない子でも,3回4回でわかる」ということです。理解に法則があると気づいたのです。
特に重要なのは,クリック一つで瞬時に次の問題を出せる事だとも言っていました。
こういう気づきは他の学習でも応用できます。また,どこかでお会いしたときに,お話の続きを伺いたいと思っています。
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茶話会,4月24日(日)の午後2時から。さつきが丘のジョナサンです。城ヶ崎滋雄先生,佐々木智光先生と語らいます。
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久しぶりに,発見をしました。
かの有名な最澄が分数での表現をしていたことを発見したのです。その使い方が,鴨長明とも世阿弥とも違い,私には「斬新!」という使い方でした。
発見した書は,『小学国史教師用書』(文部省)です。「教師用書」というのは,小学校の先生が授業を良い感じで進められるように作られた,授業専用の参考書です。
この本には,ひたすら国史が綴られています。一区切りが来ると,そこに文献が引用紹介されています。日本書紀も出てくれば,続日本書紀も, 日本後記も,栄華物語も・・・と,「こういう歴史書から本書を作りましたよ」とわかるように掲載されています。
その引用紹介の中に,最澄の著した「勧奨天台宗年分学生式」が載っていました。ここに分数が使われていたのです。
でも,その表現はパッと見ただけでは分数とは理解できません。たまたま,私の読んでいる古書の持ち主だった方が,添え書きとして分数であることがわかるように記してくれていたので,発見でき,「ああ,なるほど!」と思ったのです。
1日之中,二分内学,一分外学
この「二分」と「一分」が分数の意味なのです。一日の内の2/3は内学し,1/3は外学するという意味です。
分母を省略して分数を表しているととらえる事も出来ます。
分子に「分」をつけて用いているとも思えます。
でも,もっとも普通と思われるのは「2つ分」「1つ分」という感覚です。腹の内で1日を3つに分けておいて,文字としては「その中の2つ分」「1つ分」と表していたのだろうと思います。
この表現を用いた文章は,「勧奨天台宗年分学生式」の一部です。「勧奨天台宗年分学生式」というのは,「天台宗年分学生を勧奨する式」と読みます。最澄が学僧を養成するにあたり,12年間は修行しますよ,2人卒業したら2人新規に入れますよなど,学校の校則のようなことを記した書です。
もちろん,日記や物語とは違う,いわば説明文です。ですので,読み手によって最澄の意図が変わって認識されることなく,誰にとっても,同じように最澄の意図が伝わるように書いてある書なのです。ということは,当時の高僧の間では,上のような表現が分数の意味であることが常識としてあったのです。分数を日常的な表現として用いることは,高僧の世界では常識だったと考えられます。
こんな調子で,頭の中をあれこれ巡りました。私にはとても嬉しい大発見でした。
千葉大学の理学部4号館へ。その建物がどこにあるのか,よくわからず,「30年ぶりの理学部」を感じてきました。
研究室で,大田邦郎先生と2時間も楽しく算数話をしました。
研究室は算数・数学の本だらけです。棚の上には教科書もそろっています。資料の多さに,やっぱり大学はすごいところだと痛感しました。
大田先生はいろいろと資料を用意してくださり,私にもわかるような話をたくさんしてくれました。そうして,ありがたいなと思ったのは,今の教科書の内容について,「数学的に問題点がある」という指摘を次々と聞かせてくれたことです。教科書の内容をどう教えるかに終始していたので,こういう気がつきにくい所の指摘は,なるほどと感心させられました。
算数は新しい時代を迎えつつあります。大学の先生の英知にも学びつつ,前進していきたいと思います。
研究室のお迎いの部屋が,なんと道徳の上杉先生の研究室でした。ご挨拶をしたのですが,授業中で留守でした。
「鋭角」とか「鈍角」。
学生の頃に習った言葉です。
こういう熟語を覚えると,ちょっと利口になった気分になります。学術用語が熟語として発展してきた歴史があるからです。
本居宣長が,熟語で考えを進めるのは中国崇拝ではないか!と,出来るだけ和語を中心にした日本古来の言葉を使うようにしていた過去があります。これはとても刺激的でしたが,時代の流れを変えるほどにはなりませんでした。
宣長が亡くなり,時代が明治になると,日本で西洋の学術用語の吸収が始まりました。
当時の学者の大勢は,中国の漢語こそ学術にふさわしいと考える人たちだったので,新しい言葉を作るときも,中国の言葉を利用したり,漢語風に二字熟語を新しく作って対応してきました。
この歴史の流れを私たちは受け継いでいるので,熟語で用語を書くと,どうにも利口そうに感じるのです。
そういう感覚が日本人にあるのですから,学術用語は少し多めに教えても良いように思います。
でも,小学校は学術用語をあまり教えない傾向にあります。わかりにくいとか,覚えることが増えるとか,いろいろな理由があるのだと思いますが,算数が面白くなってしまった今の時代からは,ちょっとばかり,用語を教えていっても良いのではないかと思っています。
それに,小学校の先生の教え方も,昔よりうんと質が高くなっています。腕が良くなってきています。ちょっと,歯ごたえのある学習がこれから花咲くように感じています。
角の大きさの所。小学校で習う用語は,「角」と「直角」「回転」ぐらいでしょうか。
もったいないような気もします。
「鋭角」だって,「鈍角」だって,教えても良いように思います。他にも,180度の角(直線)を「平角」といいます。
角の用語だけを楽しく学ぶソフトを作ってみました。もしかしたら,「もっと!算数」にアップするかもしれませんが,名称だけのソフトなので,どうもマニア向けとなりそうです。アップしないかもしれません。ちょっと,考えます。
※ アップは断念しました。ソフトとして,ちょっと稚拙だからです。
180度を超える大きな角の読み方も,4年生で学習します。
分度器は,180度までしか表示されていないので,「180度と残り」と考えるか,「360度に不足」と考えるかのどちらかで求めます。
授業で扱うと,どうしても,求め方という方法に力が向きがちですが,一番大事なことは「角度の感覚」を養うことです。
パッと見て,「180度より大きい!」とか,「270度ぐらいだぜ」とか,「360度にちょい欠け」と,数値を軸にした表現ができるようにすることです。
この角度感覚は,回数をこなさないと身につきません。10回でも20回でも。気合いを入れて50回でも繰り返せば,体にしみこんできます。
この部分を,村井恭子先生が「いっぽだより」にご紹介くださっています。
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でも、算数では「子どもが夢中で手を挙げる算数」で、角度がどれぐらいか当てる、というコンテンツを使って大盛り上がりで楽しめました。
今日は180度を超える大きな角度をあてっこしました。「アミーゴ!」でサボテンくんが大きくなるところがものすごく喜んでいました。全員がこちらを向いていました。空気が違っていました。
「おもしろい!!」「先生、もっとやりたい!」という空気の波(実際に声に出している子もおりました)が黒板にぶつかってくるのが分かりました。「…残念、時間となりました(ちょっと感涙)」
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やりたい!という空気の波が黒板にぶつかって跳ね返るほどのやる気が,教室中に満ちあふれていたのです。
納得するまで,何度なのか考え,知らない間に角度感覚が身についてしまう。そんな状態ですね。
それにしても,今はまだ4月。それも,新学期が始まったばかりです。
それでこの元気!!
やっぱり,算数は面白い勉強なのです。
途中で時間となったということは,次の時間も少し「角度推理」の勉強をすることになります。
これは,とても良い方法です。
日を変えて繰り返すと,体へのしみこみがグッと良くなるからです。
村井恭子先生の「いっぽだより」。BCC配信のメールマガジンです。ほぼ日刊で届きます。村井先生は現在4年生の担任です。ですので,4年生を担任している先生が「いっぽだより」を読むと,あれこれ共感したり,勉強になったりするのではないでしょうか。
読んでみたい先生,いらっしゃいましたら,村井先生へメールをされてみてください。私も愛読者の一人です。お薦めします。
murai●ipc-tokai.or.jp ●のところを,半角の@に変えてください。
村井先生のクラスで,「算数ソフト」を使った授業が展開されています。
4年生の角度の勉強です。
いただいたメールに,「分度器を隠し、これは何度ぐらいか、と予想を立てさせるのが大盛り上がりでした。」とありました。
ただの盛り上がりではないのです。「大盛り上がり」なのです。
しかも,単なる遊びをしているのではなく,「角度は何度か」 と,きわめて算数らしい算数をしているのに,大きく盛り上がっているのです。
こういう現象は嬉しいです!
このソフトは,上の画像のように,分度器を見せたり,隠したりできます。
ですので,授業も工夫しやすいです。
村井先生は,上の左側の画像のように,分度器を隠して,角の開きを決めて,子ども達に「これは何度でしょう?!」と聞いたのです。
こういう出題が,クリック・ドラッグで簡単にできます。
子ども達がすっかりわかってしまうまで,何問でも繰り返し出題できます。
ありがたいのは,盛り上がりながら,子ども達が「角度の感覚」を身につけていってしまうことです。
「これは,何となくだけど,40度ぐらいだな」
「これは120度はあるな」
こんな風な感じで,だいたいの角度を感覚的に把握しようと頭を働かせるように導いたのが,村井先生のされた「角度推理」の学習です。
これは力がつきます。
何しろ,分度器には数が二重に表記されています。親切で書かれているのですが,時として,誤答・誤解を招くことがあります。
でも,角度感覚がつくと,つまり,「角の開きと度数との関係をしっかり理解する」と,2つの数字のどちらを見るべきかの判断が出来ます。
この判断が,誤答を遮断してくれます。
「理解は誤解を防ぐ」のです。
「算数ソフト」を使う先生がどんどん増えています。算数好きの子がそれだけ全国に増えているのです。嬉しいです!
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『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』(4年2巻,さくら社)に,上の分度器のソフトが収録されています。すっごく面白いですよ!