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算数ソフトの講演で

  今年の夏休みは,「算数ソフトの話」をあちこちでしています。

  どこの会場でも,算数ソフトは大人気です。やっぱり,面白いというのは,最高です。

  埼玉の毛呂山町の研修では,右の画面をお見せしました。
  赤い色の「?」ボタンをクリックすると,折り紙が1枚増えます。すると,どうなるでしょう???

  こういう所は,授業として「おいしいところです。このおいしさを,ソフトを使っているクラスでは簡単に子ども達にも分け与えることが出来ます。しかも,何回でも!!

  おいしいところが見つかったら,授業の日が待ち遠しくなります。先生のうれしさは,子ども達にも伝わり,授業はとっても良い感じですすみます。

  しかも,単においしいだけでなく,クリックしながら,数の仕組みがわかるのです。
  嬉しい限りです。
  数は実に淡泊ですが,量が伴い,変化が伴うと,急に意味深いものに変わってきます。

  大いに算数ソフトを使ってほしいと願います。

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  算数ソフトの講演先で,徹底反復学習で有名な広島の山根僚介先生と一緒になりました。30代の若さですが,落ち着いていて,実践の積み重ねもしっかりしていて,これから先が楽しみな先生と思いました。
  山根先生とご挨拶をしたとき,『尋常小学校を体験! 残しておきたいこの授業』(PHP)を持っていました。この本は,とても思い出深い本です。サインをしてお話を伺ったら,山根先生は算数数学が得意で,歴史も大好きなのだそうです。
  今度お会いしたときには,もう少しじっくりお話をしたいと思います。

『算法少女』(遠藤寛子著)の指摘

  九州の書店で,店員さんとお話ししたときに,「面白いですよ」と一言お言葉をいただいたので,買ってみました。

  和算関連の本であることは,絵柄を見れば直ぐにわかります。また,江戸時代に「算法少女」という和算書があったことは知っていましたので,読んでみました。

  この本は,江戸時代に書かれた「算法少女」という算術書を中心に描いた小説です。

  調べ物の本と違って,まるで江戸時代そのものに案内されたような気持ちになってきます。
  
  よく調べてあるなと,感心したのはかけ算九九の言い回しです。
  「二五の十,二六の十二,二七の十四・・・」
  九九を唱える時に,「が」と唱えるこのとの他に,「の」ととなえるときもありました。こういうところは,本当に詳しい人しか知らないところなので,遠藤寛子氏はさすがだなと感じ入りました。

  鋭い指摘は,後半に出てきます。
  関流・最上流などと流派の揚げ足取り的論争に突き進んでしまった和算家が,もっと広い視野で算術をとらえていれば・・・・。
  同業者同士は,どうしてもライバルの心が出てきます。知らず知らず,流派のようなものができて,そこを軸に考えを進めるようになります。そこを超えて進む人が,次の時代を拓いて進むのだと思います。

  『算法少女』(遠藤寛子著 ちくま学芸文庫)

5と10は濁る

    いち,に,さん,し,,ろく,しち,はち,く,じゅう

  「ご」と「じゅう」が濁ります。他は清音です。
  この濁りは,算数的には実にありがたいです。
  区切り目である5と10に,力が入るからです。

    1234 5 6789 10

  濁っているので,区切りとしてパワーがぐぐっと高まってきますね。

  いち,に,さん・・・・の発音は,中国から入ってきた発音です。
  辞書で調べてみたら,漢ではなく,漢の後の呉の発音だそうです。

 

  漢の発音だと,10は「シュウ」と発音するようで,これでは,ちょっと力抜けてしまいます。
  呉の時代の発音を今に残した代々の日本の皆様に感謝です。
  5と10で濁る素敵な発音を伝えてくれた中国。
  いまは,ご存じのように5は「ウー」で,10は「シー」です。
  力が入りません。
  日本の算数は,こんな所にも,ちょっとした特典があったのです。
  1年で10までの数の指導をするとき,濁っている5と10にいっそうのパワーをぜひ入れて見てください。

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  東京の若い先生に佐藤先生がいます。
  なかなか名前が覚えられなくて,一時は,スタンハンセンの真似をして「ウィー佐藤」と言ってもらっていました。
  その佐藤先生が,『青年教師・論理を鍛える』(明治図書)を持って,私の所にやってきました。懐かしい本で,激しく生きていた昔をしばし思い出しました。この本は,論文を書くにはどうしたらいいかという時の参考になる本です。
  とにかく,一文一義。一文を短く。たたみ込むように。くどく。しつこく。宇佐美寛先生のような気持ちになって書くと良いのです。

 

長旅が終わる

山口の元気セミナーと,兵庫の教材・授業開発セミナーに参加してきました。
その間,九州・中国地方を回りました。

福山憲市先生と,いつかゆっくりお話しできたら……,と思っていた夢が叶いました。
子どもが自ら伸びようとする指導の話を聞くことが出来,それが嬉しかったです。
この方面は,「情報算数」という方法で,その昔,少しチャレンジしたことがあるのですが,大きな文脈が頭にあることが必要な指導なので,福山先生の聡明さがいっそう大きく伝わってきました。
やっぱり,福山先生は違うなと感じ入ります。

藤本浩行先生の元気セミナー。とても元気でした。
今回もブラックボックスの提案があり,多くの先生方の感心を買っていました。
ブラックボックスがどうしてあんなに面白いのか。
手品のような面白さに,しっかりした学習がセットされているからかななどと,一人思っていました。
懇親会に奄美大島出身の先生がいたので,気になっている藁算について,おじいちゃんやおばあちゃんから聞いたことがあるかどうか訪ねたのですが,もう途絶えているようでした。

土作彰先生・中村健一先生ともお会いし,翌日のセミナーにも少し参加してきました。
こちらも,元気あふれる講座でした。若い先生がどんどん集まっているので,大いに良いことだと思いつつ会を後にしました。

広山隆行先生ご家族と,島根でお会いしました。
おでんのおいしいお店で,広山先生のこれまでのお仕事の話を伺いました。
とっても,いい話でした。
広山先生のイメージがガラリと変わり,この先の実践など,ちょっと見る角度が変わりそうです。

最後は,有田先生の御登壇される教材授業開発セミナーです。関西には著名な先生がたくさんいることがよくわかる会でした。
古川先生,金川先生,俵原先生,森實先生,関田先生,波多野先生,木島先生・・・
古川光弘先生が,教材開発はこれからが本番と言っていましたが,まさに,その通りと感じました。

どこへ行っても,感じたのは,「算数ソフトを使った授業が熱い!」ということです。
・定着がいい!
・作図がわかりやすい!
・熱を出した子が,明日も学校へ行きたい!だって,算数やりたいから!
・ソフトのスピード感がとってもグッド!
・桃太郎の所を見ないと,子ども達が許さない!
・テストの直前にまとめてみたら,子ども達がもっと勉強したくなり,1時間算数をやってしまった。
・角がとってもよくわかり,保護者に喜ばれた!

これから先は,使い方の交流が話題になりそうで,いよいよ面白くなってきました。
私は,とにもかくにも,良いソフトを作り進めます。
ソフト作りへも,田中純子先生からご要望をいただきました。
近日中に,気張って作成を進めたいと思っています。

そうして,今,PHPからゲラ校が届きました。来週末に打ち合わせます。

さくら社の第1号の本を

野口芳宏先生の『教師の作法 指導』が,さくら社が初めて世に出した本です。

そのさくら社もこの8月で3年目に入ります。
応援してくださる皆様のおかげと感謝しています。

先日,ちょっと調べ物で,世阿弥の『花鏡(かきょう)』の一部を読み返しました。
そのとき,『花鏡』といえば「初心・・・」と思い,そこも読み返しました。
やっぱり,良い言葉です。
そう感じている内に,さくら社の初心の本が『教師の作法 指導』であることに気がつき,この本に世阿弥の言葉を書き込みました。

是非初心不可忘
時々初心不可忘
老後初心不可忘

明日から,ちょっと長旅に出ます。
行った先でいろいろな先生方や企業の方とお話をします。
この本を鞄に入れて,出会った何人かの方に,何か一言,書き込んでいただこうと思っています。

8月3日は「学制」頒布の日

明治5年の8月3日。
この日,「学制」が全国に頒布されました。

全国を8つの大学区に分ける。
中学区は人口13万を目安に全国に256区。
小学区は人口600人を目安に全国5万3760区。

大学区の本部は,東京府,愛知県,石川県,大阪府,広島県,長崎県,新潟県,青森県に設置されました。
今で言う,教育大学が設けられたところです。

江戸時代の「寺子屋」などから,「学校」へと大変革を制度化した記念すべき日が8月3日です。

こういう歴史を知ってからは,8月3日は私にとって「教育の日」です。いつも以上に,勉強に励むようにしています。

今年の8月3日は,東京へ出張です。
10年かけて作ってきた算数ソフト。その説明会が開催されるので,しっかりとお話をしてきます。