Monthly Archives: 12月 2011

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小倉金之助先生の本『明治時代の数学』

小倉金之助先生の『明治時代の数学』です。

明治初期までは「和算の方が洋算より優れている!」との声も上がっていたのですが,それも束の間。
洋算は国策とも重なり,どんどん広がりました。

可哀想なのは,「和算vs洋算」を,和算側で戦い研究した人々です。
その努力と,和算家の持つ独創的思考を,洋算の普及・研究に向けていたら,世界の数学に日本から一石を投じる事もあり得たかもしれません。

産業革命が日本にも起こり,和算では役に立たなかったのです。全体の道が見えずに,和算の部分的な良さにこだわった研究家が,その力を生かすことなく,終わっていった時代です。

今は,言うまでもないデジタル産業革命の時代です。
算数の教育も,時代の流れに応じて変わっていくのが自然の流れです。
自分の能力が無駄にならないように研究・工夫・努力をすること。これが「歴史的な生き方」です。

昔の過渡期の本は,今,自分のいる立場が歴史的にどうなのかを考えるヒントになります。

『未開人の数学』(昭和17年)矢野健太郎先生の本

矢野健太郎先生が昭和17年に出版された本です。
戦時中の本です。

読み進めるにつれ,驚くべき数え方などがどんどん紹介されており,感心しながら読み進めました。
その一つ二つを御紹介します。

・近江の高島郡今津村では,20を基礎とする数の数え方が使われていた。
・南津軽のきこりさんたちは,五進法を用いて計算をしていた。
・アイヌでは20を超える数は,20の倍数をもとに数えられていた。
・沖縄の藁算。

再確認できて,とても嬉しかったことは,数を理解する「数認識」の3段階が示されていたことです。
もちろん,未開人の理解の仕方は分かりようがないので載っていません。
その代わりに,現代人が「数を理解する」ということは,「頭の中で何を把握することなのか」が示されています。
読んで,とても有り難かったです。
算数ソフト開発に必要な内容だからです。
算数の基礎的な理論ですので,本を読んでいるときに,こうしてちょこっと登場してくれると,再確認・再認識でき,足腰のしっかりしたソフトをこれからも作っていこうという気持ちになります。

神田神保町の古本街,明倫館で購入しました。
古本街に行くと,たいてい明倫館さんに立ち寄っています。

朝日小学生新聞の紙面検討会

連載をさせていただいている朝日学生新聞社の紙面検討会がありました。

久しぶりにイラストの宮原さんとお会いしました。
宮原さんとは小学館・ほるぷ出版・朝日小学生新聞など,いろいろとご一緒させていただき,作品づくりをしてきました。
今,宮原さんは朝日小学生新聞で大活躍をしています。

宮原さんと話しているとき,沖社長がやってきてくれたので,場がグッと盛り上がりました。
私が姿勢の話をしたためか,皆さん良い姿勢で記念撮影です。
子ども達に向けて,文化メッセージを送っている人々は,まず,自ら姿勢を良くすることが大切です。
それが,回り回って,子ども達の姿勢によい影響を与えていきます。

会場が朝日新聞社本館でしたので,朝日新聞の教育の方とも小一時間ほどお話をしてきました。
御迷惑を顧みず,私の所に届いてくる「驚きの事実」をあれこれお話しさせていただきました。

この日は,さくら社でも打ち合わせがあり,こちらも多いに盛り上がりました。
途中,先方の方のお話に嬉しくなって握手をしようとしたら,「先生,まだまだもっとすごい話があります」と言われ,大笑いしました。

人生は楽しい方が良いです。
「楽しい思いをしつつ,勉強ができる」
これは最高です。
算数ソフトはそんなソフトなのだと思いつつ,これは自分の日々と同じだなあと思いました。

渥美先生のクラスへ行ってきました

北海道の渥美先生の学級を見学してきました。
何よりもありがたく思ったのは,見学を許しくださった校長先生のお心です。
感謝の気持ちで一杯です。
校長室に案内され,まず御礼を申し上げました。
それから,少し,校長先生と歓談させていただきました。
一番驚いたのは,校長先生の姿勢が良いことでした。
やはり,上に立つ人は,違うと思いました。

渥美先生と子ども達の取り組みは,とても暖かく,この暖かさが心の緊張を解きほぐし,子ども達の前進を促進しているのだと感じました。
算数ソフトを使った授業を拝見させていただきました。
渥美先生の指導は,私には気がつかない指導法でした。
算数ソフトという新しい教材を使う,新しい指導法も見ることができ,期待を超える感動をしました。

私もすこし子ども達の前に立たせていただきました。
先生への質問ということをテーマにしつつ,「姿勢の教育」 をしました。
子ども達はどんどん吸収してくれ,なんと良い子ども達なんだろうと思いました。

夜,懇親会を開いてくださいました。
渥美先生とたっぷりお話ができました。
授業を参観してくださった八木先生ともお話ができました。
感謝感激の1日を過ごせました。
釧路まで行って,本当に良かったと思いました。

翌日は,釧路湿原を見学しました。
きれいです。実にきれいです。
この美しさが町のすぐ隣にあるのです。
釧路は素晴らしいところです。

算数ソフト,「3年_重さ」1円玉1000枚の重さ

1円玉をはかりの上に,どんどん,どんどん乗せていったら・・・
1000枚乗ったら,どうなるでしょう。

そんな重さの量感が伝わってくる算数ソフトがあったら・・・という,「算数数学好きを増やす会」の藤本先生の声が発端となり,このソフトができました。

このソフトは,一番上の桜スライダーを左右にドラッグするだけで,1円玉がどんどん増えていきます。
はかりの針も同時に動きますし,重さ,枚数も表示されます。

もう,これで十分だと思うのですが,もう一つ,面白い仕掛けをしました。
「?」ボタンです。
「?」ボタンをクリックすると,何かが出てきます。
さてさて,それは何でしょう。
「もっと!算数」サイトからダウンロードして,ご覧ください。無料です。

  『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』 の3年の5巻に「重さ」と「長い長さ」が収録されています。はかりのメモリの読みに,非常に力を発揮してくれます。
こちらと併せて御活用ください。

こういうソフトを開発しているとき,思うことは,「算数数学好きを増やす会」の奥田先生の頑張りです。
非常に忙しい中,エクセルを使ってグッとくるソフトを開発したかと思うと,その見せ方を研究したり。
頑張っている先生の姿が,私を励まします。
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1円玉。重さは1g。
これは,教科書にも載っているので,皆さん周知のことです。
もう一つ,頭に入れておくと便利なのが,「1円玉の直径=2cm」ということです。
5個並べたら,10cmちょうどになります。
長さの目安として役立ちます。

また,厚さは1.5mmです。2枚で3mmなので,これも知っていると使える場面が出てきます。

事のついでに・・・
5円玉の穴の直径は5mmです。

残像が鮮明に残る!

算数ソフトを活用している奥田吉彦先生から,
連日のように,授業の成果が届いています。
難しいとされる「仮の平均」で,全員できたのです。
嬉しい限りです。
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 極端に離れた値を除いて、平均を求める問題です。
 36.2度、36.8度、37.6度、36.5度、36.1度

 37.6度を除いて
 (36.2+36.8+36.5+36.1)÷4=36.4
  36.4度と求めるだろうと思っていたら、
 下記の計算(1)、(2) で
半数ずつ求めていたのです。(全員正解)

 (1) (6.2+6.8+6.5+6.1)÷4=6.4
     30+6.4=36.4
 (2) (0.2+0.8+0.5+0.1)÷4=0.4
     36+0.4=36.4

 算数ソフトの学習画面を思い出している、
残像が鮮明に残っているのでは?
と思うのです。うれしいことです。
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「残像が鮮明に残る」という感覚。
これに驚いています。
印象的な場面は,確かに記憶にしっかり残ります。
その印象を強めるために,必要なことは,
授業のどこかで子ども達の問題意識を高めることです。
問題意識が強くなったところに,
算数ソフトを使うと,
グッと頭に,心に残るのでしょう。

奥田先生の子ども達への投げかけと,
算数ソフトの連動が
「残像が鮮明に残る」授業の実現になったのだと思います。

成果のでなかった授業を研究するより,
大きな成果の出た授業を研究することです。
そこに,授業の成功法が隠れているからです。
奥田先生のような「授業の成功研究」を一同に集めた
「算数ソフト活用セミナーin東京」を実現したいと思います。
ワクワクしています。