愛媛県の宇和島で開催された「心の教育フェスティバル2015」に行ってきました。
山中先生,野口先生に加えて,私も授業と講話をしてきました。
私の授業は,「姿勢の良い人になろう」です。生徒は3年生と4年生。
子供たちを相手にした授業は退職後ほとんどしていません。
当然のように,指導の腕は「サビ」ついています。現役の頃の切れ味は,もう出てきません。
その歯がゆさもあるのですが,飛び込み授業は特有の「緊張感」が授業全体を支えてくれます。
そこに乗りつつ展開すれば,なんとかなるだろうと思い,授業に臨みました。
授業の本題に入る前に,子供達に2つことを指導しておきました。道徳の学習をするに当たり,常識として知っておいて欲しい事柄です。
いわば,事前学習で道徳学習の心得を示したわけです。
1つは,「人の図」です。
およそ,人は「体」と「頭」と「心」の3つに分かれています。
もちろん,手や足もあり,顔もあり・・・と具体的にあれこれ思いたくなりますが,道徳を考え・感じ・推し進めるには,この3つぐらいにしておいた方がいいのです。
なぜでしょう。それは今は書きません。
この図を書いて,それぞれが担っていることを伝えます。
1,体 → できる
2,頭 → わかる
3,心 → 好きになる
体で「良い姿勢」ができる。
頭で,「なぜそれが良い姿勢なのか」とわかる。
そうして,「なるほど」と思ったら,良い姿勢が好きになる。
こういった流れが,道徳の学びの大まかな流れなのです。
この中の1と2は,学校で先生が教えることができます。
「良い姿勢はこうです。」
「そこにはこういう意味があります。」
と。
しかし,3の「好きになる」ことは本人にしかできません。
力づくでは動かせないのが人の心だからです。
「心は自分で!」
これを知っててもらえると,円滑にすすみます。
子供達が素直に,「良い姿勢がすき」と思ってくれたら実にありがたいです。
しかし,心の内への浸透は時間がかかる場合があります。
逆らう心が出てしまうこともあります。
それでも,太陽のように照らし続けることが道徳の教えなのです。
だから,「自分の心は自分で正しくしていこう」と導き続ける必要があるのです。
こういうことを,姿勢の本題に入る前に,子供達に話しました。
もちろん,もっとあっさりとです。
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授業が終わり,講話になり,参観者の方から少し感想をいただきました。
この部分の話が心に残ったと話して下さった先生がおられ,「さすが,お目が高い」と思いました。
「体の図」の話の他に,もう一つ事前学習として話しました。
自分と人との関わり方の話です。
これについては,次回書きましょう。
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国語のセミナーで時々耳にするのは「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つの活動です。
そのどれもこれも大切で,特に昨今は能動的にということで,話す・書くに力が向きます。
この4つを礼儀作法の観点から見ると,一番大事なのは「聞く」となります。
「話す」「読む」「書く」はその後に位置します。
どうして,「聞く」は大事なのでしょう。
それは,「聞く」という行為が人に合わせることを根本としているからです。
「話す」も「書く」も「読む」も自分でする行為です。
特に「書く」「読む」は相手が紙です。
紙に書き,紙の本を読み・・・となっています。
「話す」は,相手がいます。多少,相手のことを考えますが,相手がどうであっても「話す」ことはできてしまいます。
自分のペースでできるのが,この3つなのです。
これに対して,「聞く」は自分のペースではできません。
相手のペースに自分を合わせることで,初めて聞けるのです。
相手を受け入れると言っても良いでしょう。
野口先生流に言うと,「受容」です。
人の話を聞くことは,ただそれだけで,受け入れる受容の力が育っていきます。
自然と,勉強を受け入れ吸収する力も高まります。
先生としては,子供達に聞きやすく話すことも大切です。
同時に,子供達に聞こうとする姿勢を高めようと意識させることも大切です。
その昔,「男は黙ってサッポロビール」というCMがありました。
このCMを知らない人には,「しゃべらずにじっと聞いているだけで,人格は育つ」という意味なんだと話したことがあります。CMと大きくかけ離れますが,その気になってくれます。
「聞く」のが上手だなと思うのは,城ヶ崎滋雄先生です。
古武道を学び,不登校の子と向き合い,人格形成の道を歩んでいるだけあります。
先日,『3ステップ 聞くトレーニング』の上嶋先生とお会いしました。
この本は「聞く」を学ばせるすばらしい本です。
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PHPから出した『恥をかかない!小学生の行儀作法』が増刷になったと連絡がありました。
この本は書店には並んでいません。
生協ルートでのみの購入となります。
ありがたいことに,息長く売れているようで,今回で6刷りです。
行儀作法をきちんと教える先生がかなり増えてきているようです。
これはありがたいことです。
何しろ,学級が崩れにくくなります。
崩れるというのは,形が保てていない状態を言います。
行儀作法は,形を習得していく学習です。
そこがしっかりしていたら,崩れる方が難しくなります。
行儀作法といえば,「真行草」ですね。
この微妙なところを把握できると,行儀作法を見る目が伸びてきます。
今月の27日(日)。
愛媛県の宇和島で「心の教育フェスティバル2015in宇和島」が開催されます。
野口先生,山中先生と私が,授業と講話をします。
私の授業は「姿勢の良い人になろう」です。
行儀作法の骨格部分の授業です。
もちろん,1時間で姿勢の良い人になれるという夢物語の授業ではありません。
自覚しても自覚しても,良い姿勢を続けるのは難しいです。
筋肉が形成されていないからです。
だから,粘り強く良い姿勢を意識させ続けることが肝要となります。
そのために,「良い姿勢とは何をどうすることか」,また「それはなぜか」という知識があると,指導がしやすくなります。
私の講話は「道徳と礼儀作法」です。
「礼儀作法を学ぶと,不道徳の心が芽生える」ということも話す予定です。
ここが行儀作法の一風変わったロジックです。
良い姿勢の指導を続けている先生には,わかりきっている内容です。
このロジックがわかっているので,「時々の指導」が適切になります。
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この写真は何でしょう。
ケニヤの小学校のとある建物です。
看板を見れば,すぐに分かりますね。
子供用と教師用は別になっていますが,そのどちらもがこの中にあります。
後学のために使わせていただきました。
カメラがあれば中も撮影したのですが,既に無くなっていたので,撮影できませんでした。
手洗い場は,この中にはありません。
建物の外に設置されています。
水色のタンクの上から水を入れて,蛇口をひねり,水を出します。
こういう装置があるということが,嬉しいですよね。
トイレの後には手を洗う習慣が身につくからです。
実際,子ども達の様子を見ていると,トイレの後に手を洗っています。
もちろん,チョロッと洗いですが,それでも習慣になっています。
「設備が良い習慣を支えている」
そういう目で諸設備を見ると,そこに文化を感じます。
一番はじめに行ったルワンダの小学校には,もっと大きなトイレがありました。
外には手洗い場もありました。
しかし,水が出ません。
手を洗う習慣は水が出るまで棚の上となります。
日本では水が出ないと言うことがまずありません。
しかも,水道の水はたいてい飲めます。
まれに,「飲めません」と書いてあることもありますが,そういう水道は滅多にありません。
このトイレ,使わせていただきました。
出てきたときに,自分は水に不自由していない国に住んでいるだという自覚が強く湧き上がってきました。
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トイレの右に見える建物は,学校の隣に建っている建物です。
マンションではないかと思います。
校舎はトイレの対面にあります。
写真はプロのカメラマン久野氏。
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アフリカへ行く前に,健康診断をし,予防接種を受けました。
健康診断で,医師は淡々と「メタボ直前」「糖尿病直前」と話してくれました。
そうして,「一線を越えたら一緒に対処していきましょうね」と暖かみのある,どことなくヒンヤリしたお言葉を頂きました。
基本的に,「運動をする」「食事を改善する」といった方向になるそうです。
医者の話を聞いたのですが,運動量を増やすことはまずできそうにありません。
大変だからです。
大変なことを平気でやりのけられる強い精神力があったのなら,私の人生は今頃,もっとすごくなっていたか,途中で事切れていたと思います。
では,食事改善はどうか。
これは基本的にうまくいきません。
人間の原動力である好き嫌いのど真ん中の取り組みだからです。
好き嫌いは,その全体を落ち着かせることはあっても,好きなモノを止めたり,嫌いなモノを無理したりというのは,しない方がいいと私は思っています。
自分に嘘をつき続ける生き方を,自分の内部で行う事になるからです。
それに,食事改善でうまくいったという話を友人から聞いたことがありません。
ということで,私の場合は両方ともダメだろうと行き着きました。
そんなとき,フッと頭に回ってきたのは,「噛めばいい」と言うことでした。
「良く噛んで食べる」
これは運動より軽く,好き嫌いとも無関係。
軽くて楽なのです。
こういうのは良いです。やれると感じてきます。
その上,子ども達にもそう教えてきていたので,やってやれないことは無かろうと思いました。
思い立ったが吉日,その日の夕飯から,噛む・噛む・噛む・噛む・・・・・・。
しつこく,粘り強く噛むようにしたら,これがすごい。
まず,食事の量が減りました。
良く噛んで食べていると,腹八分目の手前あたりから腹が満たされてきます。
ですので,3割ぐらい食べる量が減りました。
更に驚いたのは,腹が減らないのです。
満腹になるまで食べたときには,しばらくすると元気よく空腹感がやってきたのですが,七分目・八分目では腹が大して減ってこないのです。
そんな体験をして,ルワンダへ向かう飛行機の中,貝原益軒の『養生訓』を少し読みました。
良いことが,書いてあります。
「胃の気とは元気の別名なり。
沖和の気なり。
病はなはだしくても,胃の気のある人は生く。
胃の気なきは死す。」(p50 岩波文庫)
元気というのは,胃を快調にすることがその根本だったのです。
それは食べ物を胃に優しい形にして送り込むことなのです。
良く噛んで,食べ物を小さくつぶし,唾液と十分混ぜてから飲み込むと,それが胃に優しいのです。
良く噛んだ食べ物が胃に送られると,胃は嬉しそうに活動をし体中に良い案配にあれこれ巡らせてくれるのです。
体全体が元気になるのです。これはいいです。
難点もあります。
良く噛むと,食事に時間がかかります。
早飯でないとならない人には向きません。
また,口の中に食べ物がずっと入っているので,食事中の歓談がままなりません。
昔の人が黙って食事をすることを作法としていたのは,こういう理由があったのようにも思います。
見方を変えると,食事中に歓談を勧めることは,良く噛まずに飲み込めという指示がそこに横たわっているとも言えます。
これでハッキリしてきたことが2つになりました。
「姿勢を良くしたいなら,腰骨を立てる」
「体を元気にしたいなら,良く噛む」
当たり前の作法を実行に移せて,とても楽しいです。
これから先の人生,楽しみが少し増えたような気持ちになっています。
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土曜日は栃木県の結城市へ。
保育園の先生方の夏季研修です。
120名前後もの先生方がお集まりで,不思議とウキウキするような雰囲気がありました。先生方の笑顔のオーラなのだろうと思っています。
私の話のスタイルは,だいたい決まっています。
目の前にいるどなたかに重点的に話しかけます。
今回は最前列が女性でした。
その女性ばかりの最前列のど真ん中に男性の先生が座っていました。
かなり体格がいいです。
この青年なら,楽しく話を進めることができるだろうなと思い,会場の先生方にご挨拶をしてすぐに彼に近づき,重点的に指すことを話しました。
算数では,「174人」の読み方が大好評でした。
会場からどよめきがおこりました。
行儀では,研修会の会長である鈴木園長に座禅について,お話を頂きました。
椅子に座ったまま,座禅をしたくなるような,ありがたいお話でした。
行儀では,いつものように姿勢の話をしますが,今回はスタートから皆さんの姿勢が良く,さすがは保育園の先生方と感激しました。
普段から姿勢の良い先生が姿勢を意識してくれたので,とても見事な姿になりました。
話が終わり,私が控え室にいると,ドア越しにさっきの青年先生=斎藤先生がにっこりあいさつをしてくれました。
こういう好青年が育つ結城市の保育園。いいですね。
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日曜日は,野口塾ビギナーズ。
事前学習法で説明文「イルカのねむり方」を読んだら,紐解きがかなり簡単にできました。
「事前学習法は,すごい!」と,密かに唸りました。
せっかくの思いなので,隣に座っていた早稲田大学の院生の和田君に話しました。
和田君は中学高校の国語の先生を目指しています。その彼も,「オーッ」と唸っていました。
事前に,とあることを子ども達に教えてから,この作品を読むと,きっと面白さが激増すると思います。
その「とあること」が何なのかは,お会いしたときにおたずねください。
私の話は,「姿勢の良い人になろう」です。
こちらでも,最前列の佐藤先生に総代を担っていただきました。
佐藤先生は横浜の臺野校長先生の小学校に勤務しています。
やる気満々の先生です。
会場には,大学生が何名かいました。
良くありがちな,くじけそうな姿勢の青年もいましたが,いろいろと話している内に,グイッと良い姿勢になりました。
不思議なものなのですが,平素姿勢の悪い人が,グイッと姿勢良くすると,顔立ちも引き締まってきます。
今回も,懇親会で,「あの若い子,顔も変わった」という話が出ていました。
そうして,最後に「今まではともかく」の話をしました。
これが伸びようとする人,それをサポートする人には,一番大切な心構えなのです。
この教えは,孔子の教えです。
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写真は,東京駅の案内板です。
「7番線」と「7時」が見えてきます。
よく見ると,「7」の文字の字形が違います。
小学校では,縦棒付きの7を教えますが,こういうところでは縦無しの7も出てきます。
それでも,何の混乱も起きないのですから,「人間は文字に対する許容範囲を少々広めに設定している」と言うことになります。
アフリカの教科書を持っていますが,手元にあるものは,縦無しの7を使っています。
1年生の教科書には筆順が載っています。日本では2画ですが,アフリカでは1画です。
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