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横藤雅人先生,野中信行先生の本

  北海道の横藤雅人先生の新刊です。
  
  開口一番,「学級経営が難しい時代になった」とあります。さらに,「これまでの・・・教育のモデルが,時代に合わなくなっている」と述べています。
  これは大変な事です。経験豊かな先生が,若い頃に学んできたことが,時の流れとともに次第に通じなくなるのです。
  でも,これは,私が若い頃も同じでした。年配の先生方は,やっぱり「今の子は・・・」と言って,子ども達が変わり,世の中も変わり・・・と,その緩やかな大きな流れを感じ,グチをこぼすことがありました。
  学校の外を見ても,似たようなことはあちこちに起こっています。わかりやすいのがお店です。新しいお店には人が流れますが,店構えを変えなかった所からは客足は遠のくのと同じです。
  「時代に合った指導」が学級には大切なのです。

  今という時代の子ども達とどう向き合ったらよいのか,横藤先生は「織物モデル」が大切と,「縦糸,横糸の絡め方」を学び実践することが大切と述べています。それにはどうしたらよいのか,それが詳しく,しっかりと書かれています。
  そこから,野中信行先生は「縦糸・横糸の教育学」と「3・7・30の法則」「群れを集団へ」の3つが重要と伝えています。
  内容も具体的に記されています。若い先生,学級経営に不安のある先生に,お薦めの一冊です。

  そうして,一押しは,野中先生の「得意な話10個」のタイトルを教室に掲げておく,という実践です。これは際だって良いです。どう良いのかは,この本のp95をごらんになってください。そこを見て,ぴんと来る先生は,かなりセンス良いです。こういう実践をしている先生のクラスは崩すのが難しいと思います。

  学級経営の基本的なことからハイレベルなことまで,かなりきちんとまとめられている本として,若い先生には左の藤本浩行先生の本も良いです。
  こちらは,若い先生を指導する立場にある先生にも読んでいただきたい一冊です。
  

5年,算数ソフト/体積/工夫して体積を求める

  L字型の体積を求めます。
  基本の考え方は,3つ。

  1) 縦に切る
  2) 横に切る
  3) 全体から部分を引く

  どれにも共通していることは,「工夫して既習の直方体の形にする」ことです。
  
  このソフトの特徴は,立体の形を変化できるところです。青いつまみをドラッグすると,形が変わります。
  
  考え方1,考え方2,考え方3のボタンをクリックすると,切れ目が出ます。

  考え方3は,左のように不足部分に緑の直方体が出てきます。これで,全体から部分を引けば,良いことがわかります。

  式や答えも登場します。

  まだ,もう少し作り込むので,これが「もっと!算数」にアップされるのは,土曜か日曜頃になります。

  5年生の先生,算数好きの子を増やしてください。私も頑張ります!

計算の確かめ用アイデア「確かめカニ太郎」

  「教材開発」関連のメーリングリストに参加しています。そこで,ドリルの話題が出ましたので,昔,自分が開発した「確かめカニ太郎」という工夫を紹介しました。
  
  計算ドリル・プリントをやっても,答えを間違える子がいます。間違えているかどうか,それを自分で点検してほしいのですが,なかなかしてくれません。そんな現状を何とかしたいというのが,当時の私の思いでした。

  以前は,計算を間違えた子に「確かめ算(検算)をしましょう」と促していました。ですが,その確かめ算で間違えてしまうのです。せっかく出した正しい答えなのに,確かめ算で間違えてしまい,正答を誤答に書き直してしまう子もいました。何とも,かわいそうなことをしました。そうして,確かめ算をやらせると計算量が倍増してしまい,次第に計算をいやがる子が増えてきたのです。

  そこで,何か妙案はないかと考えたのが,「確かめカニ太郎」です。
  「確かめカニ太郎」は,いくつかのバージョンがあるのですが,一番シンプルなのが「答えの数字の合計を知らせる」という方法です。
  答えが2桁以上になるときに使います。答えが「1215」だったら,「9」になります。
  答えが1桁の時は,「1桁」であることを伝えます。


  左のような感じになります。

  検算をさせるより簡単で,しかもドリルの答え合わせの前に確かめることができるので,子ども達もかなり真剣になります。

  ※ カニは最初,カメでした。「確かめ算」と「カメ」と出てくるので,最初はカメだったのです。でも,あれこれあって,カニになりました。「」と確信を持てる瞬間がやってくるからです。

人の数え方,「ひとり」「ふたり」の次は?/日本書紀より

  論語も好きですが,『日本書紀』も好きで,時々読んでいます。人の名前が出てくるのですが,その数がおびただしく,その上,妙な感じの読み方をするので,何が何だか???という感じになります。
  それでも,面白いので,時々読んでいます。

  日本書紀は「和語」の宝庫です。
  小学校で「漢語と和語」の学習をすると思いますが,この単元が「ちょっと好き!」という先生は,お時間のあるときに,『日本書紀』をちょこっと見ておくと良いです。いろいろな言葉が全部「和語」で出てきます。辞典には出てこないようなマイナーな言葉もあれば,今や意味不明な和語がざくざくと出てきます。

  その一例をお話しします。

  人の人数を数えると,普通,「一人(ひとり)」「二人(ふたり)」「三人(さんにん)」「四人(よにん)」・・・と数えます。
  これが,奈良時代に完成した日本最古の勅撰の正史である『日本書紀』では,読み方が違うのです。

  一人・・・ひとり
  二人・・・ふたり
  三人・・・みたり
  四人・・・よたり
  五人・・・いつたり
  六人・・・むゆたり
  七人・・・ななたり
  八人・・・やたり
  九人・・・ここのたり
  十人・・・とたり
 二十人・・・はたたり
 三十人・・・みそたり

  ここまでで,十分,満足できます。

  気になることが,出てきます。
  1つは,「一人」「二人」までは今も和語。でも,「三人」からは漢語の読み方になっています。いったい,なぜ,こんなところに分かれ目が出来たのでしょう。
  2つめは,「ひとり」は,もともと「ひとたり」。「ふたり」は「ふたたり」だったのではないだろうか。
  
  1と2には,ちょっとしたつながりがあるように思えています。
  「一人」「二人」は,数えの始まりなので,頻繁に使います。それで,言葉が縮まったのではないかと考えています。
  同様に,「ひとり」「ふたり」はあまりによく使われていたので,漢語にならなかったようにも思えます。また,昔は「三」に「たくさん」という意味を込めていました。「八」にたくさんの意味があるのと同様で,たくさんの始まりは「三」だったのです。それで,「たくさん」は学術的にしたくなって,漢語で「さんにん」「よにん」と呼ぶようになったのではないかとも考えています。

  『日本書紀』は,こんな推理を楽しむことが出来ます。
  ※私が読んでいる日本書紀は岩波文庫です。全五巻。とっても面白いです!!

5年生の算数ソフト/体積の2本目

  5年生の体積ソフトの2つめです。

  昨日ご紹介したのは,「積み木の数」つまり「1cm3の立方体」という単位量でいくつ分になるか,という基本中の基本の考え方の学習に向けたソフトです。

  今日のは,そこから一歩前進して,「計算で体積を求める」には,どうしたらいいのかを考えるソフトです。
  とはいっても,すでに,面積の求め方を知っている子達です。あまり難しく考えずに,底面が「縦×横」になっていて,それに「高さ」を掛ければOKとなっていきます。
  立体ですから,向きを変えれば,違う順番になることもあります。いずれにせよ,一般には,「縦×横×高さ」になっているので,そこに落ち着けます。

  このソフトは頂点にある青い丸をドラッグすると,寸法を変えることが出来ます。画期的なのは,式を見ながら立体の大きさを変えると,式も一緒になって変化することです。
  この「図と式の連動」を見せられるかどうかが,算数の決まりを見いだしていく分かれ目です。学習に遅れがちな子も,図と式の連動を見ることで,「なるほど,そういうことか」と,わかった瞬間がやってきます。しかも,自分で決まりを見いだすのですから,嬉しいです。

  さらに,おまけとして,本当に表示されている数値をそのままかけ算しても大丈夫なのかどうかの確認として,桜スライダーをつけました。
  桜スライダーを下に下げると,積み木が見えるようになっています。「cm」と「個数」が一致しているので,確かに長さのまま掛けても大丈夫なんだと,わかります。
  でも,本当は,昨日紹介したソフトを見ていたら,枠だけの直方体を見て,その中に積み木を感じとってほしいのです。「積み木が入っているんだから!」ととらえてくる子が出てきてから,「さすがです!」と桜スライダーを下げてもらえたら,嬉しいです。これは,私の単なる希望です。授業で子ども達が体積のカラクリ(中は単位体積・単位立体の詰め合わせになっている)ことが体にしみこんでくれたら,それで十分OKです。

  このソフトも,明日(20日)には,もっと算数サイトにアップする予定です。
  

5年の算数ソフト/体積

  5年で「立体の体積」を学びます。その基本中の基本の所のソフトを作りました。

  1cm3の立方体(積み木)を積み重ねたら,積み木の数はいくつになっているかを考えるソフトです。
  
  「縦・横・高さ」の大きさを変えられるように,それぞれに対応したスライダーを作りました。
  スライダーを動かすと,1cm3の数が変わります。それを見ているだけでも,かなり,楽しいです。

  最大の工夫点は,積み重なっている立方体の手前左端の積み木を上にドラッグできるようにしたことです。これにより,重なっている部分の中を見ることが出来るので,どの段も同じ数の積み木で出来ていることがわかります。

  スライダーは,手前左下が原点になるように作ってあります。
  座標の概念の素地がつくようにと願って,作り込んでいます。
 
  明日には「もっと!算数」サイトにアップします。
  5年生の先生,アップされたら,是非ご活用ください。
  なかなか,良い作りをしていますよ!!