3年生で学ぶそろばん。中身は右の通り,とても簡単な計算です。そろばんで珠をはじく前に,3年生なら答えがわかります。それでも,学ぶことになっています。先生方はきちんと指導をします。
ところが,この「きちんと教える」のがなかなか難しいのがそろばんです。
「5+6」です。そろばんに「5」を置くのは簡単です。問題は,「+6」です。これを行うために,まず,1珠を払います。でも,どうして1珠を払うのか,これを説明するのが大変なのです。
こんな時も,役に立つのが算数ソフトです。(『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』3年1巻)
珠の動かし方は,算数ソフトを見せれば,すぐにわかります。上の画面を見ての通り,どの指でどの珠を動かせばよいのか,見ているだけでわかるようになっています。
特に解説をすることもなく,数回繰り返してみせると,子ども達の頭には「ああ,そうか!」がやってきます。運指の理屈が見えてきます。理屈がわかった子は自然と説明をしたくなってきます。そのとき,「すごい!「五-二進法」が理解できている!」とほめてあげましょう。「五-二進法」というのは,一珠は5で繰り上がり,五珠は2で繰り上がる,そろばん特有の位取り法です。
「珠算」という言葉は,中国から伝わってきた言葉です。中国が後漢だった時代に記された『数術記遺』という書の中に,「珠算」という言葉が出ています。また,「そろばん」という名称は,「算盤」の中国語読み「スワンバン」が日本でなまって「そろばん」になったと考えられています。
24日の夕方から,スーパーホテル部が開催されます。
開催場所は,千葉駅東口のスーパーホテル。
中心の中嶋先生は,予定通り千葉に来ます。城ヶ崎先生も参加です。
これに私の3人です。すごいメンバーです。
どんな話に花が咲くのかわかりませんが,算数の授業についての話は確実にします。城ヶ崎先生も中嶋先生も,算数ソフトを使って算数指導をしている先進的な先生だからです。
ソフトを使う授業者と,ソフトの開発者が,膝を交えて,あれこれ話すのです。新しい指導法への手応えがあるように思えています。
特に,私が注目をしているのは,「無説明の指導」です。この指導法について話すだけでも,細かい発見があれこれ見えてくると推測しています。「無説明の指導」のイロハが形作られたら,これは歴史的な大前進となります。
楽しみです。
4年の変わり方のソフトです。
三角形の増減をクリックボタンで行うように作っていたのですが,スライダーに直しました。
この方が連続的な変化を感じるからです。
子ども達に「連続的な変化」を感じ取らせることは,算数教育において,とても重要です。
教科書・黒板は算数の断片を見せるにとどまっています。それを文字や言葉で説明的に補って,連続していることを理解させているのが,これまでの算数教育です。
子ども達の理解ために,良かれと思って行っている「説明的に補う」ことが,子ども達の興味関心を損ない,反って逆に,理解の妨げになるのです。でも,そうするしかなかったのが,これまでの算数教育なのです。
算数ソフトの使用は,この「説明的に補う」ところを極めて高いレベルで,不要にしています。スライダーやクリックボタンの機能により,個々の現象の関係性の把握を容易にし,一つのまとまりとして把握できるように,子ども達の頭が働いてきます。これこそ,算数ソフトを使った新しい算数教育の特徴です。デカルト的発展がソフトを使うことで算数教育に実現するのです。
ところで,このスライダーですが,私の見てきた狭い範囲ですが,他の算数ソフトでは見ることが出来ませんでした。作り手にスライダーという発想が無いのかもしれません。 あるいは,スライダーを作ることが大変なのかもしれません。
ソフト開発は,どのソフトを使って開発をするかによって,作りやすい事柄,作りにくい事柄がでてきます。私はたまたまディレクターというソフトで開発をしているので,このスライダーはそれほど困難無く作ることが出来ます。
算数ソフトを作る場合,この「スライダー」が作れないと,高い表現ができません。算数の重要なポイントである「連続感覚」の表現が出来ないからです。これから先,必要な所にスライダーがついていない算数ソフトは,「学習品質」が低いと評価される大きな要因となります。
「学習品質」の高い算数ソフトを,この先もディレクターでどんどん作っていきます。どうぞ,ご期待ください。
上の4年生の変わり方のソフト,「もっと!算数」サイトにアップします。無料です。ぜひ,ご覧ください。
http://www.mott3su.jp/
有田先生の日めくり『追究』が仕上がり,有田和正先生のご自宅へ御礼のご挨拶に上がりました。日めくりの実物をごらんになって,有田先生は「いろいろなところで使うよ」とおっしゃってくださいました。すでに,御講演先でご紹介くださっています。ありがたいです。
日めくりは,有田先生の『追究』と,野口先生の『師道』。これに,『教室論語』があります。有田先生,野口先生の日めくりと並列に並べて耐えられるのは「論語」しかないと考え,論語の日めくりも作りました。私にとって,有田先生,野口先生は殿上人なのです。
有田和正先生 御直筆の今日のお言葉
正式書名:『心に刻む日めくり言葉 子どもを育てるための有田和正追究』(さくら社)
応接室で1時間ほどお話をさせていただきました。大地震の時,有田先生はご近所の歯医者で治療中だったそうです。グラッと来たとき,有田先生の口の中はちょうど治療中。歯医者さんがすぐに危険を感じ治療を中断したのですが,あの大揺れを治療の椅子の上でずっと受けていたそうです。なんと言葉を返したら良いのか・・・,何にしろご無事で良かったです。
この日めくりを作るに当たり,古川先生にも一肌脱いでいただきました。有田先生は古川先生のことを話題にだされ,とても優秀な先生だとおっしゃっていました。嬉しいお言葉でした。
日めくりと同じ日に,藤本浩行先生の本『新任教師 はじめの一歩』が出ました。この本の帯に有田先生が「私が推薦します」とお言葉を添えてくださっています。新任向けの本としてとても良いとご好評をいただいた上,藤本先生は人柄が良いとお言葉をいただきました。嬉しいです。
応接室には本棚が複数あり,その中は有田の先生の御著書がびっちりと収まっています。こういう空間を作れるのですから,有田先生はすごいです。
帰路,思いました。退職後も教育の一線で活躍できる先生は,本当に一握りで,現職の時にどれだけの仕事をしてきたかで,有田先生のような道を歩めるかどうかが決まってくるのだろうと。
こう思うと,思うところがあって途中でやめた自分も,まだまだやることがあるので,いっそうの奮励をしなければと感じました。私のやるべき事は,算数好きがどんどん増える,そんな授業専用の算数ソフトの開発です。大きなビジョンを持って前進しよう!と電車に乗りながら思いました。
今日も,とても良い一日を過ごせました。
本に記されている優れた教育技術や方法。
それを追試して,うまくいく先生もいれば,なぜかスベル先生もいます。こういう事は,何とはなく聞こえてきていました。しかし,たいていは,滑った先生が自分の勉強不足としてとらえ,もっと頑張らなければ・・となり,話は終わります。
これが通例と思っていましたが,医者にかようと,どうもそうでもないという思いにさせられます。先だっても,花粉症で医者に行きました。2度目なので,薬だけを出してもらえるようにお願いをし,処方箋を持って薬局へ行きました。すると,薬剤師さんが言ったのです。
「体にあった薬が見つかって,良かったですね」と。
『タイプ別上達法』はこれなんです。時代が進んだと感じています。
中を読みました。とても良いです。思っていた以上に濃い内容です。読んでいて「中身が薄いなぁ」と感じる本もあります。薄くても,その薄さがフィットする先生もいるので,中身が薄いからダメな本ということはありません。ただ,私には合わないということです。
この『タイプ別上達法』は,私に面白いです。なんと冴えている先生だろうと感じました。具体的な指導法も役に立ちますが,「上達」についての考え方が良いです。どこまでも伸びていく,そんな姿を山田先生に感じます。
お薦めします。
算数ソフトを使っている木島先生から,嬉しい便りが届きました。
ご紹介します。
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ソフトの内容ですが、大うけは「スィート。ポテット。」でした。
わかりやすさは、面積のところです。複雑な図形の求積問題が、色を変えて示してくれていて、補助線も入るので、視覚的にわかりやすくなっていました。
考え方も1から3まで説明があり、よくわかりました。
求積問題の二つ目だったと思います。補助線を引いていくつかの図形に分けて足し算で答えを求めるようにすると、非常に面倒でミスしやすいという方法を考え方の1と2で示してありました。考え方3では、全体からその長方形の部分だけを引いて求めるという考え方を示してありました。
子どもたちに余計な説明をせずとも、問題によっては引き算で求めるやり方の方がシンプルでわかりやすいと自分たちで気づいていました。
彼らは足し算大好きですので、何でも足し算で求めようとします。いい気づきになるような工夫をしてくださっているのが、よくわかります。
1平方キロメートルの広さを理解させる画像も助かりました。何と言っても大阪城の広さには、私も驚きました。
今日も算数の授業で使わせていただきます。
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算数ソフトを使って,「大受け」もあれば,「わかりやすさ」もあったのです。これだけでも,十分にすばらしい授業となります。
さらに,「説明をせずとも」「自分たちで気づいた」のです。これはハイレベルです。木島先生の指導力にソフトを加えるだけで,授業がぐっと変わってくるのです。
木島先生のメール,中嶋先生のブログ。両方に共通しているのは,「説明をしない」です。先生が説明をしなくても,子ども達が気づいてくるのです。
ここには,とても重要な指導の論理が横たわっています。
簡単に言うと,「バラバラ」から「まとまり」の展開です。「不整合」から「整合」への展開です。
ソフトを見たときは,初めての現象なので,個々がバラバラに認識されます。個々の関係がつかめないので,頭の中が「なにこれ?」「どうして?」といった状態になります。
それを複数回見ているうちに,個々の関係性が次第につかめ,ついに「なるほど!」「そういうことか!」と,「一つのまとまり」として見えるようになります。
バラバラだった事象を一つのまとまりとして認識すること,これが算数における「わかる」の過程的構造なのです。