「鋭角」とか「鈍角」。
学生の頃に習った言葉です。
こういう熟語を覚えると,ちょっと利口になった気分になります。学術用語が熟語として発展してきた歴史があるからです。
本居宣長が,熟語で考えを進めるのは中国崇拝ではないか!と,出来るだけ和語を中心にした日本古来の言葉を使うようにしていた過去があります。これはとても刺激的でしたが,時代の流れを変えるほどにはなりませんでした。
宣長が亡くなり,時代が明治になると,日本で西洋の学術用語の吸収が始まりました。
当時の学者の大勢は,中国の漢語こそ学術にふさわしいと考える人たちだったので,新しい言葉を作るときも,中国の言葉を利用したり,漢語風に二字熟語を新しく作って対応してきました。
この歴史の流れを私たちは受け継いでいるので,熟語で用語を書くと,どうにも利口そうに感じるのです。
そういう感覚が日本人にあるのですから,学術用語は少し多めに教えても良いように思います。
でも,小学校は学術用語をあまり教えない傾向にあります。わかりにくいとか,覚えることが増えるとか,いろいろな理由があるのだと思いますが,算数が面白くなってしまった今の時代からは,ちょっとばかり,用語を教えていっても良いのではないかと思っています。
それに,小学校の先生の教え方も,昔よりうんと質が高くなっています。腕が良くなってきています。ちょっと,歯ごたえのある学習がこれから花咲くように感じています。
角の大きさの所。小学校で習う用語は,「角」と「直角」「回転」ぐらいでしょうか。
もったいないような気もします。
「鋭角」だって,「鈍角」だって,教えても良いように思います。他にも,180度の角(直線)を「平角」といいます。
角の用語だけを楽しく学ぶソフトを作ってみました。もしかしたら,「もっと!算数」にアップするかもしれませんが,名称だけのソフトなので,どうもマニア向けとなりそうです。アップしないかもしれません。ちょっと,考えます。
※ アップは断念しました。ソフトとして,ちょっと稚拙だからです。
180度を超える大きな角の読み方も,4年生で学習します。
分度器は,180度までしか表示されていないので,「180度と残り」と考えるか,「360度に不足」と考えるかのどちらかで求めます。
授業で扱うと,どうしても,求め方という方法に力が向きがちですが,一番大事なことは「角度の感覚」を養うことです。
パッと見て,「180度より大きい!」とか,「270度ぐらいだぜ」とか,「360度にちょい欠け」と,数値を軸にした表現ができるようにすることです。
この角度感覚は,回数をこなさないと身につきません。10回でも20回でも。気合いを入れて50回でも繰り返せば,体にしみこんできます。
この部分を,村井恭子先生が「いっぽだより」にご紹介くださっています。
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でも、算数では「子どもが夢中で手を挙げる算数」で、角度がどれぐらいか当てる、というコンテンツを使って大盛り上がりで楽しめました。
今日は180度を超える大きな角度をあてっこしました。「アミーゴ!」でサボテンくんが大きくなるところがものすごく喜んでいました。全員がこちらを向いていました。空気が違っていました。
「おもしろい!!」「先生、もっとやりたい!」という空気の波(実際に声に出している子もおりました)が黒板にぶつかってくるのが分かりました。「…残念、時間となりました(ちょっと感涙)」
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やりたい!という空気の波が黒板にぶつかって跳ね返るほどのやる気が,教室中に満ちあふれていたのです。
納得するまで,何度なのか考え,知らない間に角度感覚が身についてしまう。そんな状態ですね。
それにしても,今はまだ4月。それも,新学期が始まったばかりです。
それでこの元気!!
やっぱり,算数は面白い勉強なのです。
途中で時間となったということは,次の時間も少し「角度推理」の勉強をすることになります。
これは,とても良い方法です。
日を変えて繰り返すと,体へのしみこみがグッと良くなるからです。
村井恭子先生の「いっぽだより」。BCC配信のメールマガジンです。ほぼ日刊で届きます。村井先生は現在4年生の担任です。ですので,4年生を担任している先生が「いっぽだより」を読むと,あれこれ共感したり,勉強になったりするのではないでしょうか。
読んでみたい先生,いらっしゃいましたら,村井先生へメールをされてみてください。私も愛読者の一人です。お薦めします。
murai●ipc-tokai.or.jp ●のところを,半角の@に変えてください。
村井先生のクラスで,「算数ソフト」を使った授業が展開されています。
4年生の角度の勉強です。
いただいたメールに,「分度器を隠し、これは何度ぐらいか、と予想を立てさせるのが大盛り上がりでした。」とありました。
ただの盛り上がりではないのです。「大盛り上がり」なのです。
しかも,単なる遊びをしているのではなく,「角度は何度か」 と,きわめて算数らしい算数をしているのに,大きく盛り上がっているのです。
こういう現象は嬉しいです!
このソフトは,上の画像のように,分度器を見せたり,隠したりできます。
ですので,授業も工夫しやすいです。
村井先生は,上の左側の画像のように,分度器を隠して,角の開きを決めて,子ども達に「これは何度でしょう?!」と聞いたのです。
こういう出題が,クリック・ドラッグで簡単にできます。
子ども達がすっかりわかってしまうまで,何問でも繰り返し出題できます。
ありがたいのは,盛り上がりながら,子ども達が「角度の感覚」を身につけていってしまうことです。
「これは,何となくだけど,40度ぐらいだな」
「これは120度はあるな」
こんな風な感じで,だいたいの角度を感覚的に把握しようと頭を働かせるように導いたのが,村井先生のされた「角度推理」の学習です。
これは力がつきます。
何しろ,分度器には数が二重に表記されています。親切で書かれているのですが,時として,誤答・誤解を招くことがあります。
でも,角度感覚がつくと,つまり,「角の開きと度数との関係をしっかり理解する」と,2つの数字のどちらを見るべきかの判断が出来ます。
この判断が,誤答を遮断してくれます。
「理解は誤解を防ぐ」のです。
「算数ソフト」を使う先生がどんどん増えています。算数好きの子がそれだけ全国に増えているのです。嬉しいです!
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『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』(4年2巻,さくら社)に,上の分度器のソフトが収録されています。すっごく面白いですよ!
偶然は重なるようです。
佐々木先生から,新しくICTを使った役割の御下命があったと電話がありました。
千葉県の情報をこつこつとサーバーに入れたり,自ら学習ソフトを開発したり,ネット上の有効なフリーソフトを数多く見つけ出したり・・・。なかなか人のできなことをやり続けてきた成果が認められたのでしょう。
「近々,会って勉強をしましょう」と話した後,城ヶ崎先生から茶話会の話が届きました。
24日(日)の午後,茶話会を開くことにしました。
佐々木先生,城ヶ崎先生から,算数ソフトを使った授業のあれこれを伺います。時間があまるので,近況も聞きます。
2011年は,地デジに完全移行です。
どこの教室のテレビでも,写りに差があれ,算数ソフトを映し出せる環境が整います。
この年には何かが始まると思っていましたが,自分の近しい先生方と,自分が一緒になって動き始める事になりました。
時の流れが算数ソフトを使う先生方と私を強く結びつけ,動かし始めているのだと思います。
木曜日には,千葉大学の大田邦郎教授の研究室を訪ねます。算数・数学教育で交流をしてきます。この訪問も,時の流れの後押しを受けているように思えています。
6年生の文字式のソフト,明日の夜までには,「もっと!算数」サイトにアップできそうです。
6年で「文字を用いた式」を学習します。
「5 x X」のような表し方です。
この学習で,ユーモアとしてよく使われるのが「謎の数字X(エックス)」です。
単に「X」と言えば良いところを,わざわざ「謎の数字X」と言い換えることで,子ども達にXの中身が数字であることを伝えていきます。
それだけのことですが,何とはなく推理漫画のようでもあり,教室がちょっとは盛り上がります。
このユーモアは,笑えるだけではなく,案外重要な所を指摘しています。
「Xの中が数になっている」
この把握に,この単元での重要な思考方法が内包されているからです。
上の画像に,5の段のかけ算がズラッと並んでいます。「5×X」というのは,この5の段の式を一つにまとめて束ねた言い方なのです。
逆に,「5×X」を具体的にいうと,上の式のようにたくさんの,無限の表し方があります。掛ける数が小数や分数の場合もOKなので,無限が無限にあるほど,たくさんの式があり,それを全部まとめてギュ--ッとまとめて1つにして,考えやすくしているのが「5×X」なのです。
この思考方法は,日常でも簡単に使うことが出来ます。
秋田県,高知県,沖縄県,宮崎県,青森県,群馬県,福島県・・・を,算数的に1つにまとめると「X県」となります。
赤とんぼ,しおからとんぼ,むぎわらとんぼ・・・は,算数的には「Xとんぼ」となります。
ただ,日常の言葉は,このように束ねても,そこから先の進展がありません。
ですが,算数の文字は,その後,文字同士でたし算やひき算,かけ算わり算を行うようになります。数だけの特権だった四則計算が,文字でも行えるようになります。なぜなら,文字の中身は数の集合体だからです。
「数の考え方」を,「文字に拡張」していく重要な場面が,この単元なのです。その橋渡しの考え方が,「一つにまとめる」という考え方なのです。
さて,上のソフトです。薄紫のボタンをクリックすると,この「一つにまとめる」アニメーションが始まります。
それを見ると,どんな学習がわかりやすくなるのでしょう。
これは,ソフトでご確認ください。
このソフトも,近いうちに「もっと!算数」サイトにアップします。
類題もいくつか,作る予定でいます。
6年生の先生,文字式の単元は,「もっと!算数」で楽しく取り組んでください。
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『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』(DVDブック/さくら社)を使っている先生がドンドン増えています。
うれしいです!
日本中の子ども達が算数が好きになりますように,私も微力ながら,ソフト開発を進めていきます!!
高崎の講座に参加してきました。なかなか面白い講座でした。メインは深澤先生でしたが,間を受け持った4講座が実に良かったです。
特に良かったのは,羽鳥先生の「日本人の心」の研究です。道集からこの方面の研究者が登場することがなんとも良い感じです。3年5年と研究の歳月はかかりますが,しっかりと学ぶと,不動の軸が生まれてきます。注目していきたいです。
大田先生はいよいよ本論というところで時間でした。こういう終わり方は妙に惹かれます。なかなかやるなと思った次第です。2次会で少し前後を伺いました。骨のある話とわかり,話を聞いて良かったです。
長谷部先生は研究者タイプです。三段階論で実践を語っていました。この先,論理を高めていくと,一つの思想として形成されていきます。楽しみな方です。
神藤先生は,道集きっての勉強家です。今回は音読でした。映像を見て,その動きが多くの先生の学びの的になっていましたが,私の期待どころは特別支援のクラスを受け持つことで神藤先生が根源的な何かを見い出せるかです。期待度が高いです。
道集に新しい動きがあり,講座に参加してよかったと思いました。
不思議なもので,似たような動きが私の周辺でも起こっています。
奥田先生は,管理職の先生から「算数について、コンピュータを活用した授業を研究してほしい」と頼まれました。
佐々木先生は,教務主任の傍ら,算数少人数担当などとなり,「今年は元気算数(算数ソフト)をフルに活用して、ICT活用が学力向上にも効果があるということを証明できるように取り組んでいきたい」と決意をしています。
関田先生は「算数は,様子を見ながらですが,早くも験也先生のソフト大活躍な予感がしています」とメールをいただきました。
私自身,先月,ノートを一冊作り,算数ソフトを使っている先生から教えてもらった「嬉しい成果」の話を記録し始めました。そこへ,奥田先生,佐々木先生,関田先生からの嬉しいメールです。何か,未来へ向かっての動きが始まっているように感じています。
なんというか,これまでの算数の指導は,かなり「疲れ感」を持っています。教える先生も,教わる子ども達も,ちょっとつらいのです。
ところが,算数ソフトを使うと,「喜び感」に変わります。教える先生にはゆとりが生まれ,教わる子ども達は夢中になります。
時代の流れが算数にも及びつつあると考えてよいのではないでしょうか。