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『出会いでつむぐ私の半生』/佐々木正美先生の本

  本は山のように出ているので,何を読むかは選ばなければなりません。

  基本的に,「今必要な本」と,「10年後に自分のためになる本」という視点で選んで読んでいます。

   そんな中,『出会いでつむぐ私の半生』を読みました。感動的に読み終えました。「10年後」という私の視点に,よい影響を与えてくれたからです。

  著者の佐々木正美先生は私より20歳年上です。年上の人が書いた本だったこと。これが良かったのです。
  20歳年上と言うことは,20年後には自分も今の佐々木先生の年齢になります。そのときには,佐々木先生のように人生を振り返ることが当然のように予測されます。
  どんな境地で振り返りたいか。今の自分の年齢なら,その振り返る像を作り上げることが出来ます。いい境地に立てるようにできるのです。なんだか,心の底から良い人生になるよう,日々,前進しよう!という気持ちになります。

  そういえば,貝原益軒の『養生訓』も,宮本武蔵の『五輪書』も,本居宣長の『玉勝間』も,心にグイグイ来る本でした。個々の専門的な話の面白さとは別に,「人生を長く生きた人の境地」を感じていたのだと思いました。
  佐々木先生の本を読んで,専門家で長生きの方の本をもっと読みたいと思いました。こういう自分の歩みに刺激を与えてくれる本は,なかなかありません。良い本です。

  佐々木正美先生は,精神科医の先生です。特別支援教育では大変に高名な先生です。志ある若い先生には,是非読んでほしい一冊です。  

横田経一郞先生の本/教室マジック24

  横田経一郎先生が,実に面白い本を出しています。
  『教室マジック24』(小学館)です。

  この本には教室で簡単にできる手品が載っています。DVDには種明かしムービーが収録されています。

  本を開いた時には,一つ一つの手品について,どれもこれも,どうやるのか全く分かりませんでした。
  でも,DVDを見たら,これが実に簡単なんです。面白い!と感動しました。
  この中の1つ2つを持ちネタにし,子ども達にやって見せたら,その瞬間から先生は特別な先生になってしまいそうです。

  DVDの種明かしを見て思ったことは,横田先生のセンス良さです。数ある手品の中から,24本を選ぶのですが,選ばれているマジックを見て,そのセンスの良さが出ます。教師としての腕も相当に高いと感じます。
  実際,横田先生とは若い頃に一緒に勉強をしていましたが,その頃から暖かい感覚で子ども達を包むような優れた感性を持っている先生でした。ユーモアもあり,本も良く読んでいる,実力派の先生でしたので,彼が「いい!」と言うことは,たいてい「なるほど!」と頷いていました。このマジックも,まさに横田先生の教師としての眼力が光っています。お薦めします。

  低学年の12本のマジックの中に,割り箸のマジックあるのですが,今,これが私のお気に入りです。

横藤雅人先生,野中信行先生の本

  北海道の横藤雅人先生の新刊です。
  
  開口一番,「学級経営が難しい時代になった」とあります。さらに,「これまでの・・・教育のモデルが,時代に合わなくなっている」と述べています。
  これは大変な事です。経験豊かな先生が,若い頃に学んできたことが,時の流れとともに次第に通じなくなるのです。
  でも,これは,私が若い頃も同じでした。年配の先生方は,やっぱり「今の子は・・・」と言って,子ども達が変わり,世の中も変わり・・・と,その緩やかな大きな流れを感じ,グチをこぼすことがありました。
  学校の外を見ても,似たようなことはあちこちに起こっています。わかりやすいのがお店です。新しいお店には人が流れますが,店構えを変えなかった所からは客足は遠のくのと同じです。
  「時代に合った指導」が学級には大切なのです。

  今という時代の子ども達とどう向き合ったらよいのか,横藤先生は「織物モデル」が大切と,「縦糸,横糸の絡め方」を学び実践することが大切と述べています。それにはどうしたらよいのか,それが詳しく,しっかりと書かれています。
  そこから,野中信行先生は「縦糸・横糸の教育学」と「3・7・30の法則」「群れを集団へ」の3つが重要と伝えています。
  内容も具体的に記されています。若い先生,学級経営に不安のある先生に,お薦めの一冊です。

  そうして,一押しは,野中先生の「得意な話10個」のタイトルを教室に掲げておく,という実践です。これは際だって良いです。どう良いのかは,この本のp95をごらんになってください。そこを見て,ぴんと来る先生は,かなりセンス良いです。こういう実践をしている先生のクラスは崩すのが難しいと思います。

  学級経営の基本的なことからハイレベルなことまで,かなりきちんとまとめられている本として,若い先生には左の藤本浩行先生の本も良いです。
  こちらは,若い先生を指導する立場にある先生にも読んでいただきたい一冊です。
  

藤本先生の『新任教師 はじめの一歩』

  『新任教師 はじめの一歩』
  かなり高度な内容がみっちりと載っている読み応えのある本です。

  たとえば,提出物には内なる締め切り日をもうける
  これに私が気づいたのは30代になってからです。それまでは,締め切りに少し遅れるぐらいが格好良いというような気分がありました。
  ところが,締め切りを過ぎてしまうと,仕事が重荷になってきます。ずっしりと重くなってきます。締め切りに遅れるなんて事は,大馬鹿のすることです。
  そう反省して,自分で締め切り日を,言われた日より数日早めに設定するようにしました。それでも,遅れることがありましたが,次第に締め切り以前に提出できる自分になったのです。すると,仕事が面白くなってきます。追いかける感じになるからです。
  
  日直が教材研究の場
  これも私はなかなか気がつきませんでした。日直でせっかく他の先生の教室に入るのですが,とにかく戸締まりを急ぐだけで,勉強できる事に気がつかなかったのです。勉強する気で先輩の教室を見ると,「なるほど!」だらけです。見て勉強になったことを先輩に聞けば,先輩も気持ちよく話してくれます。管理日直はありがたい仕事なのです。それに気づくまで,何年もかかっていました。うつけだったのです。

  『新任教師 はじめの一歩』は,とても質の高い内容が広範囲にわたって書いてあります。読みやすいので,頭への入りもグッと良いです。

  それにしても,この内容を新卒の先生が読んだら,かなり手強い先生になります。経験のある先生には,自分の役にも立ちますし,後輩指導の良質の視点を学ぶことが出来ます。
  有田和正先生が推薦しています。私も推薦します。良い本です!!

大田先生の微積の本

  千葉大学の大田邦郎先生の『読むだけ微積分』です。

① 距離を面積で表すことが積分になること。
② ストロボ写真は理解に役立つこと。
  
  この2点は,とても勉強になりました。
  とくに,①は小学校で教える概念のままでは理解不能です。何かしらの工夫が必要です。いつかは,この場面のソフトも作る日が来るだろうと思っていますので,その時が来たら,あれこれ考えたいと思います。
  
  小学校の算数は微分積分のにおいがしません。
  微積で表す場面が無いというのではなく,微積がそこに横たわっていることがつかみにくいのです。
  微積への新しい問題意識を持つことができたのが,この本です。ありがたい一冊です。

  偶然,この本の著者の大田先生が千葉大の教授で,宇佐美先生からお誘いを受けた合評会での本『問題形式で考えさせる』(東信堂)の著者の先生でした。『問題形式で考えさせる』は近代教育史の本です。ですので,数学とはあまりに遠い世界でしたので,最初は別人と思ってしまいました。

  
 
  

総合教育技術4月号の付録

  小学館の『総合教育技術』の4月号。この号に付録がついています。ちょうど,文庫本1冊分に相当するぐらいの本です。タイトルは雑誌の表紙にも書いてありますが,「日本の名教育者」です。
  大村はま先生も,岸本先生も,有田先生も,野口先生も,向山先生も,陰山先生も載っています。
  古いところでは,貝原益軒や緒方洪庵,吉田松陰,空海なども載っています。
  全国の先生方が一押しする先生ということで,アンケートした結果によるものです。たしか,昨年の夏頃に本誌に特集で載っていました。
  この付録を手元に置くだけでも,役立ちます。

  『現代教育科学』(4月号,明治図書)には,宇佐美寛先生の連載が載っています。
  合評会の後の会食で,宇佐美先生から5月号の原稿コピーをいただきました。4月号の内容もすごかったのですが,続く5月号は,さらに強烈にガツンと来ました。ものすごく勉強になりました。何しろ,題材が指導要領の解説の文章です。アッと驚きの連続でした。非常に高いレベルで勉強になりました。その先,6月号7月号とどう続くのだろうかと,とっても気になっています。とにかく,目を低くすることを怠らないことです。