宇佐美寛先生の連載があるので,この1年,『現代教育科学』を読んでいました。
秋頃からでしょうか,休刊・廃刊という噂が届き初め,いよいよこの3月号でおしまいになりました。
その3月号の宇佐美先生の御論文。これが実に良いです。
男女混合名簿が,一つの事例として載っています。
これが明快です。
相撲は強い力士が後から登場します。
落語は上手な話し家が後から登場します。
こういう例をたくさん示されたら,名簿も後に載った方が良いような気がしてきます。
相撲や落語は,お客様を喜ばせるために,強い人,うまい人を後に配置しています。
目的があり,その目的を達成するための配置です。
名簿にも何らかの目的があります。
その目的を達成するために,男女別が良いのか,男女混合が良いのか,選ばれるところです。
この3月号,最後の号ですので,江部満元編集長が寄稿しています。
編集長としての気構えが強く伝わってきました。
GHQにいたことも,驚きながら読みました。
江部さんの所を読み終えたら,電話がかかってきました。
なんと,江部さん御本人からでした。
インフルエンザも治られたようで,よかったです。
暖かくなったら,また,一献傾けることになりました。
facebook友達の堀 泰洋先生から,熱いメッセージをいただきました。
「公開研で手に入れ、唸りながらむさぼり読んでい
『関大初等部式 思考力育成法』を読んでうなったのは,私だけではなかったのです。
堀先生も唸ったのです。
子ども達が考える力をつけ,「考える達人」 へと育っていく。
これは,教師なら誰しもが願うことです。
北海道の友達に福嶋顕勝先生がいます。福山先生のMLで御一緒させてもらっています。
福嶋先生は,将棋をされるので,
『この本の内容を「将棋の初心者の学び」と重ねてみてください。将棋に各種ある戦法(矢倉囲いなど)が,この本の「思考法」に相当します』
とメールしました。
そうしたら,非常に納得されたようで,濃厚な返信を頂きました。
ある目的を達成するために,どの思考法を用いるか。
これが将棋だと,相手の王を捕るために,序盤はどの戦法(矢倉囲いなど) を用いるか,これに相応してきます。
もちろん,将棋には,中盤には中盤の攻め方があり,終盤には詰め方があります。
そうした上に,棋風が備わってくるのが将棋です。
将棋を子どもに教えたことのある先生は,きっと,その教え方と『関大初等部式 思考力育成法』に通じる何かを感じると思えています。
もしかしたら,関大初等部の思考法は読んだ先生方の手によって,将棋のように発展していくのではないかと思っています。
堀先生のメッセージ通り,すごい本です。
力を与えられた一冊『あんぽん 孫正義伝』(小学館)です。
孫正義氏を尊敬しているので,この本で孫氏の事がこれまで以上によく分かり,それだけで十分に力を得ました。
この場合の「力」というのは, いつもながら夢見ている大きな流れへの力です。
近い将来は教育がこんな風になるという姿が,自分にも見えている部分があります。
その見えている世界を,なんとか実現させたいと思っています。
そんな自分の志の火に,油を注いでくれる刺激的な本でした。
それにしても,佐野眞一氏の膨大な取材に驚かされました。
この本を書くにあたり,どれほどの多くの取材をしたのか。はかりしれません。
高密度濃度取材を書き表した佐野氏の文章も,孫正義氏とは別の角度から,私に勇気と前進の力を与えてくれました。
--
読み終えた頃,『中江藤樹』が届きました。
箱から出して中を見たのですが,これはなかなか手強そうです。
何が手強いかというと,書いてある日本語が手強いのです。
「非力」を痛感します。
関西大学初等部の『関大初等部式 思考力育成法』の本の表紙をちょっと大きくしてみました。
ベン図が見えます。
三角形のピラミッドチャートも見えます。
Xチャートとピラミッドチャートの両方を使って思考している子も見えます。
まさに,驚きです。
何よりも,優れているのは,思考図を印刷している用紙が大きいことです。
大きいので,たくさん書き込めます。
頭の中や手元にあるたくさんの情報を一つ一つ書き込んでいけば,比較・分類・関連づけなどができ,俯瞰した考えも見えてきます。
取り組みがシンプルなので,それが功を奏している,そんな気がしています。
2月10日発売の『関大初等部式 思考力育成法』です。まだ,発売前ですが,あんまりすごいので,ちょっと御紹介します。
とにかく,この本はすごいです。
表紙の「めざせ!考える達人」の「達人」の文字の上の写真をご覧下さい。
小さな女の子が紙に円を2つ少し重ねて書いています。
これ,なんだか分かりますか。
「ベン図」なのです。
ベン図は,学校現場では数学で学ぶ論理とされています。
かなり昔のことですが,ベン図を小学校でも教えていたことがありました。
「集合」の中心的な図として登場していました。
ところが,どうにも理解できない子が多かったのか,算数から姿を消しました。
ですので,「ベン図は中学から」 という暗黙の学び時が発生しています。
そのベン図を小学校2年生の子が使って,自分の考えを進めているのです。
驚くばかりです。
論理は算数・数学で学ぶと,隅々までキチッとするので,細かいミスが気になる方向へと進みがちです。
それが他教科だと,少々アバウトでも,弁別が大方あっていればそれで良し!とできます。
ですから,2年生でもベン図の弁別を理解できるのです。
これは,画期的なことです。
表紙に,大きな「バツ」が見えますね。
これは「Xチャート」という思考図です。
右下の子が紙を持ち上げています。そこに書かれているのは「ピラミッド図」です。
これも,思考図です。
関大初等部は,2010年に開校したばかりの新しい小学校です。
でも,思考力を育てることについて徹底した研究をすすめ,図を用いて思考する達人小学生をどんどん生み出しています。
「有田先生の追究の鬼」と同じように,「関大初等部の思考の達人」です。
ベン図
Xチャート
Yチャート
ボーン図
ピラミッドチャート
などなど。
このようなチャート図を1つずつ,しっかりと学習を通して学んでいきます。
学びが進むにつれ,各種のチャート図を使って,自分の考えで比較・分類・関連づけなどがどんどん進められる子になっていきます。
思考力がつくのです。考える達人へと育っていくのです。
チャート図に情報を書き込むためには,「この情報はどこに書くべきか」と,まず,頭を使います。
友達に「なんで,これはここなの?」と問われても,考えてそこに書いたので,その理由は説明できる状態になっています。
作り上げたチャート図を元に,作文を書くこともできれば,発表もできます。
非常に優れた言語活動ができるわけです。
思考スキル,ミューズ学習(考えることを考える学習),評価基準,実践 等々
この本に,非常に詳しく記されています。実に良い本です。
お勧めします!
※公開研究会が2月4日に関大初等部(大阪・高槻)で開催されます。
http://www.kansai-u.ac.jp/elementary/2011/12/post-59.html
この本(『関大初等部式 思考力育成法』)も,発売前ですが,先行して入手できます。
--
思考力を楽しく付けていく学習法として,『10の力を付ける出版学習』(横田経一郎著,さくら社)もお勧めです。
三角形の頂点をドラッグして,いろいろな三角形を作るソフトです。
頂点は,方眼状に並んでいる点の所にドロップすることができます。
この方眼状のタイプは,円形に点が並んでいるタイプに比べ,二等辺三角形のきまりをみつけやすいです。
何度か二等辺三角形を作っている内に,点の数と関係づけて,「二等辺三角形ができる時は,どうもこんな風なきまりがありそうだ」と自分なりの「きまり」が生まれてきます。
さらに,二等辺三角形を作っていると,そのきまりがいつもでも成り立つことが経験的に証明されてきます。
すると,二等辺三角形とはどんな三角形なのか,自分なりに表現もできるようになります。
ドラッグドロップで三角形づくりをしている内に,二等辺三角形の自分なりの定義を見いだせるのです。これは嬉しいというものです。
[桜]スライダーをドラッグすると,点の数の増減ができます。点の数が増えても,自分の考えた定義(きまり)が通じると分かった時,子ども達は「やっぱり!」「考えは同じだ!」と感じます。
作った定義(きまり)が正しかったと実感する瞬間が生じます。
こんな嬉しい瞬間がソフトを使っている最中にやってくるのですから,グッドな気分になります。
※近日中に,「もっと!算数」サイトにアップします。