関西大学初等部の公開研究会の翌日。大阪で開催されていた「ワン・ワールド・フェスティバル」で,突然のTV取材がありました。
TVのクルーが会場に入り,予定されていた撮影が終わり,クルーは会場の隅で一休みしていました。
そこに,初等部の子2名が本を持って話しかけました。「取材してもらえないか」というお願いをしに。
いただいたお返事は,けんもほろろ。
「そういうのはできない」と一蹴されました。
しかし,それからしばらくして,事態は急変。
突然,クルーが動き出し,初等部のブースへ。
そうして,一番手前にいた子二人にカメラとマイクが向き,インタビューが始まりました。
私が驚いたのは,この2人の子が,たまたま,その場にいた子だったことです。
あらかじめ取材が決まっていたら,場合によってはクラスの雄弁者を選んで受けさせることはありえます。
それなら,きちんと対応できても,そう言うものだろうとなります。
しかし,今回は,偶然そこにいた子に,カメラが向き,マイクが向いたのです。
それなのに,ご覧のように奥の子が先に話し,次に手前の子が話しています。
話をしていない子は,手をホームポジションに置き,正しく立っています。
撮影の取り直しなどもなく,子ども達は実に平然と話していました。
思考ツールを使って課題解決をしていくことは,「頭を論理的にする」のみならず,「心臓も強くする」作用があることがよくわかりました。
各自が課題解決に迫れる技(思考ツール)を獲得しているので,取り組みへの実感度が一人一人非常に高くなります。
それが,結果的に対外的な場面でも堂々と話をできる「しっかりした心」を生み出しているのだと考えられます。
思考スキルを活用して課題解決を学ぶことは,別の言い方をすると,「頭を論理的にし,心も強くなる,しっかり者へと歩んでいく道」なのだと実感させられました。
次の指導要領が思考スキルの方向へ舵取りをする意義を,この取材光景で見いだせました。
フェイスティバルに参加してよかったです。
関連書籍:
・『関大初等部式 思考力育成法』
・『思考ツール ~関大初等部式 思考力育成法〈実践編〉~ 』
・『思考ツールを使う授業 ~関大初等部式 思考力育成法〈教科活用編〉~』
・『関大初等部式思考力育成法ガイドブック』
--
関連記事:
関大初等部の公開研究会を参観しました。
三宅先生の授業。子ども達の発する言葉がすごいです。
自分がどう考えるかその思考の道筋を説明しています。
積み重ねて学んできたからそこ,ここまでできたのだと感心させられました。
同時に,「人の伸びには,計り知れないものがある!」と痛感しました。
翌日,大阪で国際交流の大型フェスティバル「ワン・ワールド・フェスティバル」が開催され,そこに関大初等部がブース展開をしていました。
行ってみたら,子ども達が入れ替わりで自著『ナマステ! 会いたい友だちと--友情は国境を越える』の紹介と即売をしていました。
売り方も時間が経つにつれ,どんどん上手になり,お客さんも足を止めて話を聞いたり,本を開いたり。
そうして,「ありがとうございました!」と元気の良い笑顔の声が響いていました。
途中でテレビクルーが会場を撮影していました。
残念なことに,初等部の取り組みは撮影計画に全く入っていません。
クルーは撮影を一通り終え,会場の隅で一休みしていました。
それを見た初等部の子どもたち。流石です!
鍛え上げられているなぁと思う,画期的な行動に出たのです。
二人の子が本を持って,一休みしているクルーの所へ行き,「僕たち・・・・」と取材要請をしたのです。
もちろん,結果は断れました。本の宣伝と思われたようで,「そういうのはできない」と言われたそうです。
ところが!!
それから数分して,突如,インタビューが始まりました。
関大の子のアタックが,クルーの方の何かを動かしたのです!
打ち合わせも何もしていない取材が始まりました。
大丈夫かなと思っていたら,その場で即座に子ども達が対応しています。
国際協力を自分たちの事として取り組んできたその真の姿を見た思いです。
この一連のやりとり,これこそまさに関大初等部式アクティブラーニングです。
総合的な学習はこういう力が付く勉強なのです。
公開とフェスティバルを通じて,関大初等部の取り組む内容のすばらしさに,改めて感動しました。
--
関連記事:
篠田先生からも,とっても嬉しいお知らせが届きました。
****
横山先生。算数ソフトの「帯グラフを書こう」「円グラフを書こう」を使って授業しました。
・割合を出さないといけないこと
・その計算式は部分÷全体であること
・百分率に直すこと
・足し算をしながら解いていくこと
そのようなグラフを書くのに必要な手順が、子どもたちの気づきからでてきました。数値も非常に簡単で、子供たちもすぐに計算することができました。またワンタッチですべて数値がでてきますので、本時のねらいである「グラフを描く」に時間を割くことができました。
ソフトで2題 教科書の問題2題。4題分のグラフを描くことができました。一名だけ最後の練習問題が途中になったのが時間配分ミスでした。
****
このメールを拝見して,篠田先生は「教師眼がいいですねぇ」と思いました。
項目立てをしています。
授業は毎日あるので,ややもするとぼんやりしがちです。
そこに,重要なことを項目だてすると,シャープに見えてきます。
書きながら,過不足にも気がついてきます。
自然な状態で,こういう書き方ができるのです。
良いですね。
篠田先生と友だちでいられて,とても嬉しいです。
その項目の中を読むと,「たし算をしながら説いていく」と記されています。
帯グラフにも,円グラフにも,「百分率を足し算しながら作成する」という一面があります。
そこに子供達が気づいたのですから,素晴らしい発見です。
そうして,驚くべき事は,「グラフを4つも描いた」という事実です。
しかも,遅れがちな子にもきちんと着目しています。
どんどん成長している篠田先生。実に良いですね。
篠田先生とは,明後日の関西大学初等部の公開研究会でお会いします。
算数ソフトを使った授業の様子も少し聞いてみたいと思っています。
--
フェイスブックに「日本基礎学習ゲーム研究会」というグループを作りました。
今,「重なり漢字パズル」を少しアップしました。
小早川先生から,理科の電気回路のソフトがアップされました。
金川先生からは,「重なり漢字作成ソフト」がアップされました。
とても楽しいグループです。
関心のある方は,フェイスブックからご入会下さい。
--
関連記事:
藪田先生から,嬉しいお知らせをいただきました。
****
今日は6年生の授業に補助で入り、算数ソフトを使いました。
単位換算の単元です。
習熟度別の、低位にあたる子が相手です。
パソコンを持ち込んだ時点で釘付けでした。
また「この一時間で子供の理解が進んだと思う」と、算数少人数の先生から感想をいただきました。
算数の仕組みがパッと見てわかる算数ソフト、最強のソフトだと確信しました!
****
「最強のソフトだと確信しました!」と書くのですから,よほどの事が起こったのです。
メールで少しやりとりをしたら,その「よほどのこと」がわかりました。
授業の始まりに宿題の確認をしたときの事です。
「やってませーん」と平然と言う子がいたそうです。
6年生ですから,少しすれてしまうと,こういう返事を臆面もなく言うことがあります。
その子が,授業を進めると,課題に対してしっかりと取り組み始めました。
よっぽど面白かったのでしょうね。
授業の最初と最後とでは,その学ぶ姿に歴然とした差があったそうです。
「勉強はしない方が良い」「勉強は悪いことだ」と思っている子は一人もいません。
ただ,何とはなく,気がついたら「勉強したくない」という自分になっているのです。
でも,心の奥底には,「勉強は大切」「勉強をしたい」という思いがどの子にもあります。
藪田先生の授業は,その奥底にある前向きな気持ちを引き出したのだと思います。
妙な返事をした子が,V字回復の道を歩んでくれたらと願います。
ところで,この『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』の一つの大きな特徴は,解説がほとんど記されていないところにあります。
なぜ,解説をあまり載せていないのかというと,算数が「きまり」でできているからです。
「きまり」は規則正しいので,繰り返されるとそのパターンがわかってきます。
何度かクリックしたり,ドラッグしたりすると,「ああ,そういうことね」と自動的にわかってきます。
この「きまりがわかる」という感触が,算数の重大な面白さなのです。
ここを授業中に体験できると,算数は面白い勉強に感じられてきます。
藪田先生が補助で入って,ソフトを見せてくれて,何人かの子のやる気に火が付きました。
とてもありがたいです。
--
関連記事:
『ナマステ! 会いたい友だちと』(関西大学初等部6年生著)の見本が刷り上がってきました。
感動です。良い本になっています。
ありがたいです。
書店などでの発売は10日(水)です。
でも,初等部の公開の会場では「先行販売」されます。見本を持っていますが,会場でも買います!
その関西大学初等部の公開研究会は,今週の土曜日です。
今回の参観に際し,たくさんの実力者の皆さんとお会いできます。
まずは,先日の5日(金)は,前夜祭が行われます。
公開の前日に飲んでいて良いのだろうと思いますが,こちらは関西です。
その昔は太閤様のお膝元でした。
昼はバリバリ働き,夜はガンガン飲む。
そんな風潮があるのかもしれません。
40名もの人が集まるそうです。
初等部の先生方の他にも,知り合いの先生が参加されることをキャッチしています。
楽しみでなりません。
当日の昼は,「お昼を一緒に食べる会」です。
このメンバーがすごい。
島原洋先生,三角えみ先生,浅村芳枝先生,高本英樹先生,木村明憲先生,
篠田裕文先生,中嶋郁夫先生,木色泰樹先生,広山奈緒子先生,丸岡慎弥先生。
他に島原先生のお友達の先生。
超豪華メンバーです。
この先生方と授業の感想を語らいつつお昼をいただくのです。
話に夢中になりますね。
もしかしたら,タイムキーパーが必要かもしれません。
その夜は,『しごこちのいい学校』の鎌田富夫元校長先生と池田小関係の先生方と会食です。
若い元気な先生がいるので,こちらの一時も楽しくなります。
授業とは別に,こんなに楽しい一時を過ごせます。
関西大学初等部に感謝しています。
--
関連記事:
昨年亡くなった原節子さんのことを書いた本。
一冊は読んでおきたいと思い,ようやく,今日読むことができました。
『原節子 あるがままに生きて』
映画関係の話が続くのですが,所々に原節子の言葉が出ています。
感じるものがあります。
【映画『小早川家の秋』の台詞】
品性の悪い人だけはごめんだわ。品行はなおせても,品性はなおらないもの
ずばりと鋭く指摘しています。
ですが,教員をしていると,こういう見方ができません。
「きちんと導けば治る」と考えるのが基となっているからです。
どんなに手を焼く子でも,「心の底には善良な魂がある」と思えるのです。
だからといって,「性善説です」とも思っていません。
基本的に「前向きなのが人間」です。
前に進むには,後ろ向きの悪人をしていられないだけのことなのです。
悪に走ることはあっても,悪で走り続けることを,生き物としての人間が嫌うわけです。
それでも,品行と品性を比べたら,品性は直しづらいです。
まずは品行を直し,それから次第に品性も・・となるのだと思っています。
【原節子の言葉『髪と女優』に紹介】
自分を卑しくすると,あとで寂しくなるのでそういうことは一切しないようにしています。
卑しくしないようにと心がけていても,ちょっとしたときに,ひょっこり卑しさが顔を出します。
後から反省をするのですが,恥ずかしさで何とも言えない気分になります。
江戸時代の『鳩翁道話』を読んだときです。
心ってものは上がったり下がったりしやすいものだとわかったのです。
また,上がり下がりは円運動をしています。
下がってもその後上がるようになっているということです。
こんなことがわかって来てから,だいぶ楽になりました。
下がったらまた上がるのでそれを待てばいいのです。
それでも,心が下がるようなことはできるだけしない方がいいです。
「自分を卑しくすると,あとで寂しくなる」
原節子の言葉は染みました。
--
関連記事: