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神藤先生から,「効果絶大」と!

  総務省のICT絆プロジェクトで埼玉県へ行き,支援員さんに講話をしてきました。とても前向きな支援員さんで,良い授業が展開されるのだなあと,感じました。
  このときの講話で,3年生の分数指導で算数ソフトを使った先生が,「90点1名,残り全員100点」という大成果を出した話もしました。支援員さんの驚きが大きく,身を乗り出すような感じでしたので,その大成果へと子ども達を導く方法として,次の2点を話しました。
  
    1,先生は出来るだけ説明をせず,子ども達に気づかせるようにする。
    2,ソフトを介して,教科書と子どもの頭を結ぶ。

  1は子ども達に算数をしっかりと理解・習熟させるために行います。
  2は理解・習熟した実力を,テストでスムースに発揮するために行います。
  テストは,教科書から出題されるので,教科書の個々の部分が,どういう意味なのかを把握でき,その習熟が出てきれば,問題なく正答することが出来ます。
  ですので,テストをする前に,教科書を開き,「これは算数ソフトのあの場面だね」と,ソフトを介して教科書が子ども達の頭にしっくり入るようにすすめます。これにより,テストで実力が発揮できるのです。

  これらは,中嶋先生,城ヶ崎先生の実践談話から生み出されてきたことで,ともに学ぶ仲間の存在がとてもありがたいと思っていました。そこへ,神藤先生から,「今年度担任の4年生、算数ソフトの効果が絶大でした」とメールが届きました。
  算数は1年間連続的に指導されていく教科で,ほぼ毎日1時間ずつ指導していく教科です。その算数で「効果絶大」なのですから,これは実に嬉しいです。
  効果の一つ二つを神藤先生から伺いたいと思っています。
  神藤先生は,『教師のチカラ』の編集委員をされている実力ある先生です。

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  算数ソフトを使って算数の授業をされている先生で,こういう良いことがあったよとか,こういう効果があったよ,ということ,ぜひ,横山に教えてください。  yo■kennya.jp  (■を@に書き換えてご利用ください) メールをお待ちしています。

算数ソフトを使った授業づくり

  スーパーホテル部が開催されました。
  参加者は,城ヶ崎先生と中嶋先生と私。非常に豪華なひとときとなりました。

  主たる話は,「算数ソフトを使った授業」についてです。
  これまでも算数の話を先生方とフランクに話したことはありますが,今回ほど濃く,長く話し込んだことはありません。「どの子も算数に夢中になる授業」,それを城ヶ崎先生も中嶋先生も,いとも簡単に実現していました。それだけではなく,新しい指導法が両先生にはどんどん湧いて来ています。その湧き出てきた内容がこれまた素晴らしく,驚きの連続でした。

  私は算数ソフトの作り手ですので,ソフトが算数の授業にとても有効であることは,自分の教師経験から理解できていました。その有効の範囲が,私の予想より非常に大きく広いのです。
  たとえば,「子どもの学習姿勢」にも大きな変化が出ます。城ヶ崎先生は「子ども達が算数の解説者に成長していく」と話してくれました。算数の解説をする子どもなんて,今まで聞いたことがありません。話をよく聞くと,城ヶ崎先生が進めている「予想学習法」が,子ども達を「算数解説者」に成長させるのです。しかも,解説をするのは特別に頭の良い子だけではなく,どの子も,この子も,そんな雰囲気になっていくのです。
  算数で子どもが成長を見せてくるのです。しかも,算数に迫っていく形で成長をするのです。この道筋はとても貴重です。

  中嶋先生は,算数ソフトを使った授業を,ご自身のブログで紹介しています。ソフトを見せて授業を進めると,先生が説明をしないでいると,子ども達が逆に説明を従ってくることが書かれています。「無説明法」です。「無説明法」の話も聞くことが出来,しかも,この日は,子ども達の「3段階成長」の話がでました。ソフトを使う学級の通る道筋です。これも驚きました。なるほどと得心します。

  城ヶ崎先生の実践も,中嶋先生の実践も,難しさがなく,誰でも簡単にでき,しかも子ども達の算数熱は非常に高いまま授業が進みます。
  城ヶ崎先生とは家が近いので,これから先,「算数ソフト&授業づくり」をお茶しつつ前進させていき,中嶋先生とは野口塾などで語らい,算数を前進させていこうと思っています。

  この間に,算数ソフトを使った実践を紹介しているブログを紹介します。
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    中嶋先生のブログ → http://shikarikata.blog.fc2.com/
    山本先生のブログ → http://star.ap.teacup.com/mymmtuba/  
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「必然性のないゲスト」

  算数の授業に,「必然性のないゲスト」を登場させるのは,一つのユーモアであり,味付けになるので,子ども達は授業に入り込んできます。

  

  これは,「数直線君」です。工作用紙で数直線を作っておいて,黒板に貼り付くようにしておきます。これとは別に,上半身と手を描いた画用紙を用意しておいて,それも一緒に黒板に貼ります。
  あとは,目盛りの数値と矢印を書いて,「ここはいくつ?」などと聞きます。
  0や1つめの目盛りのあたりは,ちょうど脇の下あたりになるので,そこにチョークで矢印を書いたら,「コチョバイ! コチョバイ!」と言って,楽しみます。何というか,ゲストのおかげで笑いが生まれるのです。

  「小数点君」というのもいます。丸いマジックに顔を書いて,小数点を打つところにペタッと貼ります。「小数点イカべー」や「四捨五入ヘビ君」「股さけヘビ君」「カマキリライダー180度」「スイートポテト」などもいました。懐かしいです。

  どうして,こういったゲスト出演をさせると良いのか,若い頃は真剣に友達の先生に話していました。  
  算数は抽象の世界へ進む学問なので,人情とか感情とか命とか血とか,そういった暖かみのある世界からどんどん離れていきます。すると,それに比例するように,授業は淡泊になってきます。
  これが子ども達をその気にさせない大きな要因と思っていたのです。ですので,当時は,「算数の擬人化」を推し進めていました。「数直線君」も「小数点君」も,そういった考えの表れです。

  こういう努力をしなければならなかったのは,私が現役だった頃は,算数そのものの魅力を表現できない時代だったからです。
  今は,算数ソフトで数直線を扱えば,矢印をスライダーで動かすことも出来,同時に数値も示せます。子ども達は,ごく自然に,提示されている数直線の目盛りの仕組みを,自分の頭で解き明かそうとしてきます。もう,これで十分です。ですので,ソフトの中でも「必然性のないゲスト」は登場してきますが,その重要度は昔ほどの大きさはなくなっています。でも,不思議なもので,ソフトの中でもゲストが登場した方が楽しくなるので,私のソフトには時々ゲストが登場しています。

4年の変わり方に分数が見えますか

  「もっと!算数」にもうすぐアップされる4年の変わり方のソフトです。

  1問目に,表が出てきます。
  この表,「高さ=15×段数」を表しているので,比例の表になっています。
  そうして,こういった比例の表は,よくよく見ると,「大きさの等しい分数」の集合体になっていることがわかります。
  私は,比例の表でずいぶんと分数の指導をしました。

  そうして,お楽しみは,階段にいる亀さんです。桜のスライダーを上下に動かすと,亀さんも階段を上がったり,降りたりします。でも,なぜ,亀が階段にいるのか。その必然性は全くありません。算数の授業には,こういう「必然性のないゲスト」を登場させることも授業のユーモアとして大切です。
  
  

4年の算数ソフト-変わり方

  4年の変わり方のソフトを作り進めています。
  今回のテーマは階段です。階段の段数と高さの関係をつかむ学習です。
  この問題は y=ax のタイプです。

  工夫点は,亀が階段を上り下りすることです。階段ですから,右上に一定のペースであがっていきます。これが,y=axのグラフの姿になります。
  そんな雰囲気を出すために,亀に登場してもらいました。
  
  「もっと!算数」の2年生に「九九のグラフ」というソフトをアップしています。これをみると,かけ算がなぜ右上がり一直線になるのか,わかります。かけ算タイプの変わり方の学習の合間に,2年の「九九のグラフ」ソフトを見せるのも,理解を深めるよい指導となります。(画像を下に載せました)

  上の画面には出ていませんが,「表を作る学習」「○や□で表す学習」「未知数(○やx)にちょっと大きな数を入れる学習」がセットされています。
  明日には,「もっと!算数」サイトにアップします。ぜひ,ご覧ください。

  「変わり方」の学習は,言い換えれば,「2つの数の関係」を調べる学習です。これは,中学で学ぶ「関数」の学習の素地づくりになっています。
  

4年の算数ソフト_変わり方

  4年の変わり方のソフトです。
  三角形の増減をクリックボタンで行うように作っていたのですが,スライダーに直しました。
  この方が連続的な変化を感じるからです。

  子ども達に「連続的な変化」を感じ取らせることは,算数教育において,とても重要です。
  教科書・黒板は算数の断片を見せるにとどまっています。それを文字や言葉で説明的に補って,連続していることを理解させているのが,これまでの算数教育です。
  子ども達の理解ために,良かれと思って行っている「説明的に補う」ことが,子ども達の興味関心を損ない,反って逆に,理解の妨げになるのです。でも,そうするしかなかったのが,これまでの算数教育なのです。

  算数ソフトの使用は,この「説明的に補う」ところを極めて高いレベルで,不要にしています。スライダーやクリックボタンの機能により,個々の現象の関係性の把握を容易にし,一つのまとまりとして把握できるように,子ども達の頭が働いてきます。これこそ,算数ソフトを使った新しい算数教育の特徴です。デカルト的発展がソフトを使うことで算数教育に実現するのです。
  
  ところで,このスライダーですが,私の見てきた狭い範囲ですが,他の算数ソフトでは見ることが出来ませんでした。作り手にスライダーという発想が無いのかもしれません。 あるいは,スライダーを作ることが大変なのかもしれません。
  ソフト開発は,どのソフトを使って開発をするかによって,作りやすい事柄,作りにくい事柄がでてきます。私はたまたまディレクターというソフトで開発をしているので,このスライダーはそれほど困難無く作ることが出来ます。
  算数ソフトを作る場合,この「スライダー」が作れないと,高い表現ができません。算数の重要なポイントである「連続感覚」の表現が出来ないからです。これから先,必要な所にスライダーがついていない算数ソフトは,「学習品質」が低いと評価される大きな要因となります。
  「学習品質」の高い算数ソフトを,この先もディレクターでどんどん作っていきます。どうぞ,ご期待ください。

   上の4年生の変わり方のソフト,「もっと!算数」サイトにアップします。無料です。ぜひ,ご覧ください。
  http://www.mott3su.jp/