Monthly Archives: 1月 2012

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伊藤仁斎先生の『童子問』

江戸時代の儒学者,伊藤仁斎先生の『童子問』

孔孟に正宗(せいそう)を得(う)ること無し。高からざれば即ち楽しまず,奇ならざれば即ち悦ばず,常(じょう)を厭(いと)うて新を喜び,近きをすてて遠きを取る。予深く悲しむ。

これが一貫している本です。
野口芳宏先生が「根本 本質 原点」と仰います。 まったく,その道です。
こういう考え方をしていると,「仁者は俗を嫉(にく)むの心少し」「不仁者は世を憤るの心勝つ」といった見方にも納得するものがあります。

この本からの最大の学びは「内外一致」論です。
仁斎先生の内外一致論は実に優れています。
仁斎先生の論により,私は作法の教えを輪切りにした様子を明示できるようになりました。しかも,作法の効用を非常にわかりやすく説明できるようになりました。学んで良かったです。

何かを習得することの説明には,2つの視点が必要です。
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1つは流れ(時)の視点
1つは輪切り(場)の視点
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仁斎先生の内外一致論は,作法をこの「輪切り」から実に明快に説明できるのです。

作法書はたくさん世に出ています。しかしながら,「何をどうする」のハウツーの域から出る書がほとんどありません。
そんな中,戦前の相島亀三郎先生や下田歌子先生の本が奮闘してくれているので,私もその道を拓いていきたいと思っています。
作法の根本・本質・原点は何なのかを,先達の水準を超えて語り記せるように,前進していきたいと思っています。

関西大学初等部の『関大初等部式 思考力育成法』がすごい!


関西大学初等部の『関大初等部式 思考力育成法』本の表紙をちょっと大きくしてみました。

ベン図が見えます。
三角形のピラミッドチャートも見えます。
Xチャートとピラミッドチャート両方を使って思考している子も見えます。

まさに,驚きです。

何よりも,優れているのは,思考図を印刷している用紙が大きいことです。
大きいので,たくさん書き込めます。
頭の中や手元にあるたくさんの情報を一つ一つ書き込んでいけば,比較・分類・関連づけなどができ,俯瞰した考えも見えてきます。

取り組みがシンプルなので,それが功を奏している,そんな気がしています。

関西大学初等部の本『関大初等部式 思考力育成法』はすごい!



2月10日発売の『関大初等部式 思考力育成法』です。まだ,発売前ですが,あんまりすごいので,ちょっと御紹介します。

とにかく,この本はすごいです。
表紙の「めざせ!考える達人」の「達人」の文字の上の写真をご覧下さい。
小さな女の子が紙に円を2つ少し重ねて書いています。
これ,なんだか分かりますか。
「ベン図」なのです。

ベン図は,学校現場では数学で学ぶ論理とされています。
かなり昔のことですが,ベン図を小学校でも教えていたことがありました。
「集合」の中心的な図として登場していました。
ところが,どうにも理解できない子が多かったのか,算数から姿を消しました。

ですので,「ベン図は中学から」 という暗黙の学び時が発生しています。
そのベン図を小学校2年生の子が使って,自分の考えを進めているのです。
驚くばかりです。

論理は算数・数学で学ぶと,隅々までキチッとするので,細かいミスが気になる方向へと進みがちです。
それが他教科だと,少々アバウトでも,弁別が大方あっていればそれで良し!とできます。
ですから,2年生でもベン図の弁別を理解できるのです。
これは,画期的なことです。

表紙に,大きな「バツ」が見えますね。
これは「Xチャート」という思考図です。
右下の子が紙を持ち上げています。そこに書かれているのは「ピラミッド図」です。
これも,思考図です。

関大初等部は,2010年に開校したばかりの新しい小学校です。
でも,思考力を育てることについて徹底した研究をすすめ,図を用いて思考する達人小学生をどんどん生み出しています。
「有田先生の追究の鬼」と同じように,「関大初等部の思考の達人」です。

ベン図
Xチャート
Yチャート
ボーン図
ピラミッドチャート
などなど。

このようなチャート図を1つずつ,しっかりと学習を通して学んでいきます。
学びが進むにつれ,各種のチャート図を使って,自分の考えで比較・分類・関連づけなどがどんどん進められる子になっていきます。
思考力がつくのです。考える達人へと育っていくのです。

チャート図に情報を書き込むためには,「この情報はどこに書くべきか」と,まず,頭を使います。
友達に「なんで,これはここなの?」と問われても,考えてそこに書いたので,その理由は説明できる状態になっています。
作り上げたチャート図を元に,作文を書くこともできれば,発表もできます。
非常に優れた言語活動ができるわけです。

思考スキル,ミューズ学習(考えることを考える学習),評価基準,実践 等々
この本に,非常に詳しく記されています。実に良い本です。

お勧めします!

※公開研究会が2月4日に関大初等部(大阪・高槻)で開催されます。
http://www.kansai-u.ac.jp/elementary/2011/12/post-59.html
この本(『関大初等部式 思考力育成法』)も,発売前ですが,先行して入手できます。
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思考力を楽しく付けていく学習法として,『10の力を付ける出版学習』(横田経一郎著,さくら社)もお勧めです。

3年_算数_三角形のソフト/2本目

三角形の頂点をドラッグして,いろいろな三角形を作るソフトです。
頂点は,方眼状に並んでいる点の所にドロップすることができます。

この方眼状のタイプは,円形に点が並んでいるタイプに比べ,二等辺三角形のきまりをみつけやすいです。

何度か二等辺三角形を作っている内に,点の数と関係づけて,「二等辺三角形ができる時は,どうもこんな風なきまりがありそうだ」と自分なりの「きまり」が生まれてきます。
さらに,二等辺三角形を作っていると,そのきまりがいつもでも成り立つことが経験的に証明されてきます。
すると,二等辺三角形とはどんな三角形なのか,自分なりに表現もできるようになります。

ドラッグドロップで三角形づくりをしている内に,二等辺三角形の自分なりの定義を見いだせるのです。これは嬉しいというものです。

[桜]スライダーをドラッグすると,点の数の増減ができます。
点の数が増えても,自分の考えた定義(きまり)が通じると分かった時,子ども達は「やっぱり!」「考えは同じだ!」と感じます。
作った定義(きまり)が正しかったと実感する瞬間が生じます。

こんな嬉しい瞬間がソフトを使っている最中にやってくるのですから,グッドな気分になります。

※近日中に,「もっと!算数」サイトにアップします。

親子作法セミナー

静岡放送さんからの御依頼で,親子作法セミナーに招かれお話ししてきました。
募集親子は,20~25組程度でしたが,予想を超えての御来場があり,教室は満杯。
廊下で立ち見の方もでるほどの状態となりました。
そんな中,1時間ほど,「作法」の話をしました。

最も大事なことは,「姿勢」です。
特に,「椅子に座った姿勢」です。
この話を,セミナー前の打ち合わせでもしました。
すると,ごく自然にテーブルを囲んでいた関係者みなさんの姿勢が良くなりました。
これは,とても良いことです。
姿勢を良くしなさいと言うこともなく,姿勢の話題で皆さんの姿勢が良くなるのです。
「日本人」を感じます。

皆さんで打ち合わせをしているところに,一人の方がドアを開けて入ってきました。
入って来るなり,「とてもびっくり」のリアクションをされました。
「どうしたんですか」
こう口に出てしまうほど,テーブルの雰囲気が変わっていました。
驚かれた方は,ミーティングが始まると同時に,用事があり退出していたので,「ビフォー,アフター」の大違いを実感されたのです。
出るときは,ごく自然の皆さん。
戻ってきたら,グッと良い姿勢の皆さんが和やかに歓談。
これは驚きますよね。

テーブルを囲んでのごく普通の打ち合わせですが,姿勢一つでその雰囲気が大きく変わります。
「姿」に「勢い」が出るからです。
「姿勢」はとても大きな力を持っているのです。

会場は未来教育舎。
代表の高林先生は,10年前に独立され,今や8校の経営者です。
この驚異的な躍進,経営の根底に「仁」がしっかりと位置付いていることが,お話しで理解でき,納得できました。
その上に,高林先生のお人柄も素晴らしいです。
驚くのは校風づくりの取り組みを始めていることです。
「仁」が「風」となり「訓」として表れます。
素晴らしい流れです。
頼もしい先生と知り合いになれ,有り難い1日になりました。
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セミナー修了後,鈴木文男先生と合流。
近くに登呂遺跡があると聞いていたので,ちょっと見学しました。
小学生の頃,6年担任だった小牧達郎先生が熱心に登呂遺跡の話をしてくれました。
そんな思いでもあり,一度は行ってみたいと思っていました。
その願いが鈴木先生と一緒という喜びをプラスして実現しました。
資料館の展示物の中に,魏志倭人伝の一節がありました。
良いところに目を付けてくれ,うれしさがこみ上げて来ました。

鈴木先生から「一発君」スタンプを見せていただきました。
何事に置いても,一発でできた場合に限り押してもらえるというスタンプです。
6年生の子ども達にも大人気だそうです。
私の手帳に,ポンポンと押させていただきました。

また,計算ソフトを見せていただきました。
10年ほど前の作品とのことですが,そのプログラムも素晴らしいですし,アニメーションも凝っていました。
投手が投げるアニメーションは特に力作と分かりました。
伺えば,コマ送りで作られたそうで,それもビデオからイラストを起こし・・・と非常に手の込んだ作り方をされたそうです。
苦労話を伺うことができ,良かったと思いました。

実に充実した日曜日になりました。

中村健一先生の本『学級担任に絶対必要な「フォロー」の技術』

3年の算数「三角形」のソフトが完成しました。
「もっと!算数」サイトにアップしました。
是非,ご覧下さい。
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中村健一先生の新刊『学級担任に絶対必要な「フォロー」の技術』(黎明書房)です。

たくさんの具体的な指導が載っているので,即座に使えます。
若い先生にとってもいいです。

中村先生は,私にタイプが似ています。
面白さが前面に出るタイプです。
だから,本当は面白いことだけをどんどん書いていけば,すごいスピードで実践の山ができていきます。
しかし,この本には,滑り出しにちょっとした理論が書かれています。
フォローの論理です。
御本人がどう思っているか分かりませんが,これは頭が成長を始めているのです。
年齢が進み,ある程度熟してくると,人は自然と理論・論理の頭が成長し始めます。
その時に,儒教・仏教・武道などの素養があると,論理に人間的深みがでてきます。
中村先生のこれから先の本がどう変わっていくのか,一つの楽しみでもあります。
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