Monthly Archives: 8月 2014

You are browsing the site archives by month.

城ヶ崎先生,押田先生とチーム算数

チーム算数が開催されました。
城ケ崎先生と押田先生と私の3人です。

一番面白かったのは,城ヶ崎先生が一般参加したセミナーでの出来事でした。
話し合い活動があったようで,それにまつわる話をしてくれ,非常に納得しました。

私は,スクーで話した,帯分数の歴史を話しました。
そういう話をしていたら,押田先生も城ヶ崎先生も,「歴史」が大事なんだと話してくれました。
特に押田先生は,「算数の歴史」を知りたいし,子ども達にも伝えたいと語っていました。
小学校の先生の視点で,「算数の歴史」がまとめられたら,これは貴重でしょうね。

今回のメインの話は,「習慣は第二の天性」の話です。
この言葉がドンピシャで適用されているのが,算数なのです。
単元事に,この第二の天性作りがされている大変珍しい教科が算数なのです。
それを簡単な図にして示しました。
その図は,パッと見,「否定の否定」の発展的構造図とも言えます。

「習慣は第二の天性」の事例として,大分の幼稚園の先生にしたように,チーム算数でも「指折り10まで数える」話をしました。

b8300そうして,私が今読んでいる本を紹介しました。
『数の歴史と理論』です。
この本,まだまだ読み始めなのですが,数の本として非常に質が高いです。
何しろ,「4本」とか「2人」という助数詞の背景が記されています。
もう,これだけで,10冊分ぐらいのパワーを感じます。

すばらしい内容が書いてあるのですが,古書のため,本を開くと,古書の香りがただよいます。
ですので,よほど空いている電車の中でないと,開くことができません。
そこが,ちょっと残念ですが,実にいい本です。

スクーで話せなかった「日本最古の分数」

スクーで,算数の話を4本しました。b8302
「1か9分の8は,1なのか,8/9なのか?」
「分母・分子から古代中国を覗く」
「世阿弥も分数を活用していた」
「形式分数って,なんだ」

どの話も面白く語れました。
そうして,最後に,
「日本最古の分数は神社への勅」
という話をする予定でしたが,ちょっと時間が来てしまし,お話しできませんでした。

その話を,ここに書き記しておきます。
--
「日本最古」というのは,文献に残っている最古です。
それも,私が読んだ範囲です。
ですので,これからご紹介する分数より,もっと昔に記された分数が出てきたら,この話は第2位,第3位と,順次繰り下がっていきます。

私が発見した最古の分数は,『日本書紀』に出てきます。
天武6年(672年)の事として,ご覧のように登場しています。

己丑(つちのとの うしのひ)に,天皇の勅(みことのり)がありました。
神社の神税(かむちから=税金)は,
3つに分けて1つを神につかえるために使い,
2つ分は神主にわけましょう。

集められた税金の分け方が記されていたのです。

b8301この少し後に,もう1カ所,分数が出てきます。

乙巳(きのとの みのひ)に,天皇の詔(みことのり)がありました。
上戸(かみつへ)には,1町を与えましょう。
中戸(なかつへ)には,半町を与えましょう。
下戸(しもつへ)には,4分の1町を与えましょう。

宅地の分け与えで分数が登場しています。

途中,点々で省略しているところには,次のように出ています。
右大臣に賜う宅地四町。
直広弐より以上には二町。
大参より以上には一町。

分数が出てきた下戸は,わずか1/4町です。
「下戸」という言葉の持つ語感と,最後に示されている順序などから,
かなり狭い宅地なんだろうなと思います。

ところが,ところが・・・。
1町というのは,かなり広いのです。
どのくらいの広さかいうと,400尺四方の土地が一町なのです。
1尺は約30cm。時代が違えば寸法に多少の違いがあるかもしれませんが,
おおむね30cmと考えてみると,1町は1辺が120mの正方形となります。
120m×120m=14400平米です。
これを坪に直すと,4360坪ぐらいです。
ちょっと控えめに,4000坪としても,下戸はその1/4ですから,1000坪の宅地となります。
下戸は,漢字で見るより実に身分が高いと実感します。

天皇のみことのりには,2種類ありました。
「詔」と「勅」です。
「詔」は主に大臣に向かって出されるお言葉です。
「勅」は国民に向かって出される天皇のお言葉です。
宅地の方の「みことのり」は「詔」なので,下戸と呼ばれていてもとっても偉かったのです。
--
こういう話をして,スクーの話をおしまいにする予定でした。
また機会があれば,お話をしたいと思います。
ご静聴,ありがとうございました。

※私の読んでいる『日本書紀』は岩波文庫の本です。とても,勉強になるいい本です。

『日本教育新聞』に『しごこちのいい学校』が!

b8303日本教育新聞に,『しごこちのいい学校』(鎌田富夫著)が紹介されました!!

掲載された紙面は別冊のようについてくる「週刊教育資料」8月25日号の「BOOK」のコーナーです。

記事を書いた方は,元川崎市立小学校校長・北村清氏です。
北村氏は,最後の段落で次のように記しています。
--
 まさに「しごこちのいい学校」づくりの楽しさを物語るすてきな話ではないか。学校づくりに腐心している人にぜひ薦めたい本である。
--

この本の記事の下に,もう一冊紹介されています。
『池上彰の「日本の教育」がよくわかる本』です。
こちらの記事を書いた方は,飯田稔氏です。若い頃,何度かお会いしたことがあります。

b8422_200『しごこちのいい学校』が紹介された日本教育新聞は,日本最大の教育新聞です。
光栄なことに,若い頃,私もちょっと書かせていただいたことがあります。
また,その頃は教育雑誌にたくさん原稿を書いていたので,日本教育新聞が面白いということを書いたことがありました。

折れ線グラフのソフトの面白い使い方

今度の日曜は,スクーです。
「横山験也の算数の授業」が生放送されます。
お時間のある先生,是非ごらんください。
--
b83044年生の「折れ線グラフ」の「02F、折れ線グラフをみましょう/各地の天気/関東」のソフトです。

折れ線グラフって,どんなグラフなのか,その様子を見るためのソフトです。
各地の気温のグラフを見せて,感想を語り合うのも良い勉強になります。
なにしろ,グラフを補助する表も載っているので,数字での把握ができます。
数を伴った感想が出てくれば,それは質の高い感想となります。

このソフト,ちょっと工夫すると,面白い現象を見ることができます。
「自分の県を中心に,他の県をみる」という見方ができます。
たとえば,私は千葉県なので,まずは千葉県をクリックします。
すると,ご覧のように千葉県の平均気温の表とグラフが出てきます。
次に,茨城をクリックします。
すると,グラフが千葉から,茨城へとジワーンと変化します。
折れ線の両端が下がっていく様子がわかります。
どうも,千葉の方が暖かいとわかります。

また,千葉をクリックします。次に栃木をクリックします。
栃木も折れ線の両端が下がっていく様子がわかります。

こんな風に,自分の県を見てから,他の県を見る。また,自分の県を見てから,他の県を見る。
これを繰り返していくと,近隣の県との微妙な違いに気がつきます。

そうして,重要なのは,その微妙な違いは「折れ線」だとよくわかるが,「表」ではよくわからないことです。
「折れ線」と「表」。
両方が表示されていますが,パッと見て変化がわかるのが「折れ線グラフ」の特徴だと実感的にわかります。
--
b8452関大初等部式 思考力育成法
小学生がベン図を使って思考するなど,驚きの連続です。

「算数ソフトキャラクター解説

b8306工藤先生から,「算数ソフトキャラクター解説」第2号をいただきました。
今回のは,6年「比」、「比例」「おこり得る場合」です。
算数ソフトファンの皆さんには,授業の様子が思い出されてきますね。

さて,工藤先生の解説をご紹介します。
-------------------
①・「クリックしてくだ青サイ」
01号にて紹介した「クリックして赤サイ」との違いは、
右向き、別数字表示、次の作業を誘導するという点。

②・「クリックしてくだちょうちんアンコウ」
クリックシリーズの別キャラ。
いくつかの数字をまとめて変更する際に登場。

③・「歴史キャラ連合」
色々な単元に登場する、歴史キャラ連合。
歴史の学習と絡めると2倍おいしい。しかし、深追いすると時間がかかる。
聖徳太子、藤原道長、清少納言、源頼朝などそうそうたるメンバーが勢揃い。

④・「順数字」
とっても地味な表示キャラ?ではあるが、とっても大事な順番を表し、
順を追って作業の手順ややり方、注意ポイントなどをおさえる。

@@ おまけの隠れキャラ @@
⑤◇「よっしゃー!」
よっしゃー!というかけ声と共に出現。
その名もそのまま「よっしゃー!」だが、さてどこに出てくるでしょうか。

◇「いよー!」
画像の表示はないが、量や数字が増えたり減ったりする際の効果音。
他のことに気をとられ脇見をしていたやんちゃ君も、この音一つで画面に大注目。

◇「歌舞伎音」
画像の表示はないが、量の変化などの際に鳴り響く歌舞伎的な効果音。
間をとるにも最高。子ども達の中にはリズムをとる子もいたりする。
----------------------
楽しい内容がざくざくですね。

中でも,感動的なのは,1つめの◇の2行目です。
「他のことに気をとられ脇見をしていたやんちゃ君も、この音一つで画面に大注目。」
何か,他のことに気をとられること,誰にでもありますよね。
そんなとき,「こっちを見なさい」と言いたくなりますが,効果音が聞こえて,さっと学習に戻ります。
こういうのスマートですよね。

また,2つめの◇も良いですね。
「子ども達の中にはリズムをとる子もいたりする。」
子ども達の心をつかんでいますね。
これこそ,「楽しい」という状態です。
孔子の言葉(論語)に,こんな言葉があります。

子曰く,
これを知る者は,これを好む者にしかず。
これを好む者は,これを楽しむ者にしかず。

知っている人は立派ですが,それを好んでいる人にはかないませんね。
好んでいる人もすばらしいですが,それを楽しんでいる人にはかないませんね。
というような意味です。

まず,楽しんで取り組めるように工夫することが,学習の第1の要件です。
算数の授業に算数ソフトを活用している先生のクラスは,この第1要件が満たされていますね。

「事前学習法説明会in愛知」を楠本先生と!

b8305四日市の小学校へおじゃまして,算数ソフトの話をしてきました。
1年生から6年生まで,順に算数ソフトを紹介しました。
一つ一つのソフトに,先生方がとっても驚いてくださいました。
デジタル教科書も使っている小学校ですので,PCを使った授業に慣れています。
その先生方が見て,驚かれたのですから,私はとっても感動しつつ,お話しさせていただきました。

ソフトの話に入る前に,姿勢の話をしました。
こちらは,大爆笑でした。
それなのに,先生方は見事な姿勢で座ってくださっていました。
話した私もびっくりです。
途中,「女学校の手の挙げ方」を自然にされている先生がいて,妙に嬉しい気持ちになりました。
--
その帰り,名古屋で「事前学習法説明会in愛知」を開催しました。
楠本先生とです。
近くの喫茶店で,1時間半ほど,楽しく語らいました。

事前学習法の話を聞いて,これは無理だなと思ったら,無かったことにして,
これは行けると思ったら,一緒に進みましょう,ということで,話を進めました。

事前学習法の最大のポイントは,「学力差を縮めてから,本番に入ろう」という姿勢です。
そんな話があれこれ続き,楠本先生は,チョーロング事前学習「コンパス」をされていたことを話してくれました。
聞いていて,とっても心が温かくなりました。
さらに,楠本先生は,私が若い頃に書いた本を鞄からだし,
後書きに,「遅れがちな子を・・・」と書いてあるところを指さし,
「これが横山先生の一貫している姿勢なのですね」と,ずばり話してくれました。
若い先生ですが,大した洞察力です。

たくさんの事例を語り合い,楠本先生も2学期から,意図的に事前学習を取り入れる指導を実践的に研究してくれることになりました。
ありがたいことです。

2学期に成果が出たら,愛知でも「事前学習法セミナー」が開催されるかもしれません。