Category Archives: 古典

楽しく教える先生,父母のよう

b8130修養セミナーの準備がほぼできました。
文献からの話なので,あれこれページをめくりました。
そうして,これを使おうといくつか定め,ほぼ終了です。

読んだのが古典だったので,いろいろと勉強になりました。
その中で,『孝経』に出てくる一節「愷悌(がいてい)の君子は,民の父母」という言葉が,良い響きで心に残りました。

「愷」は楽しむ。
「悌」は易(やわ)らぐ。
楽しくって,和らいでいる先生に教わったら,子ども達にとってその先生は父母のようになりますね。

楽しくて,懐が深い先生は良いですよね。
少々の失敗をしても,ガハハと笑って,一言言って終わりにしてくれます。
良い感じでクラスは前進します。

昔,有田先生がセミナーでイソップ童話の北風と太陽の話をしてくれました。
旅人のコートをどちらが脱がすことが出来るかということになり,北風が最初にチャレンジ。
風をビュービューと送ると,コートは飛ばされそうになります。
でも,旅人はコートが飛ばないようにしっかりとにぎっています。
とうとうコートを脱がすことは出来ませんでした。
次は太陽です。ホカホカと暖かくしていきます。
すると,旅人は次第に暑くなってきて,コートを自分から脱いでしまいました。

楽しくて懐の深い先生は,太陽のような先生なのだと思います。
子ども達が先生の願った方向に自分から歩み始めるからです。
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明後日は,修養ツアーです。とても楽しみです。
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来週の土曜日は,修養セミナーです!

来週の土曜日は,木更津技法研の第2回修養セミナーです。
その関連で,ウィキで二宮尊徳を見てみました。
そうしたら,「二宮金次郎」ではなく,「二宮金治郎」と記されていました。
詳しいことは書かれていませんが,↓と書かれています。
通称は金治郎(きんじろう)であるが、一般には「金次郎」と表記されてしまうことが多い。

『二宮尊徳』もしかしたら,届け出した名前は「治」だったのかも知れません。
でも,私の読んできた本は「次」なので,セミナーでは金次郎で進めたいと思っています。

また,尊徳の読み方も「たかのり」が正しく,「そんとく」は有職(ゆうそく)読みと記されています。
私は本を通して,二宮尊徳は大変な人物だと思うに至っているので,セミナーでは尊敬の念を込め有職読みで進めたいと思っています。

修養セミナーは,会場が二宮尊徳記念館です。神奈川県の小田原にあります。
東京から小田原まで,東海道線に乗れるので,それが楽しみとなっています。
新幹線で行くことも出来るのですが,東京←→小田原だったら,やっぱり東海道線に乗りたいです。
もう,走っていないのですが,湘南電車に乗っている気分で読書をしていたいからです。

当日の私の話は,二宮尊徳の指導観,指導法。それと,人間観あたりになります。
このあたりは,野口芳宏先生と実によく似ています。
農業の二宮尊徳。教育の野口芳宏。そう実感しています。

また,たとえ話も大変上手だったので,その当たりも少し話したいと思っています。
教師の資質向上に,少しは役立つのではないかと思っています。
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1年生の時計ソフトをさらに修正したくなっています

さくら社ネットストア1年生の時計のソフト。分かりやすいと大評判なのですが,これを少し改良する予定です。

今も,補助機能が充実していますが,これにもう少しグイッとわかる機能を取り付ける予定です。
これがうまいことできあがると,「60までの数」が分かる子は,今までより,もっと短時間に長い針をキチッと読めるようになります。
入学前の子でも,問題なく読めるのではないかと思います。

ソフトはプログラムを修正することで,少しずつですか進化していきます。
先生方の声や,直接使っている子供達の様子を見て,ここをもう少し工夫できたら・・。
それが,積み重なるとちょっとした発展となっていきます。
地味な道ですが,私にはとても面白い世界です。

問題は,その修正をどうやってプログラムするかです。
今日,明日の課題です。
「こうやればいいだろう」と思っても,その思いの通りに動くかどうかはわかりません。
ダメな場合は,知恵を更に絞ります。

ところで,この長針の理解をはかるソフトですが,左端に桜スライダーがあります。
これを下におろすと,面白い事がおこります。
それまで見えていなかった短針が姿を現すのです。
これも,実に面白いです。
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『五経・論語』今日は,易教を少し読み返しました。
易教は占いの基礎になっている考え方が記されています。
占いと聞くと,ずっと,当たるかどうかを問題にしていました。
当たるかどうかと言ういう即時的な所への意識は,易教を読むと変わってきます。
もうすこし,大きな世界で思考したくなってくるのです。
「徳のある生き方」
これを求め進むにはどうしたらいいか。
その考え方が記されているのだと感じてくるからです。

順風満帆の時,どう考えたら徳があるのか。
逆境の時,どう考えたら,徳のある道に近づけるのか。

こういうことが分かるような分からないような言葉で記されています。
私は,易教に書かれていることは,「善の中の陰陽」という世界観でとらえているので,私には読むだけでも良い修養となる本になっています。良い本ですね。
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『小学』を買った若い先生へ

『小学』『小学』を読んでいることをブログに書いたら,若い先生が私も買いました!と知らせてくれました。

若い先生が古典を少しずつでも読むと,しなやかで強固な学級経営が見えやすくなってきます。
それは,古典のもつ歴史的重みを理解する力がついてくることに起因します。

『小学』の18ページに,乳母の選び方が書かれています。
低学年の担任となったときの重要な心得に通じます。

同じく18ページに言葉を覚えはじめたら,何を教えたら良いかが書かれています。
覚えはじめは,学び初めであり,学校でいえば新年度です。
学級開きにグイッと力を入れる点がこれです。

小学は鎌倉時代のちょっと前ぐらいの1189年に中国でまとめられた書とされています。その時代に書かれたものもあれば,昔の本からのピックアップもあります。
上の18ページの内容は,『礼記』からの一節です。
孔子の時代の内容ですから,およそ2500年もの昔に,大事ですよ!と言われていたことです。
それが,800年ほど前にも,子供達の教育に実に重要として選ばれています。
さらに,この小学は明治時代に日本で子供達の教育用としてまとめられた『幼学綱要』のたたき台になっています。
要するに,100年ほど前の日本でも,とっても重要とされていた事柄なのです。

こういう歴史を知ると,古き時代に良いとされ,今も良いと感じる事は,普遍的に大事なことなのだと実感されます。
この実感が指導に重みをましていくのです。

クラスに落ち着きが無くなってきたなと思ったら,p242です。何をさせたらよいのか,また何をさせてはいけないのか,それが書かれています。
書かれていることから,その根本を把握すると,学級の状況による実践の仕方が豊かになってきます。しなやかでありながら,強固となるのです。
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今度の土曜日,東京で「野口塾ビギナーズ」が開催されます。
この日,予定が入っているので,参加できないと思っていたのですが,終了際に参加できそうになったので,今しがた申し込みました。

北千住駅での懇親会が主だった参加になりますが,楽しい一時を過ごして来ようと思っています。
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『小学』です!

『小学』この本は,明治書院が刊行を続けている新釈漢文大系の第3巻『小学』です。
とても,面白く勉強になります。

特にありがたいのは,言葉の解説です。
例えば,「弟」。
広辞苑を引くと「同性の年下のきょうだい。」など,意味が記されています。
この意味は,今の時代の意味です。
弟のように平素使っている言葉の意味ですから,「そうですか」という程度で,驚きや感動は特にありません。

それが,この本では次のように出ています。
○弟 年少者としての徳
さらに,余説として次のように記されています。
「弟」とは,元来,兄に対して敬意ある態度をとることである・・・・

この解説を読むだけで,ふっと二宮尊徳の「推譲」が思い出されます。
「人の道は譲りにあり」
弟として生まれてきたことは,大切な徳の一つ「譲る心」を厚めに学ぶことができるのです。
弟への見方が変わってきます。
こういうのが積もって,観に影響を与えていくのだと思っています。
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新釈漢文大系は,言葉の解説が実に豊富で,ありがたいシリーズです。
読んでいると,まるで野口先生の国語の授業を受けているような気持ちになります。
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懇親会での野口先生の「とってもいい話」

野口塾の懇親会野口塾IN相模原の懇親会です。

宴もたけなわとなったころ,野口先生のお話がありました。
今回は,論語からの一節でした。

講師の弟子に,子貢(しこう)という人物がいました。
その子貢が孔子に問いました。
「一言にして,身の終わるまで行うべきことはありますか」
終身,行うべき事を一言で言ったら,それは何ですか。というようなことを孔子に問うたのです。

その後,野口先生は解説をしてくれました。
「それ,恕(じょ)か」
許すことです。思いやることです。
そういう慈悲の心を終身持つべきということを話してくださいました。

さらに,野口先生は続けて話されました。
「それ恕かの後には,こう続きます。
己の欲せざる所を,人に施すことなかれ」(『論語』衛霊公第十五)

このお話をなぜ語られたのか,その理由は分かりません。
ですが,野口先生がこの話をされたことは,野口塾にとってとても重要な示唆を与えていると思えています。

◆子貢は,ズバリ一言でいうとなんですか,と孔子に問うたのです。
この問い方,野口塾の基本です。

◆子貢の問いに,孔子は見事にズバリと答えています。
この答え方も,野口塾の基本です。

◆なるほどと思うのは,ズバリと答えた後に,一言講釈を入れることです。
これは野口先生の語りそのものです。

この一節,野口塾の学びにぴたりと重なっています。
そう思えただけでも,とても良い一時をいただくことができたと感謝の気持ちになりました。
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