『魏志倭人伝』『後漢書東夷伝』を読むと,大昔の日本のこと,日本人のことが少し分かります。
気候が温暖。土地も耕作に向く良い土地。
その上,人々が穏やかでした。
目上の人と会ったら,後ずさりをします。
何か,お伝えすることがある場合は,跪いて手をついて,まずは恭敬の念をしめします。
目上の人は,「あい」と返事をします。
立場は違えど,お互いに礼を保ちます。
礼の仕方は変わっても,礼をする心は今も変わっていないのが日本人なのだと思います。
読み返すと,何とも言えない良い気分になります。
『後漢書東夷伝』には,秦の始皇帝の話しが出ています。
不老不死の薬が海の向こうの蓬莱山にあると伝えられており,家来の徐福にそれをとりに行かせた話しです。
その蓬莱の地は,なんと日本(東夷)なのです。
日本に不老不死の妙薬があると思われていたこと。
秦の始皇帝が信じるほどの信憑性を持っていたこと。
これが良いですね。伝説とはいえ,子ども達にも教えて欲しいところです。
先日読んだ数学の本では,蓬莱山は富士山となっていました。
霊峰富士なので,不老不死と結びつくのも自然かなと思います。
富士山を拝むと,長生き出きるように感じます。
そんな気持ちが始皇帝にまで届いていたのでしょう。
『後漢書東夷伝』は,後漢の国書ですから,きんとした正式な歴史書です。
そこに載っている話しですから,蓬莱の話しは重みがあります。
思考を「図」という形で迫って行ったこの本は,読み返しても実に良く納得します。
『関大初等部式 思考力育成法』
圧巻は,24ページから。
指導要領を「思考スキル」という観点から分析しています。指導要領をそのまま受け止めるのではなく,思考法という視点で読み直すだけでも,実に素晴らしい読み方です。
各教科毎に「思考ルーブリック」 を設定。普通は,教科毎に何か束ねたら,それで完結するのですが,関大初等部は,そこからさらに思考法を前進させています。
教科横断的に「思考」を見直したのです。
そうして,見いだしたのが31個の「思考スキル」。
実にすごいです!
さらにすごいことが,その先に書いてあります。
31のスキルを,十分に吟味し,18のスキルに集約したのです。
それから,さらに考えることに特化した6つのスキルに絞り込みました。
この指導要領からスタートし,教科を横断させ,ついに6つのスキルへと絞り込む過程。
ここは,武道など実技的な技術を学んだことがある方には,見事!と感じられるものがあります。
技の多さは入門期に向きません。
高度な身体能力を発揮する武道でも,学び初めは数種類の基本技です。それをしっかり学び,体得するにつれ,動きの変化が別の技ともなり,あるレベルを超えると,自らの創意工夫による技へと質的に高まっていきます。
同様に,思考の技として,図を使った6つのスキルを徹底して学んだら,その先,どうなるのでしょう。
何か考えるときに図面が自然と出てきて,それを頭の中でサラッと操作して,大きな流れや個々の場面をイメージする優れた能力になると推測できます。
関西大学初等部はまだ4年生までしかありません。この先,さらに研究的実践が進むことを期待してやみません。