Monthly Archives: 12月 2012

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藤本先生の『信頼を勝ち取る「保護者対応」』が出ました!

友達の藤本浩行先生が新しく本を出しました。『信頼を勝ち取る「保護者対応」』(明治図書)です。

「はじめに」に,この本が誕生する秘話が記されています。

昨年,藤本先生がさくら社から出した『新任教師 はじめの一歩』を明治図書の編集の方が読まれ,それがきっかけとなって,この新刊が出ることになりました。

どんどん読み進めていったら,途中のコラムに私の本が紹介されていました。
「実践! 家庭訪問のマナー」というコラム欄です。

「相手と同じ目線で聞く」
「その場にいなくても,大きな声で御挨拶する」
この2つの話しが載っていて,その最後に次のように記されています。

何よりも,気をつけたいのものが姿勢です。横山験也著『行儀作法の教科書』(岩波ジュニア新書)は,役に立ちます。

友達の先生の本に,自分の本が紹介されました。嬉しいですね。

この本には,信頼を勝ち取る10の原則が載っています。
それに続いて,事例が76も載っています。
事例は「子どもとの関わり」「学校生活の約束」から始まり,「授業参観」「保護者会」など行事的な項目,さらに「けんか・怪我」「不登校」「お金に絡む問題」などに分類されて出ています。
お金関係の所は,ちょっとおかしくなると大変なことになりやすいので,特に,読んでおいた方が良いです。かなり重要なことが書いてあります。

私が一番関心を高めたのは,この本の106ページです。

不登校になりつつあるお子さんの保護者から,校長先生が話しを聞いてくれたところです。
「宿題が多い」「先生がすぐに怒る」「授業がわからない」

この3つが原因と聞き出してくれた校長先生はさすがです。
さて,そこからどう対応をしたらよいかです。

宿題が関わる時間,怒りが関わる時間に比べて,授業は長いです。
この長時間関わる授業を分かりやすくすること,できれば,面白くて休んでいられないような授業を連日することができれば,何とかなるのが人の世です。

手っ取り早いのは,算数ソフトを毎時間,5分10分でも使うことです。ノリノリで授業をすれば,毎日,朝の1時間目か2時間目が楽しみの時間になります。寝坊をしているわけにはいきません。
そんなことを思いつつ,最後まで楽しく読みました。

 

頭が柔軟になるガヴァリエリの原理

右の図をご覧下さい。

同じ長さの細長い板を10枚ずつならべています。
Aは真っ直ぐに並べていますが,Bはちょっとずつずらして並べています。
さて,どちらの面積の方が広いのでしょうか。

このように問われても,どちらかが広いとは思えません。広さは,重なってさえいなければ,並べ方によって左右されないからです。

ガリレオ(1564~1642)の高弟だった,17世紀のイタリアの数学者ガヴァリエリ(1598~1647)は,それまでの数学の考えを進め,「面は幅のない線の集合」と考え『不可分量の幾何学』にまとめました。
この考え方は,頭が柔軟になります。Aのカチッとした面積が自由自在に動き出すような気持ちになってくるからです。
ですので,『不可分量の幾何学』には,いったいどんな風に書いてあるのか気になります。読んでみたいと思うのですが,こういう本の翻訳本があるのかどうか,それすら分かりません。

今,小学校で教えている方法は,面積を辺でがっちり固定して見る方法です。ですので,見た通りにしか図形が見えてこない頭になっていきます。これは,教える先生も同じです。
これをガヴァリエリのように,積み重ねているという形でも扱うようになったら,高さが同じなら途中はどんな状態でも関係ないことがわかります。自由にスライドさせてもかまわないと頭が働くようになります。

こういうソフトを,いつかつくって,面積の発展的な見方として見てもらえたら良いなぁと思っています。しばらくは,作れませんが・・・。

算数と英語

ネット上にあった英字新聞「The Japan Times ONLINE」の記事です。

この記事を英語のスペルを習っていない小学生に見せたら,どこに目が向くでしょうか。
もし,ローマ字を知っていたら「Tokyo」「Shintaro」「Ishihara」に目がいくかもしれません。
そのローマ字も知らない小学生は,どうでしょう。

「読んでみましょう」 と言われたら,きっと「数字だけなら読める」と言い出すと思います。

1年生なら,「31」「10」が分かります。
2年生なら,「9:05」が分かるでしょう。
小数を習っていたら,「42.195」が分かります。
そうして,勘の良い子は「19,2007」の「2007」を,もしかしたら2007年かも?と思います。
算数で「長い長さ」を学び終わった3年生は「42.195-km」を見て,もしかしたら「42.195km」の事かもしれないと思います。
マラソンをテレビでよく見ている子なら,この数字からマラソンだと気がつきます。
すると,最初の「9:05」は,午前か午後のどっちなのか次第に明瞭になってきます。夜中にマラソンをすることはないので,午前9時5分の事だろうと推理してきます。
脇にいたお父さんが「a.m.」が「午前」だよと教えたら,子供は,英語でも日本語のように数字の近くに単位関係の言葉があることに気付くかもしれません。そこから,「31」の後の「people」は何だろうと気になってきます。
数字はそれだけでは意味を持ちませんが,単位が付くことにより,世の中と結びついた意味を知ることができます。

明治維新。
日本の教育を真剣に考えた人たちが,和算を捨てて,洋算を取り入れるという大改革を断行しました。おかげでアラビア数字は,今や日本語と言って良いほどに日本語化しています。意地を張って,「日本人が学ぶんだから,数字は漢数字だ!」とやっていたら,上の新聞を見ても全く何も分からないのが日本の小学生となっていたことでしょう。

アラビア数字を用いた位取り記数法をしっかり教えているのは,英語の時間ではなく算数の時間です。もしかしたら,算数をしっかり学ぶことは,それだけでも国際人への道につながっているのかもしれません。

算数ソフト!複式学級で子ども達が教え合い・学び合い!

岩手県の花巻で開催された「第8回鍛える国語教室」に参加してきました。
庭野三省先生の「国語好きな子を増やす授業づくり」からスタートしました。
「教師は機嫌良く!」この一言で,引き込まれていきました。作文の題材に,本物のヘビをつかう実践は,「子ども達の目を釘付けにする」「子ども達の心がヘビから離れない」「ヘビの一挙一動に,子ども達の感動が連動する」など,作文を書くために必要な要素を実例で示した,素晴らしい内容でした。
そのすばらしさを引き継ぐ形で,「学力形成を促す『学習用語』指導の実践提案」が駒井先生,菊池先生,千葉先生の3先生が講演してくれました。
3人ともパワーポイントを使って,学習用語を使うことがなぜ必要なのか,なぜ大切なのかを分かりやすく話していました。その内容が実に素晴らしく,「野口塾の先生方は大きく成長されているなぁ」と感動しつつ受講していました。
とくに,圧巻は千葉真先生の発表です。私もパワーポイントを買おうと思いました。

私も算数ソフトについて,少し話しをさせていただきました。
崩壊学級が10日で復旧したこと。そのクラスが1ヶ月には算数テストで平均点97点を出したこと。
どうして,こういう事が起こったのか。
「毎日,算数の授業でソフトを使える」こと。これが,子ども達の学びのモチベーションを上げ続けることに大きな役割を果たしたのです。
そんな話しを終えて,休み時間。
一人の女性の先生から声をかけられました。
昨年もこの講座に参加され,算数ソフトを購入してくださった先生です。
話しを伺うと,複式学級の子ども達が算数ソフトを使って自分たちで勉強をしているとのことです。
「教え合い,学び合いですね!」と言うと,「そうなんです!」と嬉しそうにされていました。
学年を尋ねると,5年生6年生の複式学級です。
その瞬間,頭の中に浮かんできたのは奥田先生です。奥田先生も複式学級を担任しています。
指導を直接できない方の学年の子ども達には,算数ソフトを使って「教え合い,学び合い」で学習を進めています。その効果は,これまでやり方とくらべて絶大と太鼓判を押してくれています。
その奥田先生の学級と同じような学習が,岩手県の複式学級でも起きていることを杉本先生から知らされたのです。
嬉しい一時でした。
とても嬉しかったので,記念撮影をしました。

『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』がお役に立っていて,とても嬉しいです。