Category Archives: 道徳

『道徳性の起源』勉強になります!

b8060紀伊国屋に積まれていたこの本を見て,「読むしかないだろう」と思い,購入しました。
『道徳性の起源』です。
読み始めたのはいいのですが,話が分かりにくいです。
しかしながら,それを問題にしないほどの豊富な内容です。
「科学はここまで来たか」と驚きつつ読み進めた一冊です。
特に,後半は圧巻でした。

「子供は利己的な怪物であり,教師や親から学ぶことで,その生まれつきの性向に反して道徳的になると思われていた。気乗り薄の道徳家と見なされていた。私の見方はそれとは正反対だ。子供は生まれながらの道徳家で,生物学的な性質におおいに助けられている。」(p200)
こういった考えだけが記されているのではありません。この考え方を支える詳しい事例がたくさん載っています。その事例から導き出しているので,私はとても納得しています。
孟子は井戸に落ちそうな子を人は放っておけないところから性善説を唱えましたが,それを科学的に実証してしまったのがこの本と感じました。

「子供たちは間違っても科学だけは発達させないはずだ。何をどう調べてみても,科学にはほんの数千年の歴史しかなく,したがって人類の歴史の中では明らかにごく最近のものであるという結果になる。」(p272)
なるほど感がピークに達した所です。
算数の学習に「自然成長はあてにできない」と言っているように読めてきて,妙に力を得ました。
--
関連記事:

この言い伝えがすばらしい!

調べ物をしていたら,心に染みてきたすばらしい言い伝えと出会いました。

「茶碗を投げば綿でかかえよ」野口芳宏先生

相手が怒ってしまって茶碗を投げてきたら,茶碗が割れないように綿で受け止めましょう!との言い伝えです。

茶碗が飛んできたら,とっさに座布団をとり,それで受け止めれば,茶碗は割れずにすみます。(そんな早業は私にはできませんが・・・)
座布団のように柔らかい心で受け止めれば,相手を傷つけずにことが丸く収まりますよと言うことです。

こういう話は野口先生からもよく聞いています。
校長室に怒鳴り込んできた親には真心で対応すること。
話をよく聞き,相手の身になってごもっともなことと思うように,柔らかく受け止めることです。
いっしょになって茶碗を投げてはいけないのですね。

立派な人は昔も今も変わりません。

※ 諺は,『故事俗信ことわざ大辞典』に出ていました。高価ですがCDがついています。PCでさっと調べられ重宝しています。
--
野口先授業づくりの教科書 道徳授業の教科書生の道徳の本,お勧めです。
『道徳授業の教科書』
※ この本には,「指導者としての姿勢」が記されています。そこを読み返すだけでも勉強になります。
--
関連記事:

「立腰」が正面に!植田学級,いいですね

b8093植田先生のクラスの正面黒板の上。
「立腰」が掲げられています。

しかも,写真にはポイントが3つ示されています。
1,背もたれに背をつけない。
2,深く腰をかける。
3,足を床につける。

とくに,「足を床につける」は,意外と重要なポイントになっています。

足を前に出すと,腰が曲がりやすくなります。電車でも態度の悪い人はたいてい足を前に放り出しています。その人の腰や背をみると,いかにもだらしない状態になっています。
教室でも,足を前に放り出していたら,姿勢が悪くなり,心も影響を受けることがあります。

逆に,足を椅子の下に入れるようにすると,腰は立ちやすくなります。
足の形が正座に近づくからです。
ただ,足を引くのは見た目がやや悪いので,足を床につける座り方が推奨されています。

ところで,2年生の算数で秒を学習します。
その時,10秒はどれくらいか,30秒はどれくらいか,とストップウォッチなどを使って体験する学習もします。
立腰を学習しているクラスは,この短い時間の体験を,「立腰+目つむり」でやってみてはいかがでしょう。
静かに目をつむります。自然,心が落ち着くことを学んでいくことになります。

戦前には,授業のはじまりに黙想をしている学校もありました。
全校生徒が落ち着き方を学ぶのですから,いい学校だったのだろうな思います。

植田先生のクラスが今年度も落ち着いた良いクラスになりそうで,とても嬉しいです。
--
関連記事:

日めくり論語『教室論語』

b8090今日の日めくり論語『教室論語』は,右です。
「忠告」の元になった孔子の言葉です。

子貢が孔子に「友達って何ですかね」とたずねました。
すると,孔子は「それはね,悪い道に入っていると分かった時に,誠実な気持ちから,『それはダメだよ。善い道を歩もうよ』と言える人だよ」と答えました。

誠実な心,相手を思うまっすぐな心,そういう気持ちから出てくる注意の言葉,それを言えるからこそ友達なのです。

私の友達も,私同様に年齢を重ねています。
年齢は,人を次第に善人にします。
ですので,あまり妙な方向に走っている人がいません。
忠告をする相手がいないのは,実にありがたいです。
--
教室の教卓の上に,この日めくり論語を置いてみてはいかがでしょう。
日めくりで出てきた言葉を,みんなで唱和して・・・。
善人への道が書かれているので,じんわりと学級経営に染みていきます。

退職をされた先生も,ぜひ,ゆったりした時間を論語と共に過ごしてみてはいかがでしょう。
私は時々読み返すようにしています。読むだけですが,充実感に包まれてきます。
--
関連記事:

SG会,勉強になります

しばらくぶりのSG会。
人数分のレポートがあるので,短時間の内に大量の情報が伝わります。
学校の先生以外の方も複数参加しているので,その情報の幅が広く,良い勉強になります。

幼稚園の園長先生からは,5歳児と3歳児の交流生活の実践が話されました。
そこから出てきた,保護者の方の声が勉強になりました。
「お兄さん(お姉さん)が怖いって言うんです」
「お兄さん(お姉さん)が怒るから嫌だと言ってるんですけど・・・」
園全体が嫌なのではありません。
園は楽しいのですが,お兄さん(お姉さん)とのペア生活がちょっとつらいのです。
園になじんだ後,さらに,お兄さん(お姉さん)と少しずつなじませていくので,大事な順応性を高める良い勉強になります。さらに,年齢に差があるので,長幼の序も学ぶことが出来ます。
多数の子は,いやがらずに交流生活をしているとのことで,この幼稚園から巣立った子は,小学校でも円滑に集団生活を送るのだろうなと思いました。
--
中学校の先生からは,学級目標を決める話がでました。「こんなクラスは嫌だ」というところから生徒達の考えを引き出して決めていったそうです。ひげうさぎ校長先生の読書法と似た感触で,これなら生徒達も気を入れて考えただろうなと思った次第です。
--
私は,先だってブログに書いた「飲み助さんの話」を持って行き,それを読み上げました。
素人の作った再話ですが,明石先生から,「じーんと来た。」と言われ,ありがたく思いました。
『子どもの作法』
作法も勉強になりますし,飲み助さんのような道徳も大いに勉強になります。
--
関連記事:

飲み助さんの話

保護者会があろうかと思います。
終了3分前ぐらいになったら,「飲み助さん」の話をしてみませんか。
チーム算数で城ヶ崎先生と佐々木先生に聞かせたら,「いい話だ」と絶賛してくれた話です。
とても感動してくれたので,皆さんにも知っていただけたらと思います。

では,「飲み助さん」のお話を始めましょう。
--
明治10年か20年頃の話です。
お酒が大好きな飲み助さんがいました。

飲み助さんはお酒が大好きなので,仕事に行く前に飲み,仕事の休憩時にも飲み,仕事が終わると飲んでいます。
なので,奥さんと3才の子がいるのですが,貧乏な生活をしています。

冬のある日,仕事に出ようと戸を開けると,雪が積もっていました。
すでに,朝酒で良い気分になっているところに雪です。
千鳥足がごとく,ふらふらと仕事に出かけました。

雪道ですので,足跡が残ります。
自宅からの足跡を見てみたいと思い,ふと振り返ると・・・・。

なんと,3つになる我が子が自分を追いかけるように歩いているではありませんか。
「おや,まあ。」
しばらく,我が子が歩いてくるのを楽しげに見ていました。

そうしている内に,飲み助さん,ギョッとして背筋が凍り付くような思いになりました。
我が子は雪道をまっすぐこちらに向かわず,自分の足跡の通りに歩いてきたからです。
飲んだくれの曲がりくねった足跡でも,親の跡なので,子どもは喜んでその跡を伝っています。

飲み助さんは,それっきりお酒をやめました。b8092
今の自分の姿が,我が子が大人になった時の姿と悟ったのです。
まっすぐに歩く人になろうと,その後を歩みました。
(出典『よき子よき母』,再話:横山験也)
--
これでおしまいです。

懇談会で,もしこの話しをしたら,話した後は多くを語る必要はありません。
この話を聞いて,自分自身も生活を少し改めたことを伝えて,懇談会を閉会しましょう。
--
関連記事: