昨年の今頃,「アフリカへ行き,現地を見てみよう」と思い立ち,予防接種などでバタバタしました。
あれから1年経ちますが,その間に行った海外視察は合計4回。
1回目はルワンダ・ケニヤ視察。
2回目はバングラデシュ視察。
3回,4回目は,国際協力機構(JICA)の委託を受けてのルワンダ調査です。
そうして,10月にまたルワンダへ行きます。
これだけの回数,教育視察・調査を行えば,普通,誰でもあれこれ気がついてきます。
特に,小学校勤務のある人なら,現地の教育の問題点にすぐ気がつきます。
それを見るだけで終わらせるか,何とかしたいと思うかが,ちょっとした分かれ道になります。
指導方法に気がつく人は,ちょっと大変です。
何しろ,相手はその指導法のありがたみがわかりません。
それを知らずにいても,問題なく授業が進行しているからです。
方法を伝えるためには,伝える自分が現地の人とたっぷりとミーティングする必要が出てきます。
ところが,気づいたことをそのまま伝えるのではなく,具体的な教具を通して伝えようと考えると,これはかなり楽になります。
道具があると,その道具の持つ力により,授業が変わるからです。
自然と,教え方にも影響が出てきます。
ですので,問題点と思ったことへの対策となるような教具をその場で作ってみせることが,もっとも手っ取り早い伝達となります。
後は,現地の先生がそれなりに活用してくれます。
ケニヤの小学校で1年生の授業を見せていただいたとき,位取りの概念が弱いことに気がつきました。
それを口頭で話しても良かったのですが,位取りの重要性に気がついていない人に,それが大事なのだということを伝えるのは,なかなか難しいものがあります。
そこで,その場で教具を作り,簡単に説明をしました。
そうしたら,担任の先生の腑に落ちたようで,その先生は,その後,どんどん創意工夫したそうです。
算数で海外の教育にかかわるようになり,やることが次第に増えてきています。毎日が充実しています。
充実がが続くと,それに合わせて夢もふくらんできます。
1年以内に設立したいことが1つ思い浮かんでいます。
2年以内に進出したい国も1つ浮かんでいます。
そうして,バタバタしながらも,あれこれ取り組んでいる内に,前田先生のこの教師教育も伝えられるだけの土壌ができてくるのだろうなと思っています。
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アフリカ,ルワンダのとあるビルのエレベーター。
待っていたら,表示が「-1」になりました。
これは見慣れぬ光景と思い,手に持っていたカメラでパチリ。
ルワンダは指導要領が変わったばかりです。
新しい教科書では,4年生に負の数が登場します。
数直線で-1~-10まで出てきます。
こういうエレベーターの表記があることを思うと,負の数の指導を早めるのも頷けます。
でも,子ども達の生活空間にはビルは無いので,「-1」を目にすることは滅多にないと思います。
気温も,一年中,最低気温は10度~20度の間です。
こう思うと,北海道や東北地方でこそ,4年生で負の数を学ぶのも大切かなと思えてきます。
新しい4年生の教科書は,大変分厚く,350ページもあります。
実質授業時数から計算すると,1日に2ページはこなすスピードになります。
ついていくのが大変だと思います。そう言うときこそ,算数ソフトの出番と思っています。
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ルワンダに行く前に,ちょっと調子が悪くなり,荷物を極力減らして行くことにしました。そのため,持って行く本も小さいのを1冊だけと決めました。
選んだ本は,『人工知能はなぜ未来を変えるのか』です。
行きの飛行機で半分弱。
宿で少し。
帰りの飛行機で残りを・・・。
こういうプランで持って行き,ほぼ,その通りのペースで読みました。
読み進めつつ,ふと思ったことがあります。
それは,問題解決学習に幾ばくかの疑問を感じている先生は,この本を読むとすっきり感を味わうのではないかということです。
古典的な本ですが,戦前の藤森良蔵の記した『算数母の心構』に感動をした先生にも,この本はお薦めです。
1つの問題から考えるのではなく,桃太郎の繰り返しで複数の問題に取り組むことで理解していくことがなぜ重要なのか,その理由がこの本にも書いてあるからです。
今日の午後7時のNHKニュースのトップが人工知能の話題でした。IBMの開発した人工知能ワトソンがガンにかかっていた女性を救ったことを報じていました。
夢ではないかと思えるようなことを,一つまた一つと成し遂げているのが,人口知能です。
算数ソフトは人工知能を育てる力を持っていませんが,ブートキャンプの取り組みから,アフリカの子ども達の算数力を急速に伸ばすことができると確信しています。
とはいうものの,途上国の子の計算のできなさ加減は,半端ではありません。
とてつもなく分厚い壁があります。それは,暗算の壁です。
5年生になっても一桁のたし算の暗算ができない子がいるのです。それも,普通にいるのです。
1年生,2年生は壊滅的に暗算ができません。
そこに挑戦しているのが,私たちの「算数ソフト団」です。
現地の先生方と協力をしつつ,また,人工知能からも学びつつ,大いなる前進をと思っています。
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算数ソフト『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』を軸に,海外の教育を支援していく活動を少しずつですが,進めています。
その一環で,今日は国立国際医療研究センターへ予防接種を受けに行きました。
予定では,「A型肝炎の2回目」と「破傷風の3回目」でした。
ですが,3月にケニヤの他にもう1か国行く可能性が高まったので,その旨を問診の先生に話しました。
すると,「腸チフスもやっておきましょう。腸チフスは食べ物から感染します」と言われました。
「あの~,私が行くのは都市部だけなのですが・・」と言ったのですが,「都市部でも感染します」とはっきり言われました。
「都会のレストランやホテルに出てくる食事の中に,腸チフス菌が入っていることがある」ということなのでしょうか。さすがに,ちょっとぞっとしました。
ということで,左肩に2本,右肩に1本,予防接種をいただきました。
今の注射は痛くなので,ありがたいです。
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「類は友を呼ぶ」ということわざがあります。
島原先生や高本先生が海外教育活動に関心を持っていることがわかりました。
妙に嬉しいものを感じます。
いつか,海外の話を語り合いたいと思います。
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算数ソフトの会議が開かれました。
日本でも授業で使って下さる先生が増えています。
子供達に喜ばれ,算数好きが増えています。
何ともありがたいことです。
会議では,バングラディッシュが話題になりました。
もしかしたら,3月までにバングラディッシュにも行くことになるかもしれません。
私が小学生の頃,バングラディッシュという国はありませんでした。あったのは西パキスタンと東パキスタンです。
インドを挟んだ東西にパキスタンが分かれていて,子供心に「すごい国だなぁ」と思っていました。
そうして,東パキスタンはバングラディッシュになり,国旗は日本によく似た図案になっています。
親日と思っていますが,今日はそういう話題にはなりませんでした。
算数ソフトが日本国内はもとより,海外からも注目されるようになりました。
こうなってくると,私もますます力が入ります。
海外の「子供達の学力向上」「先生方の資質の向上」に遠く日本から協力したいと思う気持ちがどんどん強まります。
一人の力では大したことはできません。
ですが,一緒にその道を歩んでくれる方々がいてくれます。
皆さんの力をいただきながら,「私も奮励したい」と思った一日でした。
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1年生のいくつといくつの単元は,なかなか微妙な位置にある単元です。
パッと見,数のジャンルに見えますが,よく考えるとたし算ひき算の準備単元に見えてきます。
数の学習では一対一対応が軸になっています。物が二つある状態と,数字の2が一致し,また,音声の「に」が一致します。
二つ=2=に
というような等号で結びつけていく学習です。
そこに,順番などの要素も加わり,数の学習として進んでいきます。
これと,幾つと幾つは思考が全く違います。
6は4といくつ? という学習なので,「分ける」「合わせる」が軸になっています。
合成・分解です。
ですので,
6=4と?
というように,単なる等号ではなく,一方が計算に似た形になっています。
数の学習とは本質的に違う思考がここから始まっているのです。
その先に学習するたし算・ひき算が円滑に進むかどうかが,この単元にかかっています。
ですので,力のある先生は,かなり力を入れてここを指導されます。
特に,10の束の合成分解は,後々の計算を位取りで論理的に行う基礎となるので,みっちり練習をしています。
その昔,海外で小学生に指導をされている先生と話す機会がありました。
その先生と算数の教科書を見ながら,あれこれ話したのですが,印象的だったのは「日本では,ここ(幾つと幾つ)を念入りに学習するのよねぇ。」でした。
その国の教科書を見たら,13-4のような計算の図が出ているのですが,10の束が意識されていません。ただ13から4つ分を取る図が出ているのです。
10の束から取るという思考力がつかないので,毎度,場当たり的に数を取り続けることになります。
日本人の計算力の高さは,海外で買い物をしたときに,傑出します。
おつりも考慮して代金を支払うからです。
海外では,定価から支払った金額に達するまでお金を出しつつおつりとするのです。位取りで論理的に計算をする練習が不足しているのでしょう。
場当たり的なおつりの出し方になっています。
こういう論理的な思考が瞬時に出来るのは,基礎的な思考をがっちり学習してきているからだと思えています。
そう思っていたら,関西大学初等部の思考ツールが浮かんできました。
関大初等部のミューズ学習は,思考方法を意図的に学ぶ学習です。
その基礎をしっかり学んだ子は,その先に大きな違いが出るのは容易に推察できます。
これからは,思考力の時代と言われています。大事なことは思考方法の基礎をガッチリ固めることです。
そうでないと,場当たり的に計算するに似たりとなります。
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