4年生で概数を学びます。
これは,そこを教えるソフトで,子ども達に大人気です!!
なにしろ,一目見たら,忘れられない「四捨五入へび君」が登場します。
ソフトになる前の,紙教材「四捨五入ヘビ君」を,東京のセミナーで紹介しましたが,みなさん,大笑いしつつ,とても感心していました。
それもそのはず,「四捨五入のやり方」の原理がわかるように作ってあるからです。
算数には2種類の理解があります。
1,「仕組み」の理解
2,「やり方」の理解
大学の先生は,1の「仕組みの理解」について,強いです。
算数の論理から導き出されるので,全体構造がわかっている方が,質の高い仕組みを見いだすことができるからです。
2の「やり方の理解」は,現場の先生が強いです。
ここの創意工夫が,算数の腕の善し悪しを左右します。
算数ソフトは,その両方をわかりやすくしています。
だから,気になるあの子もグイグイ伸びるのです。
新宿でのセミナーで,四捨五入の創意工夫を考えてもらいました。
すると,若い小野先生が,「スラッシュを刀にするといい」とひらめき,発表してくれました。
すかさず,会場から,「なるほど!」のため息が出ました。
こういう,納得のため息が出る考えは,やっぱりセンスのいい考えになりますね。
四捨五入は,ソフトの画像のように,スラッシュの中に数を入れるといいのです。
スラッシュも上下半分に分かれるようにしておき,0~4と5~9に分けます。
下半分は「四捨」。上半分が「五入」です。
後は,先生の声で擬音効果を出します。
--
今週末は,野口塾の流し素麺です。
気になる天気は,晴れ時々曇りとの予想が出ています。
雨が降りそうにないので,ホッとしています。
道中の車中も楽しくなりそうです。
何を思ったか,この本を急に読みたくなり,読みました。
『学習指導要領は国民形成の設計書』です。
明治以降の指導要領の変遷を,通史として学ぶことができます。
これ一冊読めば,かなりわかるので,たぶん大学のテキストではないかと思います。
指導要領変遷のあれこれが書いてあるので,知らないところを確認するときに,この本は便利です。
戦前と戦後。面白かったのは,やっぱり戦前ですね。
特に,教育勅語が出てくるまでは,道徳をどうするかでかなりヒートアップしていたことが書いてあり,なかなか面白かったです。
西洋文明を重視すると道徳軽視となり,世の中の混乱を見ると本来の日本道徳の重視が叫ばれます。そうして,最終的に日本道徳をしっかり教えようとなっていきます。
その近代日本の道徳のはじめの一歩的位置に存在しているのが,西村茂樹氏の『小学修身訓』です。
『小学修身訓』についても,この本には出ていました。
そこを読んだとき,オッ!と思いました。
なぜなら,自分も持っているからです。
作法の研究をしているとき,この本は外せないと思い,神保町の古本屋で買い求めた一品として,今,部屋の本棚に積んであります。
この『小学修身訓』は,教科書です。
それもちょっと変わった教科書です。
児童が声に出して読み上げ,暗唱してけるように作られた教科書なのです。
このスタイル,野口塾に参加している先生は,オッ!と思いますよね。
野口先生の『言葉と作法』が,読み上げることで指導していくスタイルになっています。
青森の駒井先生の「素読指導」も,読み上げる指導です。
さくら社の『日めくり論語』も,日直が読み上げ,クラスがいい感じになっていくと知らされています。
そうして,この読み上げ暗記するスタイルは,文部省が初めて作った道徳教科書『小学修身書』にも引き継がれました。
近代道徳の始まりは,読み上げだったのです。
近代道徳草創期の教科書と,現代の道徳教育の一翼を担っている野口塾の指導法が重なっています。
読み上げる指導は,「不易流行」の不易なのです。
7月26日の野口塾in南平での私の作法の話で,ここのところをちょっとお話しするかもしれません。
興味のある先生,ぜひ足を運ばれてください。
--
昨夜,島根の広山先生から電話がありました。一杯飲んでいる感じでした。
サークル後の懇親会だそうで,その席に,勤務校の校長先生も参加されているそうです。
その校長先生は,なんと秋田健一先生です。驚きました。
むかし,バリバリやっていた青年教師も,今は退職前後の年齢になっています。
懇親会の席で,その後,バリバリの面々はどうなったのか・・・と話題になったそうです。
そこから,学校で研究会を開き,そこに往年の青年教師が集って・・・という方向で話が盛り上がり,私に電話となりました。
深澤先生にもお声をかけているそうです。
実現したら,賑やかな研究会になりますね。
秋田校長先生とも電話で歓談しました。
今,島根県は若い先生が大量に採用され始めているそうです。
それが,向こう10年ぐらいは続くそうです。
若い先生にも,しっかりとした教育を進めてほしいとの秋田校長先生の熱い思いを拝聴しました。
島根の近場として,広島に8月2日(土)行きます。
「第22学 教師力向上セミナー 授業づくり今、むかし~ICTと作法・和算~」です。
秋田校長先生に,こちらへもどうぞ,とお誘いをしたら,当日は愛知で・・・とのことでした。
あの頃の青年教師は,今もバリバリに活躍中です。こういうのいいですね。
--
算数クラウドにアップされている中から,ソフトを1本,ご紹介します。
5年生の図形の性質のソフト,
「03D,三角形の角/内角の和/角度を見る」です。
このソフトのありがたいところは,頂点をドラッグすると,三角形の形が変わることです。
ですので,いろいろな形の三角形を,簡単に作り,子ども達に見せることができます。
さらに,嬉しいのは,形が変わると同時に,角度の数字も変わります。
そうして,「式」を見てみると・・・。
3つの角の合計が常に「180」になっていることに気がつきます。
これまでに無い,楽しい教材なので,授業も盛り上がることと思います。
もちろん,あの有名な「カマキリライダー180度」のソフトも,クラウドに入っています。
ぜひ,子ども達に見せてほしいですね。
宇佐美寛先生の『私の作文教育』がアマゾンで735位になっていました。
読んで初めてわかる,このド迫力。
教育哲学の本は,元来,こういう文章であるべきなのだと痛感します。
教育学全体の中でも15位に位置していました。
さすがは,宇佐美先生の本です!
--
次回のスクー。
7月27日(日)でほぼ決まりそうです。
話は,前回の続き,分数の話です。
◆分母、分子から古代中国を覗く
◆世阿弥も分数を活用していた
これに,あと2本,お話を加えて,次回のお話にする予定です。
詳しいことは,近いうちに,スクーに発表になります。
スクーの準備で,算数関係の本を探していたら,その棚の隅の方に,『日本料理技術選集 箸の本』がありました。
この本,家のどこかにあるとはわかっているのですが,どこに置いたのか,全くわからなくなり,読みたいときに読めなかった,ウォンテッド本でした。
それが見つかったので,しばし,他のことを取りやめて,この本を読むことにしました。
面白いですね。
元々手づかみだった日本人ですが,中国から箸の文化が輸入され,宮中から次第に全国民へと広がりました。
これは,一大生活改革ですよね。
その上,箸は日本仕様に変化し,箸を使う食事の作法も定式化していきました。
こういうところが,日本人の優れたところと思っています。
ここをもう少しあれこれすると,日本人の大きな組織論へとつながります。
何しろ,日本は2000年も続いている国なのです。
地理的な条件とか,民族的な条件とか,いろいろあっても,これは内部に「しなやか」で「強靱」な組織が形成されていたと考える方が自然です。
バラバラな日本人だったら,2000年も持たなかったでしょう。
このあたりについては,土曜日の流し素麺野口塾で,山中先生や中嶋先生,城ヶ崎先生達と語らいたいと思っています。
この日本の組織論がわかってくると,しなやかで強靱な学級経営の大枠がかなり明確になります。
8月2日(土)は,広島県福山市で算数の話をします。
「第22学 教師力向上セミナー 授業づくり今、むかし~ICTと作法・和算~」です。
10:00~10:30 開会行事 講座1・山根 僚介氏「ICTで徹底反復!」
10:35~11:35 講座2・横山 験也氏「模擬授業 『図形』」
11:35~11:50 講座3・藤本 浩行氏「横山験也先生の模擬授業を解説!」
13:00~14:10 講座4・横山 験也氏「大好き算数!和算からICTまで」
14:20~15:20 講座5・藤本 浩行氏「藤本実践全部話します!算数DVD&ブラックボックス」
15:30~16:10 講座6・横山 験也氏「小学生から先生まで~作法のはなし」
16:30~16:50 Q&A 「横山氏・藤本氏・山根氏が質問にお答えします」
ICT有り,和算有り,ブラックボックス有り。
かなり,おもしろい内容が飛び出しそうです。
玉手箱的セミナーであり,目から鱗的セミナーとなりそうです。
お近くの先生,ぜひ,お越しください!!
お申し込みは,こちら。
徹底反復研究会が,中村堂から本を出しています。
『日々の指導に生かす「徹底反復」』です。
この本,徹底反復研究会の双書です。シリーズとして続々と出るそうです。
その中心人物が第1講座を受け持つ山根僚介先生です。
ICTでどのように徹底反復されるのか,しっかり拝聴したいです。
非常に,楽しみです。
そうして,期待しているのは,藤本先生のブラックボックスの使い方です。
なにしろ,ブラックボックスはおもしろいです。
子ども達がはまります。
藤本先生の巧みな使い方,こちらも楽しみです。
--
ところで,中学へ異動された奥田先生が,数学のプリントを作られています。
その中に,「まちがいを見つける」というコーナーがありました。
これが,実にいいのです。
方程式を解く文章問題なのですが,文章問題のすぐ下に,式も答えも出ています。
そこをよく見て,間違えているところを見つけ,説明をしましょう,という出題です。
連なる式のどこかにミスが埋め込まれています。
その場所は,「移項」の所でした。
一番重要な所なので,ここにミスを埋め込んでいることに,グッドな気持ちになりました。
こういう間違い探しは,ちょっと変わった問題という程度に見られています。
ですが,私はかなり重要な内容を含んでいる出題方法と思っています。
「間違いだ!」と判断するには,「規準」が必要です。
ある規準から見て,基準外だから間違いとなるのです。
その基準に気づかせ,その基準の立ち位置から,「ここは間違えている」と指摘させるのが,間違い探しなのです。
ありがたいのは,この規準が,算数・数学は極めて明瞭なことです。
もともと,きまりで成り立っている勉強なので,例外がありません。
基準外は全部間違いになります。
ですので,単元の重要なきまりにスポットを当てると,「間違い探し」の学習は,非常に有効な指導方法となります。
奥田先生のプリントを見て,「なるほど!」と思った次第です。
仕事の合間に,『墨子』を読み返しました。
孔子の100年ぐらい後の人です。
言葉の定義で算数に関することも書いています。
そこを,もう一度読みたいと思って,この本を開いたのですが,この本には少ししか載っていませんでした。
そこで,平凡社の東洋文庫の『墨子』を読みました。
これは,本ではなく,ジャパンナレッジで読みました。
読み下し文しか載っていないのですが,文章が実に読みやすく,藪内清さん,最高!なんて思いました。
それでも,算数の定義は,やっぱり少しでしたが,そういう論理的なことを書いていること自体に驚きます。
倍も自在に使われていました。分数も1カ所出てきました。
たいしたものです!
2300年ほども前に,これだけのことを考えていた人が中国にいたことが,驚きです。その当時の日本は・・・。文字で残っている情報がありません。
日本書紀ができたのは,墨子の1000年後です。
日本書紀の内容と,その1000年前の墨子を比べても何にもなりませんが,日本は文章での表現・論理で,ものすごく出遅れていた国だとわかります。
出遅れていても,江戸時代以降,学問の振興策がとられていたので,今やすばらしい状態になっています。
「学問の出遅れは,跳ね返せる」のです。
1000年の出遅れが日本なんですから,今,出遅れている人は,極めて日本的といえます。
今からでも,自らの学問振興を実行しましょう。
きっと,大きな力がついてきます。